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◎最新記事

2018年

11月

11日

秋の香りを注ぐ -VIVAシリーズ-

ヴィヴァ/ポット
ヴィヴァ/ポット

作品展では数多くの作品が同時にならぶため、作品ひとつずつに「タイトル」やコンセプトは記さないが、できるかぎりそれをSNSなどで伝えたいなと思っている。それらを伝えたいからこそ、なによりもどこで展示をしようとも可能な限りギャラリーに在廊する。今回も毎日、終日在廊予定。

ヴィヴァ/ポット

大きく手をひろげれば指先でチャンスつかめるかもしれないと大先輩が教えてくれた。ピンチであるときこと手を広げよ!と。

 

耐熱ポットなので直火も可能。市販のドリップが合う口径。

2018年

11月

06日

土鍋で秋を炊く「秋のえごま塩のふりかけと玄米ごはん」

えごま塩のふりかけと玄米ごはん/ミニ土鍋・しのぎごはん茶碗
えごま塩のふりかけと玄米ごはん/ミニ土鍋・しのぎごはん茶碗

蓼科のギャラリーに行く道すがら、直売所で「あぶらえ」を買った。この名前に親しみがなく、えごまに似ているな?と思って手に取った。その場で調べると、やはり「あぶらえ」とは「えごま」。昔から飛騨や茅野で盛んに育てられているようだ。

 

春に種を蒔き、夏に葉が出て収穫。お肉を巻いて食べたりする「えごまの葉」は各地で流通していると思うが、「えごま」の種は東京であまり見かけないのでうれしい。葉がおちた秋に種を収穫するそうで、この時期ならでは平成30年の天然物。生産者の氏名と住所と、料理方法も書いてある。

この地方では、おはぎのまわりに「えごま」をつけるらしい。五平餅のたれに混ざっているのも、ごまでなくえごまらしい。

生産者のメモとおりに種を軽く煎って、すりこ木で擦り、そこに日本の天然塩(湿ったタイプが合う)をあえて「えごま塩」をつくった。袋詰めから手書きのメモラベル。生産、収穫、その上にこの小さな労力が心に響く。


焼きしめた質素な色味の「しのぎのごはん茶碗」は、今回の展覧会にむけて新しい土で試みた作品。素朴な食事を楽しんでいただきたいと思ってつくったもの。いつもの玄米ごはんにかけ、ひじき煮を添えただけのごはん。ごはんはもちろん、おひたし、キノコのパスタにも最適!

INFORMATION

我妻珠美 陶展  -秋を炊く-
Tamami Azuma

Ceramic Art Exhibition

Ecru+HM (GINZA TOKYO)

2018年11月16~24日 ※21日休廊
12:30-19:00 (Last day 17:00)

東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル4F
詳細・お問い合わせ Ecru+HM

2018年

11月

05日

公募展「第6回 着想は眠らない」

「未完」/テラコッタ(1996 Firenze)陶器のかけら(99-2018 Tokyo)
「未完」/テラコッタ(1996 Firenze)陶器のかけら(99-2018 Tokyo)

個展を10日後に控えておりますが、ちょっとブレイクです。公募展「第6回 着想は眠らない」(テーマTOKI)にて2018年インターリンクconcept賞をいただきました。


過去にも、ギャラリー賞として「陶のおめん展」をさせていただいたことがありますが、今回の賞は、ギャラリーを古くから支えていらっしゃるという、美術家でもあるといっても過言でないかたからの賞のひとつ。公募展アートは、器づくりの背景にあるいくつかの活動。関係者ご一同さま、ご出展者さま、みなさまに感謝いたします。

「用の美」

日々の「器づくり」の仕事は、個性的でありながらも「用の美」がキーワードになるわけで。何年つづけても未熟者ゆえに、ピンと張った糸がカラダの中を張り詰めている。そんなわたしが、ある意味、制作において開放される「とき」が年に1回ある。それが公募展であり、器以外の作品を出展することを決めている。

黙っていても「弛緩剤」は処方されない

好きなことを仕事にする中でも、「器づくり」は、人生を歩むための「仕事」として覚悟しなければならない枠がある。相手を想うあまり多大な緊張感にあふれる仕事。細かいところまで気を配り、ミスを重ね、それが次のステップになるのだが、これだけ制作の年月が長くなってくると、カラダと脳も硬化して、新作を生み出すときになって、その緊張感とプレッシャーが仇となる。

 

冒頭の「仕事」とは、制作資金であり、食べて生きるための動力なのだが、硬化した脳、寛大な心には、起爆するような刺激と、とろけるような甘美が必要で。人生、黙っていても「弛緩剤」は処方されない。このような公募展や旅に処方箋を探し求めているのだと思う。

 

最終日は、作家のアーティストトークタイム。売買のない世界、異業、異なる年齢、経験。そこから受ける刺激と甘美が、張りつめた糸に弛緩を与えはじめる。若手の目の輝きは刺激的だし。経験者の堅牢さは迷いを固めるチカラとなる。陶芸界の大家も、人気アーティストも、日常の肩書きをひけらかさず、淡々とその心を語る。大家 加藤委氏は言っていた「土と火」だけがあっても器は生まれず、「人」の刺激やパッションをどんどん受けなければと。まったく同感である。

美しい造形ばかりがアートでない

若かりし日に受けた雑誌のインタビュー記事を、ことあるごとに思い出す。今も本棚の奥に隠してある。えらそうに「用の美」や「日本の伝統工芸」から逸脱してイタリアに旅立つ!など宣言している記事だったと思う。以来、メディアのインタビューをほぼお断りしている理由はここに。まさにトラウマだ。25年以上経った今も、顔が赤くなる。言い訳もできない時間が経ったし、こんなちっぽけなこと誰も覚えてはいないだろう。

 

このちっぽけな過ちを、人生のおわりまでに自分自身に納得させようと、「器づくり」と「アート」の作品の両側から、挟んで観ようとしているのかもしれない。

 

選考者のコメントはエモーショナルである。狙いであった「美しく仕上げない(不細工でいい)」、そしてタイトル「未完」という的の真ん中に矢を射られた。文末にある「この先にある完成形を楽しみにしています」は、少し前までならプレッシャーに感じる賛辞に捉えただろうが、いまや、人生の最期は「これで完成じゃ」「この先も未完成じゃ」どちらでも「ああ面白かった」と言うのか楽しみになった。

 

ぜひともリンク先に飛んでご一読いただきたい。
http://www.interlink.jp/art.html

 

「未完」

テラコッタの粗野で無骨なオブジェは、

20年ほど前フィレンツェの工房(アルゼンチン人の彫刻工房)で制作。

帰国時は大型船に乗る「お荷物」に。

さらに日本の狭小庭では「ゴミ」と化し、苔むして18年。

帰国後の18年でつくった器を叩き割ったら「カケラ」になりました。

庭の「ゴミ」に「カケラ」を金粉でつなぎましたが完成形は見えず。

人の道はカケラをつなげる毎日。

添えたサブタイトルはデュシャンへのオマージュです。

以下は「器づくり」の仕事のお披露目。

販売予約の個展です。お気軽にいらしてください。

INFORMATION

我妻珠美 陶展  -秋を炊く-
Tamami Azuma

Ceramic Art Exhibition

Ecru+HM (GINZA TOKYO)

2018年11月16~24日 ※21日休廊
12:30-19:00 (Last day 17:00)

東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル4F
詳細・お問い合わせ Ecru+HM

2018年

11月

01日

土鍋で秋を炊く「豆乳バターナッツごはん」

バターナッツの炊き込みご飯/土鍋大・ポット
バターナッツの炊き込みご飯/土鍋大・ポット

ポタージュもいいけど秋だから炊いてみる!

カボチャの日は過ぎ去り、うちに2つもゴロゴロしているバターナッツを見つめる。野菜を配送してもらっている山梨の農場から、どんどこバターナッツが届く季節。保存も利くし少し置くとおいしくなるから、もちろんペンで顔も描いて飾った。(もちろんじゃないか!?)

 

ポタージュに仕立てることが多いが、今回は豆乳で炊いてみる。落ち着きある味に炊き上がるのは、白味噌のおかげかな。パセリもいいが、ワケギやアサツキのほうが合うかもしれない。

ここでも売ってた!

イタリアの市場でもバターナッツを見かけた。手書きの黒板には「産直!自然の農業 オーガニック野菜」」と書いてあり、おにいさんが一所懸命そのこだわりを説明しながら、じゃがいもやカボチャ類を売っている。その中にバターナッツもあり、イタリア人も足をとめて興味深く聞いていた。

うつわ職人のなんちゃってレシピ

1.バターナッツを角切りにする。薄切りハムはちいさな正方形に切る。
2.少量の湯で白味噌を溶く。
2.土鍋に米を入れ、水と豆乳(半々)に②を加え、さらにベーキングパウダーを小さじ1加え、最後にひとかけの無縁バターを落とす。

3.フタをして沸騰するまで中火、沸騰したら弱火で20分。10分むらす。
4.わけぎやあさつき、パセリなどを散らしてどうぞ。

 

おまけ

子どもが小学生のとき、大豆から豆腐づくりの研究と試作をいやになるほど重ねた。大豆たんぱくは65℃くらいから固まりはじめるので、豆腐をつくるときは75℃くらいでにがりを入れて固める。一度沸騰させる米の炊飯において、分離、凝固は止むを得ないが、分離して出た豆乳の液体にもソイプロテインが含まれているだろうし、炊き上がってかきたてると分離した湯葉状のものもおいしさに変わる。

野菜や味噌(カルシウムやマグネシウム)が加わると凝固はすすむのかもしれない。ここは専門家でないのでエビデンスはないが、ものしり情報で知ったアルカリ性のベーキングパウダーを入れると少し良いような気がする。

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我妻珠美 陶展  -秋を炊く-
Tamami Azuma

Ceramic Art Exhibition

Ecru+HM (GINZA TOKYO)

2018年11月16~24日 ※21日休廊
12:30-19:00 (Last day 17:00)

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2018年

10月

30日

土鍋で炊く秋 「新ショウガの炊き込みごはん」

新ショウガの炊き込みごはん/ミニ土鍋 Cocciorino
新ショウガの炊き込みごはん/ミニ土鍋 Cocciorino

人は自分の道をあるくのだけれど、そこには仕事や遊びや、食べることや寝ることもあり、自分なりに整備したり趣向をこらすのだけれど。子育てや介護や、動物や虫や花や農作物を育てたり、どの道にもほかの生きものの息吹がまざり凸凹になる。

前者の理想ばかり語りながらコツコツすてきな靴で歩くより、凸凹をのりこえる運動靴が必要となる。その泥まみれ、埃まみれの靴をながめるたびに、自分の道をあるく勇気が出るのかもしれない。

秋に生まれる「新ショウガ」は、「親ショウガ」(ひねしょうが)から生まれる新しい茎。親は土の中で泥まみれ。旬の野菜はみずみずしい。

 

さて、今夜も「新ショウガの炊き込みごはん」にしようか。人もショウガの辛さも、炊けば少しはマイルドになるからね。炊き込んだ昆布と柚子の千切りも添えて、いろいろ許してあげなくちゃね。

うつわ職人のなんちゃってレシピ

1.米、昆布、輪切りショウガ、酒、塩を入れて炊くだけ。
2.昆布をとりだし千切りにして、柚子をちらしてどうぞ。


写真:【PAINTING/ミニ土鍋(1合炊飯)】

あたらしく窯から出てきたので個展にも出品します!

