古民家再生のお祝いに、砂色(ドイツ壁のイメージ)のつみきの家を贈りました。
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都内某所。昭和ひとけたに建てられた「古民家」をリノベーションしたお宅にお邪魔した。
窓、扉、梁、縁側、庭、基本はオリジナルを残した造りで、屋根や壁は当時の手法を以て再生。
主たる和室+木の出窓が残る洋間。タイムトリップするような、和風でありながら西洋を訪れたような、不思議な気分。
東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)が、1933(昭和8)年のものなので、まさに同時代に建てられた、和洋の融合から生まれたお家なのだ。
梁、襖、障子など当時の和建具を使い、廊下の木床は、一度はがして床下のメンテナンスを行った上、当時のものを張り直すという徹底ぶり。
ガラス窓は、明治・大正・昭和初期につくられた古型硝子。冬の朝、学校のバケツでみた薄氷のような「結霜ガラス」(融解ガラスに膠で模様をつけたもの)はなんとも美しく、懐かしい気分になる。
屋根は「フランス瓦」、外壁は「ドイツ壁」。仕事柄興味を持った「フランス瓦」。詳細はこちら⇒ブログ備考「「ジェラールさんのフランス瓦!」「ドイツ壁」も、レアで絶滅寸前の左官工法であるとか。両工法とも、明治〜昭和初期のもので、和風建築に西洋文化を取れ入れたモダンな造り。家主の友人は、それら職人さん、大工さんのキリリとした背中に感動したという。
その昔、職人さんは西洋の工法を、特色である日本の繊細な手法と「大和魂」をもって受け継いだ。つまりは「大和魂」がお家の各所に残っているのだ。
(写真:ミニ土鍋/招いてくださった友人は土鍋作品のお客様でもある!)
そんなすてきな空間に、色違い、柄違い3つものCocciorino土鍋が鎮座していた。
「大和魂」を回想する中で、恐縮する気分だったが、そのお宅の子になりきり佇む姿がとても嬉しかった。
天井からは、アールデコか大正ロマンか、うっとりするような光を放つランプシェードが吊り下がり、床には和骨董の大きな陶壺が自然に佇む。フローリングの洋間やダイニングには古き良き英国デザインの椅子。床の間のある和室に接しているのに全く違和感がない。まさに「文化の融合」。
ウィリアム・モリスの1900年代のヴィンテージデザインだと思われる椅子には息をのんだ。グリーンベルベットの座面は感心するほど美しい仕事で張り替えられ、思わず座面をなで、図々しくも「座っていいですか?」と言葉が出てしまったほど。
写真は4~5年前から使っている我が家の土鍋。
まだまだまだまだ。この「まだまだまだ」は永遠につづくだろうし、「もう」というのはないのだろう。生きるには限界があるけれど、精神には限界がない。
前記事でも書いた通りだが、あらためて「時が経ったときにこそ、グッとくる表現者」になりたいと思った。件の大工さんのように、端然とした背中を、人生の機微が表われるような面を…などと「まだまだ」な私が大寒の日にぼやいたりしている。