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我妻珠美 陶展  -秋を炊く-
Tamami Azuma

Ceramic Art Exhibition

Ecru+HM (GINZA TOKYO)

2018年11月16~24日 ※21日休廊
12:30-19:00 (Last day 17:00)

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2018年

10月

26日

街シリーズと洞窟住居マテーラ

街シリーズ/ピッチャー(ジャグ)Cocciorino
街シリーズ/ピッチャー(ジャグ)Cocciorino

新しいアイテムにピッチャーが加わりました

長年ご愛顧いただいている「街シリーズ」に新アイテムであるピッチャーが登場。高さはあるもののどっしりとしたつくりになっているので、花をかざっても良いでしょう。

 

耐熱のうつわなので、定番のポット同様、直火にかけることができるし、口径は既存のコーヒードリッパーに適応。自身がお鍋の差し水を入れるのに使いたいと思いつくったアイテム。温かいものだけとは限らず、冷たい水、ジュースなど入れても良し。耐熱の器なので氷を入れればキーンと冷却効果もあるピッチャーなので、季節や用途を問わず楽しめますように。

 

定番の街シリーズだが、今回は、この夏訪れたイタリアの風景のうち2つの特色ある町を想って描いた。今回は、そのひとつをご紹介。

マテーラという洞窟住居の街

南イタリアはバジリカータ州にあるマテーラという洞窟の町。世界遺産であるが、往来に便利なところではないので思ったほど観光客はいない。太陽が痛いほどの真夏だったということもあるだろう。
深い渓谷を下にみる凝灰岩の丘の上に「サッシ=岩々」と呼ばれる洞窟の町はある。住居や教会、道や壁、すべて町がまるごと岩のかたまりから掘られてできているのだ。

石器時代から人が住むために掘られ、8世紀頃からは修道士(隠修士)がここで孤独な生活をおくっていた。後世は農民が家畜などと住んでいたが、やがて貧民が住むスラム街に変貌。1958年、政府は強制的に町を廃墟にしたという。(歴史地区ガイド:アンドレア談) 

上の写真は、農民の暮らしを再現したもの。テーブル右奥にはピッチャーも見える。汲んできた水を食卓に出すのに欠かせないアイテムだったのだろう。

1993年、洞窟住居がユネスコ世界遺産に登録され、一気にマテーラの町は息を吹き返す。下の写真は映画「パッション」のポスター。エルサレムの丘をのぼるキリストのシーンはマテーラで撮影された。

教会も洞窟の中にある。
洞窟は夏すずしく冬あたたかいというものの、窓もなく多湿な空間は、空調もない時代は大変なものであっただろうとアンドレアも言っていた。(※岩には貝殻が埋まっていたりするので、古くは海中だった説もあり)現在は、この遺産である洞窟住居が売りに出されており、芸術家などにも人気で、現代的な暮らしを取り入れた生活者が増えているそうだ。

2018年

10月

24日

土鍋で蒸す秋「ナガイモ鶏団子」

ナガイモ鶏団子/土鍋中+21cmせいろ
ナガイモ鶏団子/土鍋中+21cmせいろ

旬の楽しさ

10年以上、山梨から無農薬野菜を送ってもらっているので、東京にいながら旬の楽しさを教えてもらっているのだけれど、それでも野菜は足りない。先日、店頭で秋掘りの青森産ナガイモを見つけた。山梨以外の、東京産の野菜はもちろん、他地方の旬を見つけるのも楽しい。

鶏団子の汁がしみいる秋のナガイモ

すってとろろ芋にするのも大好物だし、焼いて焦げ目をつけてお醤油で食べるナガイモも好きだが、繁忙期ゆえに、もっと放っておける調理に走るきょうこのごろ。個展も近づき、わさわさ時間のない我が家は、もっぱら「土鍋+せいろ料理」か、土鍋で煮込みか、土鍋でスープか、いわゆる「鍋料理」か。とにかく土鍋の出番をほめてあげよう。

 

 

蒸すと、ふわシャキでおいしいナガイモ。厚めの輪切りにして、下味をつけた鶏むねひき肉を乗せて蒸すだけ。エゴマの葉を巻いて、柚子とネギを散らす。ナガイモのふとんに鶏団子をねかして柚子でリラックス。鶏団子の汁が切れ込みをいれたナガイモののふとんにしみこんでおいしい!

うつわ職人のなんちゃってレシピ

1.ナガイモの皮をピーラーでむき厚めの輪切り。断面に切り込みを入れる。
2.鶏むね肉に、酒、醤油、甜麺醤、五香の粉、なつめの粉を入れてまとめて団子状。

3.クッキングペーパーを敷いたせいろに①、その上に団子を少しつぶしてのせる。

4.15~20分後、串をさして肉汁が出たら完成。ネギみじんぎり、ゆずを散らして余熱で香りを出すのも良い。

 

※ナガイモに入れた切込みに鶏肉汁がしみます。
※ゆずの香りがとっても合います。エゴマの葉を巻いて食べたり。

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我妻珠美 陶展  -秋を炊く-
Tamami Azuma

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2018年

10月

21日

土鍋で煮る「秋さわらのトマトスープ」

さわらのトマトスープ/土鍋 Cocciorino
さわらのトマトスープ/土鍋 Cocciorino

我が家でおかわりが止まらない「秋さわらのトマトスープ」。八百屋に並びはじめた露地ものの秋白菜とさつまいもと一緒にぐつぐつ!さわらの脂と旨みたっぷり、出汁なんかいらない!

 

土鍋の余熱で、完食するまでほかほかスープ。

春の魚と書くけれど

「鰆/さわら」は春の魚と書き、ご存知のとおり春の季語でもある。春になると卵を抱えて瀬戸内海にはいってきて、春を告げるといわれたらしいが、産卵期より、ふたたび日本海の旅に出て肥えてくる秋から冬は、脂がのってきて味にもコクがある。

 

鰆(さわら)と鯖(さば)、両者ともに青魚であり、外見が似ているように思う。形状は、さばのほうがプリッとしていて、さわらのほうが語源のとおり細くてシュワッとしているが。

余談だが、イタリアの魚屋や市場で魚を選ぶのは、楽しいけれど難しい。イタリアで「スゴンブロ(Sgombro)」と聞けば脳内で「さば」と変換されるのだが、下の図鑑にもある「タイセイヨウサバ」は、表面の柄などから日本の「さわら」に似ている。「さわらじゃないの?」と言いたくても、「さわら:スゴンブロ=さば」であるからして…。イタリアの魚屋では、日本でイメージしていた色や柄とちょっと違ったり、魚の名前が地方によってぜんぜん違う(日本も同様)。とにかく魚屋であれこれ会話するのは楽しい反面、とても難しい。


参照「魚貝図鑑」(さば)
⇒参照「魚貝図鑑」(さわら)

うつわ職人のなんちゃってレシピ

「さわらのトマトスープ」

 

1.さわらを一口大よりすこし大きいくらいに切り、塩をまぶし、ペーパーで水をふきとり、そのあと酒に30分くらい浸す。

2.白菜をザクッと、さつまいもを一口大に切る。

3.フライパンで①を皮面から焼いて焦げ目をつける。

4.土鍋に少量のオリーブオイルとニンニクをいれ②をさっと炒め、水を加えて煮る。さつまいもが少し柔らかくなったらホールトマトを入れ、ぐつぐつ始まったら③を入れてさらに煮る。

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我妻珠美 陶展  -秋を炊く-
Tamami Azuma

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10月

18日

土鍋で炊く「秋ごぼうと鶏のごはん」

秋ごぼうと鶏のごはん/土鍋中 Cocciorino
秋ごぼうと鶏のごはん/土鍋中 Cocciorino

秋の根っこ「ごぼう」を食べよう!

さて、根っこといえば。個展まで秒読みなので、作品にかくれている「あしあと」と「根っこ」のヒミツをお教えしよう。イタリアに長く住んだものの、かの地に根を張るということが、どんなに難しいものであるかわかったからこその「根っこ」と、それとは反対に、確実に残してきた「あしあと」。この20年あまり、作品に残しつづけているシンボル。

映画「ショコラ」(ハッセ・ハルストレム監督)でヴィアンヌ演ずるジュリエット・ビノシュが、フランスの小さな村ランスケの冷たい空気のなかで「わたしはデラシネ(根無し草)」というシーンも大好き。「根無し草」であってもいい。強いポリシーを持ちつづければ。

日本の地でおろしている根っこを、時にひょいと引っこ抜き、浅くてもいいから別の地で根をおろす。異国の水がおいしいと感じられたら。そんな願いをこめて、作品にシンボルを残しつづけている。

新作「ヴィヴァ」/土鍋中・ミニ土鍋 Cocciorino
新作「ヴィヴァ」/土鍋中・ミニ土鍋 Cocciorino

うつわ職人のなんちゃってレシピ「鶏ごぼうごはん」

1.ごぼうはさかがきにして水にさらしてアク抜きする。
2.鶏肉はちいさく切り塩をすりつけ酒に漬ける。
3.浸水してある玄米(白米)に昆布を入れ、①②、醤油、酒もちょろっといれて炊く。
4.白米の場合は沸騰したら細火で20分、玄米は40分。
5.最後に芹のざく切りと菊花を入れて。

秋の根っこ「ごぼう」と、秋の花「菊」が対話する。秋の根っこは「ふんばる」と強くたくましく言っていた。

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我妻珠美 陶展  -秋を炊く-
Tamami Azuma

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2018年11月16~24日 ※21日休廊
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2018年

10月

15日

土鍋で蒸す秋「しめじと菊花」

しめじと菊花/土鍋 Cocciorino
しめじと菊花/土鍋 Cocciorino

野草にならび野花を食べるのが好き。東京に住んでいるとなかなか難しいが、エディブルフラワー(食べられる花)もだいぶ店の棚に並ぶようになった昨今。古にさかのぼり、花を食べるといえば、紫蘇の小花や菊。お刺身の横に添えてある可憐な演出、ではなくて、効能ある演出。古代中国で薬として用いられていた菊には、殺菌・抗菌効果が期待できるということで、お刺身の横に置いてある。

さて、秋の菊といえば、等々力の玉川神社のたくさんの菊の前で撮った七五三の写真を思い出す。子どものころは、菊の香りが強すぎてくらくらきたものだ。亡き父が当時持っていたカメラは、スマートフォンと違って、限られたショットしか狙わなかっただろうに、たいがいの表情はしかめっつらだった。

 

菊のおひたしや、菊のてんぷらを食べながら想う。いつからであろうか、この香りがたまらなく美味であり、日本酒がすすむ!などと調子にのるようになったのは、いまカメラをむけてくれれば、きっとしかめっつらはしないだろうに。

うつわ職人のなんちゃってレシピ

「しめじと菊花のせいろ蒸し」

1.土鍋に水をはり沸騰させる。

2.せいろのフチにそってしめじを並べ、中央をあけておく。しめじを3~5分蒸して火を止める。

3.②の中央に食用菊をふわっと乗せてふたをして余熱で蒸らす

 

※菊花の芯は苦いので花びらだけをむしり、しめじと一緒にポン酢とどうぞ。

ポテトサラダ(ハム入り)にも、菊花をパラパラする。パンにはさめば殺菌効果も期待できるだろうか?そんなことはさておき、うっとりする香りのポテトサラダに変身することは保証する。

個展まで一ヶ月をきり、制作も佳境に入り日々に追われながら。ポテトサラダのうつわ「ココット」は私物だが、さまざまな色が個展で登場予定。

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我妻珠美 陶展 -秋を炊く-
Tamami Azuma 
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10月

13日

土鍋で蒸す「生落花生」と秋の土の香り

落花生収穫の季節。春でない秋の土のニオイと、ぽろぽろこぼれたままの根っこについた落花生掘りに行ったことを思い出す。さつまいも掘りの土のニオイと似て非なり。落花生畑は、乾燥した土のニオイがする。

乾燥させた落花生は一年中見つかるけれど、生落花生こそ秋の旬。もし店頭で見つけたら、生鮮野菜と同じように水分を保っているので、新鮮なうちに蒸すこと。


茹でるのが一般的なようだが、簡単で風味が残るのは「ふかし」のような気がする。2/3量は「落花生ごはん」にしたので、残りをミニ土鍋で蒸す。

土鍋にはった水はすぐに沸騰するので、そこから20分弱でやわらかく炊ける。簡単に甘くておいしい落花生のおつまみ完成。召し上がるときにお好みで塩をふっても。雪塩というパウダーのような塩や、抹茶塩などと楽しむのも乙。

※セイロ13cmを乗せた写真の土鍋は私物のため参考作品、個展では新作が登場!

生落花生はとても美しく、殻をわった実は桜色で汗をかいていて、乾燥させた後に煎ったピーナッツには見られないフレッシュの証。デザインされたような殻の模様は「維管束」といい、水分や栄養を送る落花生の「へその緒」。

お気軽にお越しくださいませ!
ギャラリーでお待ちしております。


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10月

11日

土鍋で炊く「生秋鮭のごはん」

「生秋鮭ごはん」/土鍋浅大 Cocciorino
「生秋鮭ごはん」/土鍋浅大 Cocciorino

遡上する鮭のように

ピンとはった綱を歩くピエロのように、いや緊張感をもって鼻先を上流にむけて泳ぐ鮭のように。とにもかくにも個展まで1ヶ月。陶芸は「完成」まであらゆる工程があり、仕上がりを逆算しながら進む。

 

こんな体制でシゴトをしていること、そしてみずから旅する身であるからこそ、半ば旅の途中「秋鮭」に、深く手をあわせ「いただきます」と言いたくなるのだ。

必死で川をのぼり産卵し、生まれた稚魚は大海原に旅に出る。数年間の回遊を追え、親になるために生まれた川に海から戻ってくるというミステリーな生態。そこで捕らえられたのが「秋鮭」。

秋鮭は「白鮭」とも呼ばれ、もともと白い身は、エビやカニなどの甲殻類を食べて赤くなっているそうだ。海に充満する栄養をカラダにしみこませ、川に戻ってきたところを人間が、上流にたどりついたところを熊などの哺乳類や鳥や昆虫やらが。そして、それら生き物は山に栄養をはこぶ。

写真の土鍋は先日の窯たきで失敗した作品。展覧会では新作をお楽しみに。
写真の土鍋は先日の窯たきで失敗した作品。展覧会では新作をお楽しみに。

「旅人」である作家は、わが身が赤くなるまでいっぱいおいしい経験を食べ満足し、その身を誰かがおいしいおいしいと食べればいい。そして工房コッチョリーノの「旅する土鍋」は海のようなもの。土鍋にたくさんの栄養を盛り、川に、山にたくさんの栄養をはこぶプロジェクトなのだ。

いまは「秋鮭」と同じで産卵のとき。一ヶ月をきった個展まで、一心不乱に川を遡上している。

うつわ職人のなんちゃってレシピ

① 鮭の切り身に白をこすりつけ、酒に数時間つけておく。
②洗った米に入れて炊くだけ。
③この日は大根の葉っぱがあったので刻んで添えた。

※酢飯にしてシソと白ゴマをちらしてお寿司にしてもよい。

お気軽におこしくださいませ!
ギャラリーにてお待ちしております。

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10月

07日

土鍋を育てる「名誉ある焦げあと」

薪窯のなかで/ボローニャにて Cocciorino土鍋
薪窯のなかで/ボローニャにて Cocciorino土鍋

「よく育つ」

下の写真は、10年使いつづけているコッチョリーノ初代の土鍋。当時、2年のトライアルを経て、使用の安全性を確認したのち、個展で発表した想いのつまった一品。初代は線にも迷いがあったなぁ。それよりなにより、我が家でよく育ってくれているなぁとしみじみする。

ヘッダー写真にあるように、イタリアでは、薪窯に直接入れて使ってくれている家庭もあるので、それはそれは見事に育っていてうれしい。

最初のひとすじの焦げは「汚れ」として気になるものだが、だんだんと重なるグランジっぷりは、使い手の作品となる。つくり手は、きれいなままの器より、その人が映し出される器をみると、泣きたくなるほどうれしくなるのだ。

「愛着」と「名誉ある焦げあと」

「たまねぎスープ」スープ・レッスン(有賀薫)Cocciorino ココット
「たまねぎスープ」スープ・レッスン(有賀薫)Cocciorino ココット

土鍋は、煮込むだけでなく、炒めることもできる。
今回は、もっとも敬遠される「焦げ」を恐れるなかれ、あめ色たまねぎからつくるスープを、炒めることから加水してスープに煮込むまで、土鍋ひとつでつくってみた。


下の写真、左から「①あめ色に炒める」⇒「②加水して完成」⇒「③洗浄後」である。
洗浄すれば、ご覧のとおり8割方の焦げは落ちる。なんせ10年使い続けている土鍋なので、③の写真は、経年的な汚れを含めてのものであるが、ひとつ今回の調理で取れなかったのが、釉薬のかかっていないふちの部分の汚れ。これを「名誉ある焦げあと」とあえて呼びたい。

Cocciorinoのツイッターにて、スープ作家の有賀薫さんよりご質問いただいた。

「育った鍋でつくるスープは新品の鍋とは味がちがうのだろうか」@kaorun6 ⇒@cocciorino

Cocciorinoのお答えは以下のとおり。

「作家として、まずは「愛着」を持ってもらうこと。革の靴、財布のようなもので、クセを知れば料理も楽しくなる。味覚としては、洗わない伊エスプレッソマシーンにも近いような。油がしみこみ美味、こびりつきにくく、かつ丈夫になると実感していますが、料理のプロではないので検証の余地なし」

「にんじんスープ」スープ・レッスン(著 有賀薫より)/Cocciorino土鍋
「にんじんスープ」スープ・レッスン(著 有賀薫より)/Cocciorino土鍋

※当記事はnote「ちょっとブレイク 土鍋を育てる」書き下ろしたもの

INFORMATION

我妻珠美 陶展 -秋を炊く-
Tamami Azuma 
Ceramic Art Exhibition

Ecru+HM(Ginza Tokyo)
2018年11月16日~24日
※21日休廊
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル4F

2018年

10月

04日

土鍋で炊くしめじと干し大根のごはん

土鍋で炊くしめじと干し大根ごはん/土鍋 Cocciorino
土鍋で炊くしめじと干し大根ごはん/土鍋 Cocciorino

だいぶ冷えるようになった忙しい秋の晩、大根をおでん風に煮込んだ。大根にからしをといていただくシンプルな一品は、汁も飲み干したくなるほどおいしかった。

翌日は、残った大根のお汁でごはんを炊く。しめじに自家製ザクギリ干し大根、しょうがを入れて炊く。大根の汁を入れるのだから合わないはずはない。土鍋に米と大根の煮汁、しめじと自家製ザクギリ大根を入れて炊くだけ。

自家製ザクギリ干し大根
自家製ザクギリ干し大根

うつわ職人のなんちゃってレシピ

1.大根の煮汁(酒、醤油、昆布、甜菜糖など)があれば最適。
2.米を研ぎ①を入れ足りなければ水を足す(ひとさし指第一関節)。
3.昆布、しめじ、干し大根、生姜をいれて炊く。

4.山椒をかけていただいてもおいしい。

野菜を送ってもらっている山梨の農場の干し大根をまねてつくったもので、彼らの無農薬大根ならば皮ごとスティック状に切って天日に干す。糸に通して吊るのもよい。

 

秋色に染まるごはん、ふわっと弾力を帯びたしめじ、うまみのスポンジのような大根。土鍋の底には、大根の煮汁と米がいっしょになったおこげ。もちろん家族でうばいあいである。

 

土鍋とは、食材たちが仲良くなる道具。

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我妻珠美 陶展 -秋を炊く-
Tamami Azuma 
Ceramic Art Exhibition

Ecru+HM(Ginza Tokyo)
2018年11月16日~24日
※21日休廊
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル4F

2018年

9月

30日

海から生まれたネコ

旅に出ると連れて帰る石がある。
そのときの心にぴったりあった石。


幼いころから石を拾って帰る子だった。“むやみにそこに生きるものを遠くに持ち帰ってはその子やその子の仲間が泣きます”と母に言われ、部屋を整理するたびに“いつか捨てることになるのならば、その地の仲間に戻しに行く覚悟で救いなさい”と言われたことが心に残っている。だからこそ、イタリアで拾ってくる石には、その自信がある。きっとまた戻ってくるという。

 

この夏も「旅する土鍋」は、南イタリアはカラブリアに赴いて、おいしい料理を土鍋に入れてもらった。毎朝、自転車にくるくる乗るか、ビーチサンダルをペタペタいわせながら、いつもの海に行く。透き通る青い海と空に浮かびながら、たくさんの空想をした。足もとの砂浜を何時間もながめた。

 

「濃い青色まで泳ごう」カラブリアの友だちのこのセリフは20数年前から変わらない。 

青い海からは、飛び魚が跳ね、遠くで青いイルカが笑う。

青い空からは、地球から離れたら迷宮だよと父が笑う。

 

拾った石は、本当は誰にも見せたくないのだけれど、カラブリアの家で1週間ほど一緒に過ごしたちいさな女の子に、砂浜で拾ったシーグラスをあげたら、翌々日、彼女は「あなたはわたしの親友」と、砂浜で拾ったもっとすてきなシーグラスをくれた。

 

帰国後、あるきっかけで、石を大事に扱い尊い作品をつくっている友人に贈ることにした。それはそれは勇気を持って。石というより、陶器のかけらだろう。釉薬がかかったタイルかな、器だったのかな。長い旅をして角がまるくなっている。イオニア海をはさんでカラブリアの対岸のプーリアには陶器の町がある。そこから流れ着いたのかもしれない。

 

彼女の手から生まれた海をみつめたネコの眼は、海の色をしていた。

毎日青い海の中で泳いだはずのわたしの眼は、それでも深い深い漆黒だった。

釉薬のムラである斑点を、海のネコのやさしい毛並に。紅い南イタリアの土は、海のネコの体温に。

ありがとうAkieさん。いつかカラブリアの海に還るのかもしれないネコの眼は透き通っていた。

※後日談:この作品はAkieさんの手からカリフォルニアのお客さまに旅立つそうです。南イタリアから東京経由のカリフォルニア。旅する土鍋ならぬ旅するネコ。すばらしい。

INFORMATION

我妻珠美 展-秋を炊く-

2018年 11月16日~11月24日

⇒詳細
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル4F
Ecru+HM(エクリュ+エイチエム)

2018年

9月

30日

土鍋でつくる「にんじんの塩スープ」

土鍋のごちそうサウンドを聞きながら

蓋をして蒸し煮するスープに土鍋は最適。

 

調理中の土鍋の本体にいい色がつく。ニンジンの糖分がカラメル化して、オリーブオイルの油分がディープな芳ばしさを残す。これらが炭化すると焦げに至るが、このちょっと手前の風味が土鍋につけば味が増す。

 

レシピではさらに加熱するところを、土鍋の場合は火を消す。それでも土鍋の「ごちそうサウンド」である「ことこと」が数分つづき、土と芳ばしい香りが余熱というあそびでで調理される。これが土鍋のたのしさであり魔法なのかもしれない。

 

有賀さんいわく「つい加えたくなる、うまみや香りいろどりなどの、ちょっとひと手間より、簡素なレシピをめざした」とあるが、今回はニンニクを微量、ディルを添えた。それは、わたしの嗜好によるものであり、以下にその理由を少しつづって、有賀さんの新刊「スープ・レッスン」の紹介に代えさせてもらおうと思う。

 

読みごたえ、つくり甲斐のある本なのでぜひ。

「にんじんの塩スープ」(有賀薫 著 スープ・レッスンp54)Cocciorino土鍋
「にんじんの塩スープ」(有賀薫 著 スープ・レッスンp54)Cocciorino土鍋

好きなものは「おみそ汁」からはじまった

子どもが生まれてから19年近く、わがやのスープ(または汁物)頻度は高い。

 

幼いころからしっかり食べ、毎日スポーツにいそしむ少年がいたので、粗食でもガッツリ腹もちの良い食事をつくった。玄米を15年間つづけていることや、スープ(汁物)をつくる理由もそんなことから。幼~高校までの毎日のお弁当も、お腹を満たすためのスープ(スープジャー)は必須だった。そんなこんなで、我が家のスープ(汁物)率は高い。そして、幼稚園のころから今でも彼の好物は「おみそしる」である。毎日がなんちゃって母さんだが、それはちょっとうれしい。

有賀さんの「精進スープ」 Cocciorino スープカップ
有賀さんの「精進スープ」 Cocciorino スープカップ

『いけるかも!』と思うスープをつくる

 その裏には、若いころスープを敬遠していたわたしがいたのも事実で。

 

お酒を飲むのが好きなわたしは、おつまみのような食事が好きだった。思えば子どものころからそう。アルコールの合間にいただくスープがどうしても苦手で、通せば胃袋がガブガブになった。

 

子どもと食事をするようになり、家族と食事や時間の足並みを合せたり、夕食後も工房に入ることが増えてからは晩酌は仕事の後になり、ようやくスープ(汁物)がうれしい環境に変わったのだと思うが。今でも、どちらかというと「おかず的なスープ」を好む。「葡萄酒に合うかも!」「日本酒といけるかも!」というスープ(汁物)を狙っているような、そんなヒミツみたいな好みが実はあることを告白しながら。

 

よき秋の夜をスープと、時には葡萄酒をお供に過ごそう。

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我妻珠美 陶展 -秋を炊く-
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2018年

9月

27日

土鍋で炊く秋刀魚ごはん

秋刀魚ごはん/3合炊き土鍋 Cocciorino
秋刀魚ごはん/3合炊き土鍋 Cocciorino

耳をすませば「3つの土鍋ごちそうサウンド」

土鍋の蓋をあけるとき、ゴロゴロンと蓋と本体がすりあう土の音が好き。あの音は、金属の調理器具にはない、ひとつめの『土鍋のごちそうサウンド』

 

わが家は煮魚や焼き魚が大好きで、秋刀魚など食卓にあがったら手を合わせるように喜ばれる。頭も食べてしまうので、骨一本きれいに残るだけ。 

もちろん焼いた秋刀魚にかぼすを絞るだけで充分なのだが、人数分の秋刀魚がないときに、ごはんと炊き込んだり、煮たりする。通常は玄米食だが、魚を炊きこむときは、魚の香りを引き立たせるために、白米(または麦飯や雑穀)にする。苦みある秋刀魚の内臓と骨から出る旨味が大好きなので、丸ごと炊きこむ。

 

分量の水にペロンと昆布と生姜を入れるほかは、出汁に味をつけない。そのかわり秋刀魚に塩をすりこみ30分ほど置き、焼いてから炊き込む。

 

土鍋に耳を近づけると、ふたつめの『土鍋ごちそうサウンド』が聴こえはじめる。ふつふつという米が炊ける音。最後に3分ほど強火にすると、みっつめの『土鍋ごちそうサウンド』が土鍋底から。ぱちぱちと小さな音を立てはじめたら、サッと火を消す。土鍋お余熱でおこげができるのだ。10~15分ほど蓋をして蒸らせば、ふっくら仕上がる。

 

 

とんでもぜいたくな秋がやってきた。

うつわ職人のなんちゃってレシピ(土鍋ごはんの炊き方)

1.米を研ぎ、ひとさし指の第一関節(玄米は第一関節半)まで水を入れ、1時間ほど浸水させる。
2・土鍋の蓋をしめて、中火にかけてぐつぐつ沸騰したら極弱火にして20分(玄米の場合は40分)最後に強火3分。10~15分蒸らして完成。

 

※秋刀魚を一緒にたきこむ場合は、①に昆布と生姜と酒を入れ、塩をすりこんで両面焼いた秋刀魚を乗せて炊く。(写真:米のみ3合/秋刀魚ごはんは2.5合)

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お気軽にお越しくださいませ。

我妻珠美 展-秋を炊く-

2018年 11月16日~11月24日

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※かれこれ10年以上企画してくださっている老舗ギャラリー。

2018年

9月

26日

土鍋でつくる明太子豆腐スープ

明太子豆腐スープ/土鍋 Cocciorino
明太子豆腐スープ/土鍋 Cocciorino

「台所」という名のごはんや

 

もう30数年前になるが、「台所」という南青山の路地を入ったところにあった食事処でアルバイトしていた。タマゴが先かニワトリが先か、器と料理とアートと音楽が好きで、当時から食いしん坊で、いつも空想に飛んでいる学生だった。

 

さてはて、美大のアルバイト求人の張り紙はおもしろかった。学業柄「ヌードモデル」はもちろん、「課題おしえます」「料理します」「犬の散歩」「人体実験」などなど、バラエティに富んでおり豊かだった。大手建築会社でコンペの模型づくり、調査会社で図を描いたりグラフをつくるバイト、料理関係では、ベトナム・フランス料理店、パン屋など、いろいろしたなあ。

 

掲示板の中で「陶芸をまなぶ人」という条件で募集している飲食店があり、それが冒頭の店だった。

 

 

 

 

「耳と目と手で学ぶ」

 

当時、アパレル会社やファッションスタジオが華を咲かせていたエリア。 街がデザインされ、空間がデザインされ、モードやアートが浮かび上がり、たくさんの明日が詰まっていた。客層のほとんどがデザイナーやパタンナーで、頻繁にモデルや俳優も姿をあらわした。生活まるごと先を走る人たちが、安らぎを求めて隠れ家的な食事処に訪れていたのだと思う。

 

店主は、こだわり強く、時にきびしく、けれどもセンスあるおじさんだった。

 

開店前につくってくれるまかない。調理場に入って手順を眺めてよい時間で「たまちゃん、これがポイントね!」と、レシピというよりコツを教えてくれた。おじさんは家庭料理のプロだったようだが、まだまだ青くシブガキだったわたしは、大人を相手に経歴など聞ける能力など持ちえておらず、あいにくおじさんのことを知らないままに。 

焼き魚、オムレツ、ハンバーグ、野菜のいためもの、おひたし、豆腐サラダ…。中でも、おじさんのつくる明太子豆腐が大好きで。あれから30年、数え切れないほどおじさんの明太子豆腐をマネしてつくってきた。

 

すっかり冷えてきた秋の晩。

おじさんの明太子豆腐をアレンジしたスープをつくる。

今ではアレンジまでしているよ、おじさん。

 

 

(たぶん、つづく)

うつわ職人のなんちゃってレシピ

1.包丁の背をつかって皮から明太子の中身を出す。
2.フライパンに少量のバターと①を加え、飛び散りに注意しながら弱火で加熱。日本酒を加えてジュワーッとさせる。醤油をたらす。
3.鍋に出汁を用意してあたためキューブにカットした豆腐をいれ、②を加え、塩で味を調え、わけぎを入れて完成。

2018年

9月

25日

サラダ感覚の果物パスタ!「柿とゴルゴンゾーラのペンネ」

柿とゴルゴンゾーラのペンネ
柿とゴルゴンゾーラのペンネ

雨がしきりに降る東京。ろくろをひいた工房の作品の乾きも悪く、作業がはかどらず。「柿が赤くなれば医者は青くなる」なんて言葉があるように、気候よく過ごしやすい秋が早くきますように。

 

ゴルゴンゾーラと梨のパスタ。主に北イタリアで秋から冬になると登場する一品。ペンネのほかにリゾットもおいしい。

 

梨も季節まっさかりだが、案外とお高い(イタリアで使うのは西洋梨)ので、今日はちょっと硬めな柿を代用。梨や柿は、ゴルゴンゾーラに添えるちょっとした甘さと、シャキッとした食感のために入れるが、今回は柿をわりとたっぷり“果物パスタ ゴルゴンゾーラ味“”のようなスタンスで柿を使ってみた。塩気はパスタを茹でるときの塩気と、ゴルゴンゾーラの強い塩気だけで充分。

 

こだわった料理だと思わないように、タマネギも野菜も一切つかわないで超カンタンにご紹介。だってだって、うつわ職人だから!中くらいの土鍋に盛りつけて、サラダ感覚で取り合うように。

うつわ職人のなんちゃってレシピ

1.柿を小さめキューブにカット。
2.ゴルゴンゾーラをフライパンでとかし白葡萄酒をジュッと入れて、お好みでフレッシュクリームを加え、①を加えて加熱。

3.茹でたペンネを②と和える。お好みで胡椒をふってボナペティート!

我妻珠美 展-秋を炊く-

2018年 11月16日~11月24日

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9月

23日

温かいおそばを秋ナスで食す

東京は段階的にすこしずつ涼しくなった。

庭の桑の木の葉は、わずかに茶色くなって、葉を落とす準備をはじめたようだ。「日本には四季がある」とは、こういうものかと改めて繊細に移ろう季節にしみじみしている晩、温かいおそばを食べることにした。


冒頭にも書いたとおり日本には四季があるので野菜の育ち方も豊かだ。涼しくなってきた頃の野菜は、アミノ酸を充分にたくわえて旨味全開でやってくると聞く。イタリアの真夏に存分においしいナスやトマトを食べてきたのは、土地によって栽培法が異なるため。イタリアのそれは初夏がもっとも美味だという場合や、真夏でも充分栄養価が高いと言われるものもある。


利尿作用があり、体内にこもった熱を排出する役目がある野菜が多い夏。夏に食すナスも、理にかなっているわけで。

 

さて、旨味の詰まる秋ナス。涼しくなったころに食べつづけると、カラダを冷やす。今夜のおそばは、ナスのあたたかいおつゆでいただこう。

うつわ職人のなんちゃってレシピ

1.鍋に出汁をとり(または既成の出汁)醤油と酒と甘酒(※)と塩少々でそばつゆを準備。
2.シシトウ、ナスの順に、オリーブオイルで焦げ目をつけるように焼く。
3.②を①に入れ、大根おろしをたっぷり入れ、七味をふってできあがり。

4.ざるそば、もしくは茹でたおそばに添えて。

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9月

22日

土鍋と酢の物

タコの酢の物/浅めの土鍋 Cocciorino
タコの酢の物/浅めの土鍋 Cocciorino

甘酒とわさびの相性が好き。

そんな魅力を酢の物に。

 


噛みごたえのある海のものには勇敢さがある。海の塩気に、山の清い辛さと、穀物の甘さを引き寄せたくなってつくった酢の物。

 


さっと和えた酢の物を土鍋に盛りつけて冷蔵庫にさっと15分だけいれる。冷えやすい土鍋がいただきますの前にできること。酢がタコにしみておいしくなるから。

うつわ職人のなんちゃってレシピ

①薄切りしたキュウリを軽く塩もみし水を出す。
②生ワカメを洗い小さく切る。
③タコを薄切りにする。
④二杯酢(米酢、醤油)に、甘酒をたらし、わさびをとかす。
⑤土鍋に盛りつけて10〜15分冷蔵庫へ。


2018年

9月

19日

自分らしい色のはなしをした

わたしという魚は、人がやっていないことをいつも模索しながら毎日を泳いでいる。もしわたしが釣り人であれば、人と違った魚を釣ってわはは!と笑いたいので、その魚がおいしいか価値があるかなんてわからないけれど、そのために色のちがった魚になろうと思っている。

 

桜色のカラダ、アクアアマリンの眼に吸い込まれ、真鯛をまよわず料理した。

 

 

…さて、なにを食べようか。仕事や用事が終わり、とりあえずブールアンジュと沢村、それぞれでバゲットとカンパーニュを買い、メニューはスーパーで考えることにした。食材次第で料理を決める。わが家の徒歩10分圏内にはスーパーが4軒あってね、すごいでしょ。まずは魚が得意な店、つぎにハーブや輸入食品が得意な店、最後にアレが安い店という順番で買い物をして、とりあえず白葡萄酒をあけて下ごしらえをする。(※アレというのは都合によってどんな食材もあてはまる)

ファッションデザイナー、カメラマン、インダストリアルデザイナー、そして陶芸家(わたしだけ正式な横文字がない)と、デザイナーのたまごが時差ありで席についてごはんを食べる。制作に焦っている時期ではあるが、焦っていてもエンジンはからまわりするばかりで摩耗する。どうせうだうだしているのなら、こういう時間も必要だ。

 

楽しみ悩めるフリーランスたちは、それぞれ歩んできた道や年数もちがう。話もあちこちに飛ぶけれど、いつも「自分らしさ」を信じること貫くことであるという結論に至る。

なんちゃってレシピ「鯛のオーブン焼きリグーリア風」

①うろこ、内臓をとりよく洗いペーパーで水気とる(ここまで可能なお店もある)。
②身の内側と外側に塩をまぶす。
③内側にハーブ(ディル、パセリ、タイム、セージなど)とレモンの輪切りをはさみ、表面にも適当に散らし、オリーブオイルをまわしがけて250℃で15分焼く。
④プチトマトと黒オリーブを追加投入。魚から水分があまり出ていなかったら白葡萄酒少々。あと5~10分。完成。

日本でもは真鯛を、本場リグーリアでは黒鯛を焼いが、それぞれおいしくできあがった。

 

日本の真鯛は身が引きしまり甘く、国産の海塩が合う。リグーリア湾の黒鯛は身が柔らかく、さっぱりしており本場のレモンがよくしみた。コツは、惜しみなく上質なオリーブオイルをかけること。今回は毎年もちかえるヴィンチ村の友人が絞るオリーブオイルをかけたのも勝因のひとつ。

おしらせ

「旅する土鍋2018」についてお問い合わせがありました。

第二弾の冊子のもとになる記事をこちらで挙げています。

「旅する土鍋2018」マガジン

2018年

9月

15日

土鍋でつくる「そばの実入りトマトスープ」

蕎麦の実「カーシャ」のトマトスープ/土鍋Cocciorino
蕎麦の実「カーシャ」のトマトスープ/土鍋Cocciorino

土鍋の魅力を使おう!なんちゃってレシピ

①みじんぎりセロリ、ニンジン、タマネギなど旨味が出る野菜をいためる。
②みじんぎりベーコンで脂質と塩気を加える。
③ホールトマトと水を加えローリエやオレガノをいれて煮る。
④野菜が煮えたらそばの実を加えてやららかくなるまで煮て、不足であれば塩味や好みのスパイスを。
⑤土鍋のふたをしめて10分放置すればスープを吸ってやわらかくなったそば粥が、蒸らし時間をなくせば、歯ごたえを楽しむそばの実入りスープとしておいしく食べられる。どちらも芳ばしさが広がり美味。

ロシア、ウクライナ料理についてはまったく知識がないが、今回は近所のスーパーでわりと安価に入手できるスラブ地方で食べられるロシアの蕎麦の実「グリェチカ」(ギリシアのという意味)を使ってみた。この地方で食べられる「カーシャ」というそばの実の甘いお粥もつくってみたいなぁ。


一方イタリアでは、そば粉のことを「グラーノ・サラチェーノ」(サラセンの穀物)という。アジア原産のそば粉は、セラセン帝国(イスラム)を通ってヨーロッパに到来したといわれており、たぶんフランス語も同じ意味だったと思うけれど。

イタリアでも、そばの実と押し麦のサラダとかおいしい食べ方がいっぱいある。古代小麦にならび、そば粉や雑穀が見直されている今、あらためてそば粉のパンやケーキなども友だちの間でよく話題にのぼる。ロンバルディア州の北ヴァルテッリーナ地方には、そば粉のパスタ「ピッツォッケリ」やそば粉の衣の揚げ物「シャット」などもあって、私は好き! 

毎年「旅する土鍋」プロジェクトでは、日本食の一品としてそばをふるまうのだけれど。それ以来、そば好きになった!という嬉しいイタリア人が何人かいて、毎回楽しみにしてくれているみたい。

季節の野菜をてんぷらにして、土鍋に盛り付けてみんなでわいわい食べたり、ちょっと日本酒を味見してみたり。甘くてしょっぱい蕎麦汁がどうやらイタリア人の舌にも合うらしい。

2018年

9月

11日

美術鑑賞「明るい地上にはあなたの姿が見える」内藤礼

Le bamboline con una ciotola /陶人形たちとお茶碗 Cocciorino
Le bamboline con una ciotola /陶人形たちとお茶碗 Cocciorino

「祝福」ー誰かに呼ばれているようなー

内藤礼の大規模な個展に赴く。

作家の真骨頂と、磯崎新の空間に、ミクロとマクロ、生と死に心象がうかびあがる展であった。91年佐賀町エキジビットで最初に観た作品、直島や豊島で感じた空間、東京のざわめきの中での作品、どれも削ぐ白さに加える自分の自由さが大好きな作品。

 

巷でよく聴く言葉に、ふといつも立ち止まる“誰かのために”というものがある。自らのものづくりにおいて、どうしてもその感覚がない。そのわりに、決して自分が良ければいいや!という自信や傲慢さは、残念ながら持ち得ていない。まだ淘汰されていないというか。誰かに呼ばれているような気がするからつくっている。そんな感覚なのだ。

その誰かが、誰かなんてどうでもよくて。

内藤礼作品と自宅の植物
内藤礼作品と自宅の植物

内藤礼展にて、ひとり一枚持ち帰れる丸い薄紙(写真上)には、ミクロな文字で「おいで」とある。薄暗い空間で、その作品を観たとき、あまりの遠視が進んでいるために、実はそこに「文字」が書かれているなんて思わなかったのだけれど、なぜか「どうぞ」と明るい世界に手を広げられ、祝福された気持ちが湧き上がったことを覚えている。

帰宅して、モスキート音も確実に聴こえる我が家の青春に「おいで」だよと容易に視認されたときは、彼こそ現代の世の中に祝福されている世代なのだなと感じた。あまりにも経験が更新される速度が高い時代。豊かな経験者が指揮棒をふりかざす時代は終わり、経験者は堂々と壁となり、豊かな表情のモデルとなり、次の世代に「おいで」とサジェストする時代ではないかと考える。チャレンジャーがどんどんパンチングしてもケガをしないために、「おいで」と祝福したい。

内藤礼 -明るい地上には あなたの姿が見える-
2018年7月28日(土)~2018年10月8日(月)
水戸芸術館

2018年

9月

02日

帰ってまいりました「旅する土鍋2018」

枝豆をひとりぶん/ミニミニ土鍋(せいろで蒸し料理)
枝豆をひとりぶん/ミニミニ土鍋(せいろで蒸し料理)

今年も「旅する土鍋2018」すべての日程を元気にこなし、日本に戻ってきた。帰国早々、関西の台風や北海道の地震もごちゃまぜにやってきた。そんな中で日本の夏の旬もいろいろ終わってしまった。ヘッダー写真のエダマメも文末の個展情報のトウモロコシも個展PR用に撮影したものだが、旬とはうれしくもあり切なさもあるのね。


旅の様子は別途記事にまとめており、4年前につくった小冊子の第二弾として出したいと思っている。ただの言い訳なのかもしれないが、いやいや毎年思う不思議なことがある。現地では(その地を離れて別の地でも)、顔を天にむけながら、そのときの気持ちや想いがスーッと思い出せる。オリジナルな言葉が湧き上がり、その場の風のおかげだろうか、それとも香りだろうか。ガヤついた喧騒と言葉、まったく反対のセミの声しか聴こえない静寂と言葉のなかで。東京に帰ってくると間違えた感情が介入されたりするので注意して記事を書いている。

 

イタリア現地仕様のケータイもポータブルWiFiも持っているのに、なかなかどうしてリミットがいろいろあり思うように使えない。会いたくて訪ねるかたの家にお世話になることが殆どなので、PCを開くより、人と話して、人から聞いて吸収したい。眠さに負けそうな直前も、PCでなくその家の主の言葉に浸かりことんと眠りたい。都市でなく地方に滞在することが多いので、電波もWiFiも思うように入らない。これらソフトとハードの問題で原稿は滞っていて。まずは、この秋の個展作品づくりをせっせと。

小冊子は来年になると思うけれど、どちらも乞うご期待。

 

 

このあとは、通常営業にもどり土鍋のつかいかた提案や、展覧会情報などいつも通り掲載する所存。

トウモロコシを2人分/土鍋中(せいろで蒸し野菜)
トウモロコシを2人分/土鍋中(せいろで蒸し野菜)

我妻珠美 展-秋を炊く-

2018年 11月16日~11月24日 ⇒詳細
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル4F
Ecru+HM(エクリュ+エイチエム)
※かれこれ10年以上企画してくださっている老舗ギャラリー。

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2018年

6月

26日

熟成とパンチェッタ

「自家製パンチェッタ」平皿Cocciorino
「自家製パンチェッタ」平皿Cocciorino

ハムのように

これほど毎年くりかえすひとり旅。

思えばひとり旅のはじまりが2つある。

「機運」とは時のめぐりあわせ:物事をなす時機。
「気運」とは時のなりゆき:物事が進もうとする傾向。

大学で陶磁器を学んでもまだガラス作家になることがあきらめられず、あの日、無情な気分で新幹線に乗って弟子になろうと広島のガラス作家のうちに向かいましたが、眼を大けがしてまた東京駅に。そのあとどのくらい経ってからだろう。日付が変わるすこし前の時間に、東京発の寝台列車ブルートレインに乗って、有田、唐津、伊万里の窯めぐりの旅をしたのです。

 

今でこそ客観的であるから、前者は「気運」、後者は「機運」であったと2つの気持ち的な違いが明解。失礼なことに、前者の広島行きは、見送ってくれた人、迎えにきてくれた人がいたはずなのにうるおぼえ。流れにのって行きつこうと向かうときが前者の「気運」で、おそらく急流のなかで自分しか見えなかったのでしょう。

一方、
ブルートレインでの九州への旅は「機運」。東京駅から出発するシーンや見送ってくれた人の顔、列車のなかの会話、陶芸の地で出会った人、唐津の海の風、古代の陶片や偉大なる作品のことなども30年くらいたった今でも覚えていて少し感傷的になったりします。「めぐりあわせ」という言葉をおなぐさめ的に使いがちですが、本当のめぐりあわせは、自らが少し熟してから気がつくようです。


恒例の「旅する土鍋」は、実は何年も寝かせて2013年から動きはじめたプロジェクト。熟成しておいしくなった生ハムのごとく、このプロジェクトは「機運」であり、美味しさのめぐりあわせなのでしょう。

うつわ職人のなんちゃってレシピ「自家製パンチェッタ」

生肉であること雑菌発生の可能性もあるので、食すにあたっては自己責任のもと充分ご注意なさってください!

①豚バラブロックの全面にたっぷり塩をすり込む。

②胡椒、ローリエ、ローズマリー、セージ、バジルなどハーブがあれば一緒に添えてクッキングペーパーを巻いて容器に入れてふたをして冷蔵庫で寝かせるだけ。

③水分が出るので、最初は毎日、1週間経ったら様子を見てキッチンペーパーを変える。(手をきれいに洗い除菌するとよい)

 

※干したり燻製にすれば生ハムだが、わが家はシンプルに冷蔵庫で寝かせるだけ。
※変色し硬くひきしまった3週間くらい熟成したものを薄く切って生で食べ始めるのが好き。写真は1ヶ月経過したもの。カルボナーラやアマトリッチャーナ(トマトのパスタ)に入れて加熱してもおいしい。

2018年

6月

22日

羊たちの爆笑

「つみきピッコロ」Cocciorino
「つみきピッコロ」Cocciorino

羊たちの爆笑

年一度、学生時代の親友のお墓参りに行きます。かれこれ30数年来の親友たちなのだけれど、我らはあの頃とっても青春で、羊だか山羊だかでした。みんなで芝生に寝っころがって夢を語りました。あんなことがしたいそれをデザインというのだなどなどエンドレスに。

現在は「夢」とか安易に使うのはどうだとか耳にするけれど、今があるのは夢があったからで、親友がそこからいなくなったのも夢だと思っていましたから。

今年もお墓の前でここ数ヶ月で一番わらったのだけれど。ごっそり笑い声がピンボールみたいにお墓石にあたっては戻ってくるのですよ。夢が現実に還ってくるみたいに。彼女との別れは、わたしたちを明るくし、わたしたちを強くしたと思います。わたしたちは、ずっと強かったのではありません。すごく弱くて、少し強くなって、すごく強くなりました。今でもわたしたちは遊びたいからたくさん働きます。わたし以外、世の中で大活躍している面子だけれど、また今夜もばかげた話で、またお墓の前とおなじように笑いまくります。そして、よく飲みます。あの頃と同じように一升瓶があっという間になくなる夜でした。

さて、あと1週間ほどで出発ですよ「旅する土鍋」。わたしが旅に出るのも、わたしを強くさせてくれた友がどこかで付き添ってくれているからで。いまや、親友と父は、空の上からぐいーんと360度の、いやそれ以上の次元で見ているのですね。日本から飛び出て片道切符を捨ててイタリアから帰ってこなくなってしまった娘を、ネットもない世界で静かに心配していた父の心臓を悪くしたのは、きっとわたしでしょう。あいかわらず困ったものだと言いながらきっとね。

そうそう、我が家の青春たちの大学では、“生きるデッサンモチーフ”である羊さんだか山羊さんだかが、子羊だか仔山羊を生んだのだそうですよ。命があってこその夢を彼らは育てて描いて創っているのですよ、そうなんです命も夢なのであり、やがて羊は期待通り爆笑するでしょう人間の前で。

2018年

6月

19日

梅と黄金の熱情!

「梅と黄金の熱情」金継豆皿 Cocciorino 
「梅と黄金の熱情」金継豆皿 Cocciorino 

桑の実にすねたのかもしれません。写真は、豆皿のなかで梅の熱情が走っている一枚です。

少し前のことです。5月の末、桑の実を摘んでいると、いてっ!背中に一粒の梅の実が落ちてきました。去年も今年も梅があまり実りません。花はこれ以上ない満開っぷりなのに。そのひとつが写真の実で、このあと数日後にもう一粒。これっきりです。植物にも命あり。意志があって、最強の存在感を示す使命にかられて落ちてきたのでしょう。一度きりの人生、騒がず誇張することなく、静かなる最強の存在感を示したいものです。梅の実に感謝。


今朝のNHK「あさイチ」の“らくらく梅活用術”というコーナーで、堀江さわこさんが「梅しょうゆ」や「梅ヨーグルト」を紹介していました。実は来月からの「旅する土鍋」、旅の一部を彼女と一緒にまわります。日々お忙しい彼女ですがお誘いしたところ快諾してくださり、それならば思い切り楽しもう!という計画を立てています。旅のレポートお楽しみに。





(追記)
昨日の大阪北部で起きた地震にこれ以上の被害が広がりませんように。イタリアからも日本の地震のお見舞いメールが続々と届きました。わたしたちが訪ねるマルケもおととし大きな地震のため被害が大きかった地域です。関東も揺れを頻繁に感じる今日この頃、心して過ごすことしかできませんが、地球と季節と生きる者、互いに動きを覚悟して生きていかなければなりませんね。

2018年

6月

15日

そらまめ占いとシンコペーション「空豆とトマトのスープ」

「空豆とトマトのスープ」Cocciorinoカップ
「空豆とトマトのスープ」Cocciorinoカップ

そらまめ占いとシンコペーション

スーパーなどで見る色もきれいでサイズがきれいに揃った大振りな空豆。中身の豆に安定性はあるけれど、ごそっとさやを捨てるたびに、きっと育てるのに人工的操作はあるし、選別という人間の労力がかかっているのだろうなぁなどと切なくなるのです。

近所の庶民的なお店にはキズがあったりサイズ不揃いな空豆が売っています。愛嬌があるので好きです。さやから豆を出す前に「あした晴れる!」さや開けて「アタリ!」とか「うひゃ、ハズレ」とか、占いチックなドキドキが味わえます。サイズというか成長具合が不均衡で、さやの中に大粒ひとつ、超赤ちゃん豆ひとつとか、大きいさやのわりに豆ひとつとか、小さいくせに中豆4粒とか。さやに守られて、必死に自分が生きるために栄養をもう一粒にもらって生きたんだろうなとか、空豆が必死に生きている感じ。やはり生きるということは、単一でなく、バラつきがあったりズレたりがいいですね。

「空豆とトマトのスープ」温かいスープでもガスパッチョ風でも!

さやから出た空豆は思ったより不発が多くて。急きょ無農薬スナップエンドウも足しました。豆はもっぱら土鍋せいろ蒸し。栄養分がお湯に逃げないし茹ですぎも防げるからです。

 

先日「ズッペリア」で食べた「3種の豆のスープとファッロ」を参考にトマトも入れて。わが家は皮ごとマッシュ。粒つぶな食感がスープに生きていました。タマネギを入れてもおいしいでしょうけれど、空豆の風味を活かしたく今回は入れませんでした。食べる前にヴィンチ村の友が育てたオリーブオイルをツツーッと。お店ではトッピングされていたジェノベーゼペーストの代わりにオリジナルよもぎペーストを。夕食は温スープとして、残ったスープは冷蔵庫で冷やして翌朝は冷製ガスパチョ風。浸したチャバッタ(パン)は「ズッペリア」のオリジナル。

余談ですが、ドンキホーテの中で食べている「ガスパチョ」にも浸したパンが入っていて、イタリア「ズッパ」同様、パンを浸したスープをいう意味も含むようで。いまや冷製のイメージが強いが、寒い冬はそれを温かいスープとしていたそうで。語源「砕いた(さいのめ)野菜」も多く耳にしますが、そういう意味では、我が家の豆の皮まで入った食感はある意味、語源通りかもしれませんね。

1.さやから出した空豆、スナップエンドウを土鍋せいろで蒸す。
2.皮ごとざく切りにしたトマトと①、水、オリーブオイル、塩、バジルをフードプロセッサーでガーッとする。
3.鍋に移しスープの濃さを調整。水やトマトピューレなど加えて0塩で味を整える。
4.召し上がる前にオリーブオイルをクルッとかけてジェノベーゼペースト(よもぎペースト)をトッピングして、あればナツメグを少し削って入れる。ミントを添えて。

2018年

6月

13日

冬の瓜と書くけれど夏がきた

「冬瓜のとろりスープ」ミニ土鍋Cocciorino
「冬瓜のとろりスープ」ミニ土鍋Cocciorino

夏が始まるというのに、冬の瓜だなんてね、字面は暖房的であつくるしいけれど清々しいスープなので梅雨時に積極的にお試しあれ。

自分用のお弁当はとかく質実剛健。スープジャーに温かいスープを入れて、玄米おにぎりやバゲットを持ってゆくのが定番ですが、さらに強くたくましく飾りはいらないのよと、ドボンと熱いスープに玄米ごはんを投げ込む。お昼にスープを開ければほどよい雑炊状態に。おおぶりな木のスプーンですくって食べるのが好きなのです。

伊語の学校では何度目かの「長文 文章解析」に入りました。師匠や友人の言葉をオウム返しに覚えた伊語。英文同様に存在する「主節」と接続詞や関係詞がついた「従属節」を見つける訓練すれば、長文のかたまった結びがするするとけるらしい。逆をいえば、日本語の文章も、節境界を意識すれば、言葉をあそんでもより分かりやすく書けるようになる?と期待したり。

生きる者、どの道を進めど、避けてくぐり抜けていた大壁に再び当るものですね。とろみが程よい「冬瓜のスープ」を学校の談話室で食べれば気分おだやかに。

「冬瓜のとろりスープ」うつわ職人のなんちゃってレシピ

1.ごま油+すりおろし生姜で鶏ひき肉を炒め、酒、塩、醤油少々で味をつける。
2.水を入れた鍋にワタとタネを取り除きひと口大にカットした冬瓜を入れ火にかける。
3.沸騰した②に①を入れ柔らかく冬瓜を煮て、千切りミント、塩と少量の醤油で味を整える。
4.水溶き片栗粉を入れ、最後にお好みで酢をたらして完成。

「うつわ職人のなんちゃってレシピ」は、レシピのないレシピ。料理のプロへのリスペクトという言い訳により、分量、分数など数値的なメンドウを排除した、うつわ職人ならではの“感覚的料理メモ“であることご了承ください。これをヒントに家にある材料で、自由自在にアレンジしてみて、ついでにコッチョリーノの器がお手元にあれば入れてみてくださいね。それがコッチョリーノうつわ職人の一番の願いです!

2018年

6月

12日

スープ作家さんとイタリア・ズッパ研究

ZUPPA(ズッパ):スープの一種、原則としてパンを加えてつくる、または添える。トスカーナのリボリータ、ヴェネトのソパ コアダ、リグーリアのチュッピンなど、各州を代表するズッパが多数ある。(イタリア料理小辞典/吉川敏明 著/柴田書店)

きょうは朝から梅雨らしい一日で、自分自身がびしょびしょになっておいしいズッパに浸かってしまうようなどしゃ降りでした。

スープ作家の有賀薫さんの「イタリア・ズッパ研究」にお供させていただき、「ズッペリア・オステリア・ピティリアーノ」というイタリア料理の食堂へ。「ズッペリア」?聞いたことない単語だなと思ったらシェフの造語だそうで、シェフが修行したトスカーナ州ピティリアーノ村の郷土料理がいただけるお店でした。イタリア現地で食べるよりかなり上品な仕上がりで最初は驚いたけれど、南トスカーナ、ウンブリアあたりの伝統料理がピンポイントで再現されているのは興味深く、しかもズッパが常時いくつも並んでいるメニューは日本では珍しいのではないでしょうか。

「揚げと小松菜のスープ(有賀さんレシピ)」Cocciorinoミニ土鍋
「揚げと小松菜のスープ(有賀さんレシピ)」Cocciorinoミニ土鍋

有賀薫さんは「365日のめざましスープ(2016)」「帰り遅いけどこんなスープならつくれそう(2018)」の著者。わが家は粗食であるからこそ、鍋物、汁物、スープ率が高く、彼女の一冊目も二冊目も、もちろん手元にあります。


まずはズッパ談議をひとしきりして、時おりイタリアの地図など見ながら、イタリアや日本が誇る地産食材のこと、未来のビジョンを言葉にするということ、ちょっと困っていることを変えていくデザインについてなど語り合いながら。さっそく前菜「リコッタチーズ」オタハイトレモンジャム+とひとつまみの塩を添えて食べながら、冒頭のイラスト左(白葡萄酒)を飲みました。

ちょっとコッパズカシイけれど、活動や作品というのは誰かのためになにかするべきものなのか?なんていう話など熱血してきたころ、フィレンツェで食べていたタイプとは違う「スープ仕立てのランプレドットが登場。もういっぱいイラスト左(白葡萄酒)を。続いてアオリイカのソテーが出てきて、もうその頃には梅雨など忘れていまして。

 

イタリア・ズッパ研究、近いうちにイタリアでしませんか?なんてお誘いしているうちに、研究の佳境「ズッパ・ディ・ファッロ(3種の豆スープにスペルト小麦)」登場。ウンブリア郷土料理とありましたが、豆のスープはどの地域でもおいしい。白インゲン(カンネッリーニ)、ウズラ豆(ボルロッティ)、金時豆(ロッシ)のポタージュにもちもちなファッロ(スペルト小麦)が入っていて。90年初頭お金もないフィレンツェ在住時代にカンティーナで食べた素朴な味を懐かしく思い出しました。次はウンブリア料理「チポッラータ(卵入りタマネギとトマトのスープ)」。ここでイラスト右(フルボディ赤葡萄酒)に変更。タマネギスープのドロッとした甘さと、先ほどの豆スープの甘さは違い、2品続けてズッパを食べても飽きないですね。

お話はまだまだ続けたいのですが、そろそろおひらき。もうドルチェは入らない。エスプレッソ・ドッピオ(2倍で!)を飲んで胃を沈め、近い将来のスープ研究イタリアをまじないで錠剤にして、ポンと口に入れておきました。

2018年

6月

10日

水のうつわ「紫陽花」

注ぐうつわと花の遊び

あいにく、いやかわいい雑草に占領されている我が家の庭。その隅っこに特段の手入れもないままにガクアジサイが毎年咲いてくれます。若かりし頃からお世話になった知人のお母さまが旅立たれたとき、知人の家と我が家に迎えたガクアジサイ。もう10年くらい経つかな。

 

ポットや急須に花をいけるのが好きです。注ぐノーズやハンドルの曲線が、挿した花に遊びを加えてくれます。バランス的にもドンと安定する感じもいい。テーブルのワンポイントにしてもおじゃま感が少ないです。もともとテーブルにいるアイテムだから。

学名「水のうつわ」

学名Hydrangeaは、語源ギリシア語のHydor(水)とangeion(器)が起源。学名が「水のうつわ」だなんて、うつわづくりを生業としている者としては、愛でるべき花なのです。

シーボルトが「ガクアジサイ」をazisai、情に厚いシーボルトは科学者スタンスを逸脱し「玉アジサイ」を愛するお滝さんに捧げる花としてOtakusaと命名したのもほほえましい話。


庭のアジサイ、新鮮な青色もあれば、ちょっと白っぽくあせてゆく花もあり。これは人のような循環器系を持たない花の老化現象と聞くと、そちらも自分を重ねてみたりして、愛おしい…。

2018年

6月

05日

土鍋ごはんとおとうふやさんへの哀愁

ニホンジンだなぁとと感じるときがあります。

いつもは玄米食だけれど、急いでいるので白米を研ぎ、ザザッと土鍋に入れ、ぶくぶくっとテキトウに水を張る。人差し指をつきさして第一関節。土鍋を中火にかけて沸騰を待つ。むかしながらの計量カップもタイマーもなし。こんなとき正しいニホンジンである!と胸をはったりしてね。

 

炊きあがりの美味しさは、各種素材の鍋でそれぞれだそうですが、蒸らしや余計な水分の吸収など土が自然に行ってくれる土鍋の魅力は唯一無二。ごはんが堂々と夕食の一品になる感じ。土鍋で炊いたごはんは「ああすてきな一品をつくった」感が不思議とあります。

 

梅雨入り宣言を記念して、今夜は旬である「梅雨イサキ」のお刺身と、モロッコインゲンのからし和えと、お豆腐のおみそしるです。いつものごとく簡単な夕食です。

そうそう、最後にお豆腐への哀愁ばなし。

近所に美味しいおとうふやさんがあります。パックから出してやさしく水で洗ったら、あららシンクにどぼどぼと崩れました。仕方がないから、さいの目はあきらめて乱切りや手で割っておみそ汁に。しかも味が薄いというかコクがない?

おいしくなかったら、次の購入はやめて他にするというのが世の常ですが、あの店のおじさんがちょっと心配になりました。明日からも機会あるごとに、あの店のおとうふを買おうと思った夜でした。ああ、ニホンジンだなあ。

2018年

6月

01日

気軽にオーブン「水玉グラタン皿」

あの冷蔵庫のお豆腐をこってり食べたいんだ

とつぜんチーズがぷうーんと香りジグジグ焼けるグラタンが食べたくなったりします。

蒸し野菜に具だくさんのスープ、玄米に魚の煮つけに冷奴。そんな粗食が好きだと言いながら、勝手に暴走することが多々あります。

陽が落ちて薄暗くなるころ、制作はノリに乗る。そんな言い訳から、子どもが小さいころから我が家の夕食づくりは申し訳ないほど遅い。近所のあちこちから風にのってくるおいしそう匂いをかいでも焦りはしない。どこまでも母性を捨て制作をしていたのかもしれません。夕食が遅いと「〇〇な子どもになる」とか世間は無責任にいうけれど、母の姿がなければ、人間は仕方なく動く。夕食までに宿題やお風呂を済ませておくように告げ、そして任せる、それしかないのです。

そして、あっという間に子どもは育ってしまうもので、いまやどんなに遅い仕度でも「ごはんは食べますか?」「お先にいただきます」とメールのやり取りが交わされるだけ。逆に空しさはなく、またまた制作に傾倒できるわけで。

あ、豆腐グラタンにしました。とってもおいしいクイック料理です。

うつわ職人のなんちゃってレシピ「豆腐グラタン」

1.豆腐にクッキングペーパーを巻いて重しをして水を切る。
2.タマネギをクシ切り、小松菜は水を切っておく。
3、①の豆腐に醤油をぐるっとまぶしフライパンで焼く。
4.米粉を水と豆乳でとき弱火にかけて焦げないように混ぜる。とろみがついたら塩とコンソメひと欠け隠し味に豆乳ヨーグルトと白味噌。
4.②と③をグラタン皿に入れ、④を流し入れる。
5.表面にとけるチーズ、パン粉と粉チーズをかけてオーブンで焼く。

グラタン皿には、耐熱ガラス、鋳物ホーロー(ストウヴ、ル・クルーゼなど)があるけれど、極々ふだんの気持ちで使えるのが陶器のグラタン皿ではないかと自負しています。ふだんはサラダやおかずを入れるお皿として、時にオーブンに入れてグラタンやパエリアを焼いたり、直火で炒め物などもできます。

「パンの耳のラスク」Cocciorinoグラタン皿
「パンの耳のラスク」Cocciorinoグラタン皿

2018年

5月

28日

風のレストラン「マッカリーナ」後編 -真価-

お碗的なイメージを出すために特別オーダーのミニミニ土鍋はノンハンドル。一見和風であるようで、れっきとしたフレンチ料理の美が蓋を開けたその中に。ご納品のミニミニ土鍋には新メニュー試作の「玄米と麦ごはんのアスパラあえ」が入っていました。

コッチョリーノの「真価」

(前編からのつづき)

数は多くても「一点物」であり作家がひとつずつ手でつくる作品。時間もコストもかかるのに待ってい

ただき、予約でいっぱいのレストランで使ってくださることはこの上なく嬉しいのです。


コッチョリーノの“不器用だけどマジメ”というキャラクター性と、“使っていただければわかる作家モノ” を伝えたくて、ていねいに、かつ遊びを入れながら制作をしました。料理人も同じ気持ちなのかもしれない。個展であれば、多少の作品の違いは「個性」となりますが、フレンチのコース料理は、同じ空間、ひとつのテーブルで、お仲間と足並みをそろえ同じ料理を味わうわけで、形とサイズについては、いつも以上に意識を注ぎご納品をさせていただきました。

洋食器といわれる磁器は、材質のキメが細かいため皿の底もなめらかでテーブルや調理台をキズつけにくい。対して土のうつわはキメが荒い。個性を活かすならばザラつきも味のひとつですが、レストラン仕様ということで、手触りや味わいよりも、キズをつけないことに重点を置きました。うつわの底、フタの落とし部分など、通常の3倍やすりをかけました。菅谷シェフにそうお伝えすると、ミニ土鍋の底を撫でながら、にんまりした表情で「いつも自分でやすりがけをするんですよ」と。コッチョリーノの真意が伝わった瞬間です。倒れそうになるほど嬉しかったですね。小さな小さな「真価」です。

マッカリーナの庭を背景に撮影のためのセッティング
マッカリーナの庭を背景に撮影のためのセッティング

マッカリーナのデジュネ

この日ランチでいただいたお料理を簡単にご紹介。次回はコースの最後にミニ土鍋が出てくる新メニューを食べに来ようと思います。みなさんも北海道に行く機会があればぜひ!!!!(マッカリーナで食事をするために東京から来るお客さまも多いそうです)

おいしいお料理はもちろんですが、気持ちのよいサービスはリピートしようと心に残ります。創業当初からの菅谷シェフとマネージャ兼ソムリエの橋本さん。プロフェッショナルさがしみました。そして、ごちそうさまをした後の「それではさようなら」のお見送りの姿や表情というのも心に残りますね。プロにいろいろと学びました。

菅谷シェフと猟

「俱知安駅にて」偉大なる菅谷シェフはとても気さくで人間味のあるかた
「俱知安駅にて」偉大なる菅谷シェフはとても気さくで人間味のあるかた

帰り道は、ランチとディナーの合間のお忙しい時間なのに「俱知安(くっちゃん)」駅までシェフが送ってくださいました。恐縮しながらも、ハンターっぽいクルマの中で、ジビエ料理について質問攻めにしてしまいました。猟が解禁となる10月からは、近所で鴨や兎を獲り、レストランのメニューに登場するそうです。増えすぎた鹿は年中ハントが認められるとか。菅谷シェフの手にかかったらどんな味になるのだろう興味津々。

 


ちなみに猪は北海道にいないそうです。あ、そうか!「ブラキストン線」があるため猪は津軽海峡を渡ってこられなかったのか?とその時は思いましたが、後で調べると、足が短い猪は、雪深い土地が苦手であることが生息につながらないようです。おもしろい。昨日は北海道にしかいない「エゾヒグマ」の心配、ばったり出会った「キタキツネ」のことを考えていてので、北海道の自然のなかで、動物に限らず野菜や野草などの生息域についてもさらに興味を持ちました。イタリアでも同じく秋には猟が解禁となります。どの国でも、猟の話は文化や環境の話につながるので興味深いですね。

2018年

5月

28日

風のレストラン「マッカリーナ」前編-時間の余白-

「アスパラの玄米ごはん」Cocciorino ミニミニ土鍋(マッカリーナオリジナル)
「アスパラの玄米ごはん」Cocciorino ミニミニ土鍋(マッカリーナオリジナル)

「風のレストラン」

すてきなWEBにある写真通りの、いやそれ以上の風が吹いているのです。クールミントが効き過ぎたくらいの寒くて爽やかな空気の中、北海道は真狩村のレストランでありオーベルジュでもある「マッカリーナ」さまにご納品のごあいさつにやってきました。

“羊蹄山から吹いてくる四季折々の風があって

山麓から涌きでる水があって、季節の食材がある。

真狩村は料理人にとって「夢の場所」のひとつです”


「マッカリーナ」コンセプト WEBサイトより

羊蹄山
羊蹄山

洞爺湖サミットが開催された際、トップレディたちのランチ会場にもなったレストラン。ミシュランガイド北海道にも選ばれていますが、職人として、それ以上の興味どころは、無印良品のデザイナーで有名な田中一光氏がアートディレクションを、内藤廣氏が建築を担っているということ。そして、そんな最高な設定と大自然の中で情熱のこもったシェフのお料理が味わえるということ。

レストランの存在が自然であること、

真価は運営する人たちが創りださねばならないこと、

内藤さんから私たちに問いかけられたのはそんなことでした”

 

「マッカリーナ」コンセプトWEBサイトより

時間の余白

制作にあたっては、時間はなかったものの、緊張しないで肩のチカラを抜くために、いつも以上にアートや映画鑑賞をいれたり散歩をしました。つまりは、時間の余白を意識して入れました。淡々とコツコツと歩むことだけでは分泌しないなにかを注入したい。そのぶん制作時間はよりタイトになりましたが、内藤氏が言うとおり「真価」を表現したかったのです。(つづく)

後編では、コッチョリーノの「真価」や、マッカリーナの料理についてご紹介したいと思います。

2018年

5月

28日

北海道のアスパラ(後編)-土鍋で蒸そうアスパラガス-

(前記事からのつづき)

そんなこんなで、北海道の春は土からにょきにょき顔を出したアスパラが出迎えてくれる。形を学ぶばかりでなく、食材や味を体験して感動して、胸がドキドキして、その鼓動が脳や手に伝わって形が出来上がる場合と、空想がそれをさせるときと両者ある。

大学時代、教授が「食べること、飲むことが好きなヤツはどんどんつくるね」と言っていた。とにかく、人はその体験を引き留めたいと思い創造する。器づくりを踏まえたこのごちそう、役得というか、食いしん坊にぴったりな仕事であることはまちがいない。

以下の写真は、帰宅してすぐに土鍋にせいろをおいて蒸したアスパラ、スナップエンドウ、ニンジン、そして鶏むね肉。たんまりプロの料理をいただき、さすがにフレンチのソースは奥深いのでマネできないから庶民的ないつもの18番ソースで許して。

「土鍋で蒸そうアスパラガス!」うつわ職人のなんちゃってレシピ

◎食材はすべて土鍋+せいろ蒸し。
◎ソース3種はすべて自家製

1.アスパラの袴をピーラーでとり、せいろで蒸す。アスパラの太さにもよるがわたしは湯気が出てから3~4分。スナップエンドウやニンジンも同じく蒸す。
2.鶏むね肉は塩こしょうをなじませ、白ワインに10~20分浸したものをせいろで蒸す。火が通りやすいようにひと口大に前もって切ってせいろへ。
3.「ソース1」豆乳ヨーグルトにカレー粉+マスタード、白ビネガー、塩こしょうで味を整え、アスパラやスナップエンドウに添える。スナップエンドウにはドライルバーブを添えると酸味が旨味に!
4.「ソース2」自家製よもぎペーストを少し敷いた上に鶏肉を乗せ、うえに「ソース3」自家製桑の実ジャムをかける。

2018年

5月

27日

北海道のアスパラ(前編)ーアスパラガスがお出迎え-


北海道から飛行機で持ち帰ったアスパラガス。あまりにも立派で長いアスパラはせいろに入りきらず、泣く泣く半分に切って。アスパラも近ごろはもっぱらせいろで蒸す。プロのようにたっぷりの縦鍋で茹でればおいしいのだろうけれど、素人のわたしは蒸す方が失敗がないような気がする。土の味がまざった甘い水分がなんとも美味でこの調理法が好き。

実は3年前、北海道に展覧会のため滞在したときも春だった。
札幌の友だちにお世話になって、札幌から美瑛まで一気に運転してもらってASPERGES(アスペルジュ)さんにアスパラを食べに行ったことを思い出すのだが、1ヶ月くらい早かったので雪が積もっていたのにアスパラは土から顔を出していた。そんな景色とあの極上の甘さ、絶妙な歯ごたえは忘れたことがない。

そして、今年の出張と旅もまたアスパラの季節。追ってでmaccarina(マッカリーナ)さんに治めた器のことについても書くが、そこでも極上のアスパラ料理が出迎えてくれ、治めた器に盛り付けてくださったのも、アスパラをつかった逸品だった

今回の出張では、ご一緒したかたのお供で、これまた極上のフレンチを出す人気のフレンチレストランMOLIERE(モリエール)さんにもご挨拶に行った。お忙しい時間にもみなさん歓迎してくださり、シェフ自らが温かい対応してくださり「ぜひお持ちください」と大振りな緑のアスパラをごそっと手渡しくださったときは、思わず涙が浮かんでしまったものね。いただきものに涙したのではなく、ああどうして北海道の人のやさしさは土と水の香りがするのだろうかと。

ミーティングの途中でうかがったので、幸運にも洞爺湖サミットで腕をふるわれた中道シェフの熱いお話もうかがえました。どのかたもこのかたも、職人でありアーティスト。ノックアウトされっぱなしでした。(⇒記事「モリエールオーナーシェフ中道博氏 inter cross Createve Center2011

今回の旅は(器の仕事をしていると美味体験させていただくこと多い)これでもか!というグルメな旅で、あともう一軒フレンチレストランLe Mansa(ル・マンサ)さんでもアスパラ三昧。

(左)ホワイトアスパラガスのムース/トリュフを入れたコンソメジュレ
(中央)スープ サンジェルマン/グリンピースのスープにインゲンやスナップエンドウの青豆とアスパラ添え
(右)グリーンアスパラのリゾット/春菊のソース・三つ葉や小口ネギ添え 

※札幌小別沢 谷口農園の無農薬・無化学肥料のアスパラ

(中央)サクラマスのクリスティヤン トマトソースとブールブラン
 ※皮ごとパリッと焼いたサクラマスに春野菜とイカスミを編み状に焼いたもの
(右)甘夏のプリン

2018年

5月

26日

キタキツネとエゾハルゼミ、きっとだれよりもコロポックル

5月のおわり東京の空が梅雨をいつ告知するか相談の候、カラッと晴れた北海道に飛んだ。そんな中で出会った人、場所について何回かにわけて書こうと思う。

そもそもフレンチレストランにミニ土鍋のご納品という出張の旅であったのだが、3年ぶりとなる北海道、せっかくなので前入りして会いたかった人に会う旅となった。まずは美唄から。どうぞ数回おつきあいのほどを。

アルテ・ピアッツァ 安田侃 野外彫刻美術館 20180527
アルテ・ピアッツァ 安田侃 野外彫刻美術館 20180527

石狩平野のまん中で

安田侃 野外彫刻美術館

70年代以降、炭鉱の町から人は去り学校は閉校した。木造校舎の一角には幼稚園が残る。時代に翻弄された歴史と未来の姿。イタリアと美唄におりてくるものと飛んでゆく風と作品をなでていると涙が出てくる。ハルエゾゼミのBGMがそれを助長しているからで、エゾヒグマには会うまいと念じて。

安田の作品は、イタリア在住時代から鑑賞済で、ローマの古代遺跡がねむるフォーリ・インペリーアで出会えば鳥肌が立ったし、フィレンツェのボーボリ公園でふと目にすればおかあさん!と呼びたくなるような。国内でも彼の野外彫刻は周知の事実で、出身地である北海道内にはおそらくたくさんの作品が、札幌駅でもなんどもシンボル的なそれは待ち合わせ場所になっていた。直島などアートが集まる旅先でも出会えたし、なにより日本でもミッドタウンのウェルカムスクラプチャーで容易に出会える。⇒ミッドタウンCONCEPT OF ARTWORK

 

生命体的な形。イタリアはピエトラサンタの大理石を使った安田氏の作品からはオーラ溢れんばかり。その作品の群れを作者の出身地である美唄で観ようと提案をくださった友人が美唄の神のようにさえ思える。

それなのに「美唄」を「美瑛」とまちがえたし、友人がミュージアムにでも行きませんか?と提案くださったとき、まさか安田の作品美術館を「アルテ・ピアッツァ」と呼ぶとはつゆ知らず、油断なのか食いしん坊なのか「アルテ・ピッツァ」(アーティスティックなピザ屋?)と誤解した。
もろもろの言い訳をしたが、安田作品の虜であったわたしが美唄に足をはこぶ機会が与えられたことはとても不思議でたまらない旅の始まりだったのである。そして友人KさんSさんの存在は、わたしにとって説明ならない人生の醍醐味だと実感。その意味はなにか?まだ消化できない。

旅と芸術と人との出会い。
それを不思議といい、土地に眠る幻想というのだろうか。

キタキツネとエゾハルゼミ、きっとだれよりもコロポックル

実はどうしても終わらせなくてはいけない仕事があり、完全徹夜で飛行機に乗り込み、そのままバタバタと美唄に着地していたのだった。徹夜でねむらないことには慣れている。ここでも一度も睡魔や疲労を感じるどころか、目と耳は何倍にも開口した。(いやそれ以上に口も開いた!)

屋外彫刻を見ていても、自然が大きいのか空が大きいのか、作品が大きいのか、わたしたちが小さいのかわからなくなる。その要因のひとつが虫の大合唱だった。長袖とストールが手放せない15度に満たない気温であるのになぜ。作品はときに幻想を起こす。

その後、ミュージアムを離れ、我らは炭鉱の町として栄え現在は廃墟となった「我路」を探しながら走る。人もクルマもいない。鳴いているのはあの蝉。その道で何度もジャンプして土に突撃しているキタキツネの子どもに出会う。睡眠不足の幻想か、いやいや子ぎつねはどんどん我らに近寄ってくる。あなたは誰かの生まれ変わり?

案内くださった山田和史さんの写真と仕事ブログに出会ってどのくらい経つのだろうか、6年8年?曖昧な記憶しか残っていない。前アトリエがあった沖縄でコッチョリーノ作品を扱っていただき、今回もアリノハネに入ったオーダー作品の納品も兼ねて。美唄には新しいアトリエ&ショップのオープン秒読みの彼。準備中の不思議な空間にもおじゃました。最もお忙しいところ案内いただいた。夢と現実と、とても高い鼻と熱い眼をもった男性と、大理石のようなピカピカな肌と透明感をもつ彼女は、きっと誰よりもコロポックル。また会いにいこうと思う。



美唄の革職人 山田和史 arinohane 
山田和史 写真事務所 

「きっとだれよりいも、コロポックル §1」

 

よみもの記事
ものがたるコッチョリーノ

2018年

5月

23日

ちょっとすっぱい夏のはじまり「甘夏のオレンジ色サラダ」

「オレンジ色サラダ」Cocciorinoココット
「オレンジ色サラダ」Cocciorinoココット

近くの小川を走ったり歩いたりするようになって何年になるだろう。あの大きな地震の前からだったから7年くらいかな。毎日ではないし、徹夜仕事のときは絶対にやめる。時間に迫られていて心に焦りがあるときもやめる。気がむかないときもやめる。5分走ればどこが調子悪いかすぐに分かる。ノドが痛い、内臓が不調、足腰の筋肉が硬いなどなど。それがわかればすぐ引き返す。

体力づくりのためだったら、きっと毎日なにかしらの理由でやめていたと思いますが、そこにはたくさんの生き物が住んでいるから、行けば誰かに会えるから向かうのです。

毎年恒例の「旅する土鍋 2018イタリア」まで追込み体制に入りました。企画を整えたり、制作したり。何度くりかえしても、前途の小川と同じで、誰に会えるかどんなことが待っているのか考えていると、自分のカラダから自分が飛び出しそうです。孤独な旅で重い器や食材を持ち歩くことは、それはそれは陶芸道の試練か、はたまた人生の逆境をふっとばす訓練としか思えません。夏のはじまりは、いつもちょっとすっぱいけれど、小川を今日も明日も走るのです。

「甘夏のオレンジ色サラダ」うつわ職人のなんちゃってレシピ

1.ニンジンアペをつくる。(アペ:すること)
2.千切りまたはスライサーすったニンジンとニンニクみじん切りをオリーブオイルで炒め塩をふる。
3.白ビネガーをふりお好みでローズマリー(あればニンジンの葉っぱ)などのハーブやクミンシードなどのスパイスを加えて蓋をして蒸し煮。
4.マスタードと塩で味を調整する。
5.甘夏の果肉をちらして完成。

2018年

5月

21日

今年も旅する土鍋2018夏 #2日本食と風物詩

「とうもろこし on ZARU SEIRO」土鍋Cocciorino
「とうもろこし on ZARU SEIRO」土鍋Cocciorino

夏の風物詩と土鍋

風はさわやかですが、夏の食事を欲する季節になりましたね。
春の山菜がまた来年ね!と姿を消すころ、枝豆にとうもろこし、早いものが店頭に並んでいます。

余談ですがイタリアでは、わたしの大好物であるとうもろこしと枝豆めったに食べないのです。とうもろこしの粉や粒の缶詰めは売っていますが、丸ごとガブリと食べるのは日本独特の夏の風物詩なんだなぁと。近ごろ大きなスーパーの野菜コーナーでとうもろこしを見かけ、料理上手な友人男子が芳ばしく醤油で網焼きしてくれたあの味は忘れまい!

夏も土鍋を使いましょうよ!と、風変わりでユニークな土鍋をつくりはじめて10年強。ざるやせいろを使って、野菜やハーブを添えたお肉を蒸してそのまま食卓へ。茹でたお蕎麦やお素麺をざるやせいろに上げ、下に氷を張ってひたひたに水を注げば夏仕様の土鍋に早変わり。トマトやきゅうりの下に氷を敷けばこれまた土鍋冷蔵庫。この夏も、どんどん夏の土鍋の使い方を紹介していきますね。

夏も土鍋を使いましょうよ!

数年前までは「土鍋=冬の道具」というイメージを持っている方が多く、ギャラリーでも秋冬に土鍋特集を組むことがほとんどでした。

10年ほど前から作品として土鍋をつくってきたのは『一年中つかえる土鍋!』が欲しかったからです。そして、いわゆる冬の「つつき土鍋」だけでは土鍋は陽の目を浴びないだろうと考えはじめたのが6~7年前。土鍋炊飯は以前から普及していたので、一定数の土鍋ラバーたちは「ごはん炊き土鍋」にはこだわっていらっしゃいました。

 

夏でも土鍋を使ってもらえるような展覧会をギャラリーに組んでいただいたり。そんな地道な普及活動をこの5年のあいだに数回おこないました。「旅する土鍋」の計画を本格的に実践に移したのも、この時期に重なります。

なぜに土鍋を持って?~ふたつめの答え

さて、前回の“なぜに土鍋を持ってイタリアへ?”のふたつめの答えがここにあるのです。

「つつき土鍋」でも「ごはん炊き土鍋」でもない「土鍋」の使い方を紹介したい。そうすれば、もっともっとおもしろいデザインや色のユニークな一点物(=土鍋作品)がつくれる!と考えたのです。

丘の上(蓋の上)のイタリアの思い出がいっぱいつまった家々、その家からはイタリアの愛の湯気が出る。イタリアならば、キッチンにオブジェや絵など土鍋アートを飾るような感覚を理解してくれるかもしれない。そして、イタリアの友だち、イタリアのマンマだったら、どうやってCocciorinoの土鍋を使ってくれだろう?希望と夢を大きな大きな土鍋に入れて、海を渡ろうと考えたのでした。

「土鍋せいろ蕎麦」旅する大土鍋Cocciorino 2017 カラブリア
「土鍋せいろ蕎麦」旅する大土鍋Cocciorino 2017 カラブリア

「旅する土鍋2018夏」(つづく)

おしらせ(秋の予定)

イタリアより帰国後、秋の展覧会(銀座Ecru+HM)では
「せいろがぴったりなミニ土鍋」を展開予定です。
せいろも既に入手して制作案にとりかかっております。どうぞお楽しみに!

2018年

5月

18日

土鍋でつくるさっぱり新生姜のチキンスープ

「さっぱり新生姜のチキンスープ」金継ぎされた土鍋Cocciorino
「さっぱり新生姜のチキンスープ」金継ぎされた土鍋Cocciorino

うすら寒いのか蒸し暑いのか、カラダが迷っている季節ですね。こんな時は、新陳代謝をどんどん高めちゃいましょう!

我が家の男性陣はさっぱり薄味のスープが大好きです。新生姜の香りが立つことで、塩味にもおもしろ味が出るこの一汁。超簡単さっぱり味で調理するときは、お肉を塩水(または水)にわずかな時間でも漬ける習慣が定着している今日この頃。突然つくりはじめるときは、10分でもおいしさ効果はあるのでお試しあれ。

余談ですが、夏が旬であるかのようにみずみずしい顔で出まわる新生姜。実は露地物の旬は秋。山梨の農場から野菜を届けてもらっていますが、新生姜はたしかに秋に届く。夏っ子のイメージが強いので、ハウスで夏収穫の新生姜をつくるそうです。日本人の食卓でさっぱりとみずみずしい食材を欲しているのでしょう。旬を逸脱して人々の需要に合わせるハウス栽培。ある意味、理にかなっていて悪くはないと思います。

新生姜の香りと歯ごたえを土鍋の余熱で!

スライスした新生姜の半分は出汁を取るために鍋に水と一緒に入れます。チキンや青菜を入れ味も調えた後に、新生姜のスライスを生で入れて土鍋のふたをしたまま食卓へ。数分後、召し上がるときに新生姜がしなっと柔らかく、かつシャキッと歯ごたえも残るような、最も新生姜を美味しく食べることができる一汁です。

「さっぱり新生姜のチキンスープ」なんちゃってレシピ

1.鶏むね肉を塩水に1時間ほど漬けておく。
2.新生姜をスライスして半分を鍋に入れ火にかけ出汁をとる。
3.①を小さめコロコロに切り入れる。

4.ほうれん草(小松菜)を入れ、塩こしょうで味を整えすぐに火を消す。
5.②の残り半分を加えて土鍋の蓋をして3分。できあがり!

2018年

5月

18日

うちの窯はおじいさんだった

「18年前のフィルムカメラの中の青春」2000
「18年前のフィルムカメラの中の青春」2000

大切なことと切なさと

帆走してきた電気窯が断線しました。他の線もモロモロで、耐火煉瓦もポロポロであると知りました。ここのところ熱を入れ時間を費やしてきたシゴトは、窯のよみがえりのためだったのかぁと、肩を落とすのか…。いやいや達成温度まで上昇し、最後まで正常運転したのは不思議なくらいだと聞いて、誰に感謝したらよいのか、マイコン上の「火の神様」(ただのお米・塩・酒をぐいのみに入れたもの)に手を合わせてしまったり。空の上に住む父が守ってくれたかなと、すがった藁に頬ずりしたり。

信楽の窯製造元さんの丁寧な修理っぷり。的を得ないわたしの質問にも的確に答えてくれる職人魂もすばらしかった。数ヶ月分の糧をはたいたなんてボヤいている場合ではなく、それ以上に大切なことを知り、同時に窯に対する切なさという感情も生まれました。

金継ぎのCocciorino碗  2018.05
金継ぎのCocciorino碗 2018.05

未来って、職人って、どう変わっていくのだろう

大学陶芸道から30年あまり。体力的にあと10年で工房たたんで別のシゴトしながら旅するかな(どんなシゴトよ?)と考えていましたが、追いかけてきたミラノの師匠は持病を乗り越え御年71歳、工房40周年。改心して、それではあと20年!上方修正したのに、2000年に買った窯の寿命はあと10年くらいと診断され。ずっと次男だと思っていた窯は、なんとおじいさんだった。


あと20年、窯をどうするかな。今後の大きな課題となりました。現代の東京では、家系で窯を継ぐというパターンはほぼなくなったので、窯の寿命と同時に工房をたたむかたが多いと聞きました。

未来って、職人って、どう変わっていくのだろう。

 

そのあと、友人の103歳になられるご家族にお会いする機会あり、もうわたしはなにを言っているのだろうか、どんな次元でものをしゃべっているのだろうかと電撃が走り反省するとともに、ニンゲンって本当にすごいなと思いました。かくしゃくたるお姿と明晰な頭脳に、どんなに素敵な器や美術品を見せていただいても、すばらしいニンゲンにやられてしまい久しぶりに噛んでも飲みこめない感動という栄養をずっとなめながら溶かしています。

2018年

5月

17日

ことしも「旅する土鍋 2018夏」#1なぜに土鍋を持って!?

ズッキーニの花と土鍋(特大サイズ)Cocciorino
ズッキーニの花と土鍋(特大サイズ)Cocciorino

見えないレシピ

「一般論でない何かをみつけるために旅をする」と前置きしながら。

料理教室もレシピも参考になるし大きなヒントにはなるのだけれど。どんなにイージーでもテイスティでも、けっきょく思い出したり見直したりするのさえできないズボラな性分。

おいしくなくても失敗しても、もしかしたら、たくさんの人と同じメニューや味を求めていないのかもしれない。料理にもわたし(またはウチらしさ)を求めていて、言いかえればイタリアの人たち寄りの考えを持つのかもしれない。この5年ほど毎年「旅する土鍋」でイタリアの各地方をまわっていると感じることがあって、文字や量のレシピが少なくてほとんど口頭。「これは我が家のオリジナルだから!」「我が家の味だから!」という見えないレシピがたくさんあるのです。

伝えたいことはマイナーでいい

イタリアの家庭料理、郷土料理を紹介してもらったり(日本のそれを紹介したり)するのですが、とにかくその背景や自分の考えを伝承するべくしゃべるしゃべる。またその逆で、日本食についても質問や感想を言う言う。食材がなければ代用したり、どうにかなるさ!と料理がとにかく軽快。そのわりに鍋の質やサイズが変わるとできないかもしれないと保守的だったり、かわいらしさを醸し出す。たまにレシピがあっても結構テキトウだったり、大いに間違えていたり、欠損していたりする(笑)。それでも「ケ・サラサラ」。

彼らには“教えたいこと”でなく“伝えたいこと”があるからで、そこにはメジャーとマイナー、あるいは損得というものさしを持たない。マイナーという言葉にはネガティブなイメージがあるかもしれないけれど、料理に限らず“伝えたいこと”はマイナーでいいのかもしれない。

⇒次回「旅する土鍋 2018夏」2.それでも地球はまわる につづく

2018年もミラノの師匠アトリエ居候を拠点とし、師匠の海の家リグーリア州、マルケ州での土鍋料理ワークショップ、別の街では土鍋のグループ展、ボローニャ郊外、トスカーナ、そして去年につづきカラブリア州、プーリア州を予定しています。今年の変わり種は、ミラノから北に足を延ばしフランス人の友人が待つローザンヌへ20年ぶりの訪問予定です。

2018年

5月

15日

今年も桑の実が豊作です!

「庭の桑の実ジャム」小皿はっぱモヨウCocciorino
「庭の桑の実ジャム」小皿はっぱモヨウCocciorino

春から初夏にうつり変わるのかな、湿気のない風がきもちよく吹く今日このごろ。庭の桑の木はキキッと鳴いて風がザアザア歌う。

毎年、庭の桑の木のことをどこかに書いているのですが、なぜ桑が庭にあるかということ。きっかけは10年ほど前、お蚕さんを育てたときにさかのぼります。お蚕さんは農薬や殺虫剤がついた葉を嫌い食べたら死んでしまう。当時は毎朝、近所の小川にお蚕さんの食事である桑の葉を採りに行っていて、その摘んだ葉を庭に挿したものが立派な木になったわけです。今や高さは3mを超え、枝も3~5m手を広げたような大きな桑の木になりました。そしてこの数年は鈴なりの実がつくようになったのです。

去年も豊作でしたが、今年はそれを上回る豊作。熟す時期も少し早めで、しかも一気にやってきて。おそらくこれは、天寿をまっとうしたお蚕さんからの贈り物だと思っています。

桑の実ジャムのなんちゃってレシピ

1.庭の木なので無農薬ですが桑の実は毛羽立っていて、ホコリや綿がひっかかっていたりするので何度も水を変えてよく洗います。
2.鍋に①と水をひたひたに入れて火にかけ、甜菜糖(または黒糖)を適量入れ、焦げないようにへらでかき混ぜながら水分がジャムに適するくらいまで煮込む。
3.レモン汁をたっぷり入れてかきまぜると、とろっとする。
4.ビンを煮沸消毒して熱いうちにジャムを入れて硬くふたを閉める。

※注意:去年は甘味の黒糖を半量にして残りの甘味は甘酒を使用しましたが、生きる食品は保存に適さないことが判り今年はなし。

2018年

5月

14日

アイルランドの風ものがたり(前中後編:読み物のみ)

ブログ「ルバーブとアイルランドの風」(前中後編)より、物語としてまとめたページです。アイルランド(北西スライゴ地区)の陶芸家コーンを訪ねたときのものです。

アイルランドを横断する比較的あたらしい平らなハイウェイ。クルマの窓をあけてどの国とも違う香りを大型犬のようにくんくん嗅ぐ。夏の終わりのイタリアから訪ねたわたしの格好を「唐突千万だよ」と粗相を文学的に笑う風は寒く、聴けばそこはウィリアム・バトラー・イェイツの墓のそばだった。

陶芸家コーンの工房つきの家に到着すると、コーンはご婦人と早い夕食中だった。

 

陶芸家コーンご夫婦の夕食は質素だったが、ご婦人は「シチューですが召し上がる?」「それともアップルパイでもいかが?」と夕食に誘ってくださった。夫婦水入らずの夕食時に来訪したことを友人とともに侘び、お誘いは丁重におことわりした。庭を見せてもらいますと風の強い庭に出て植物などを見る。イタリアもそうだが、ここアイルランドも「食事中なので外で待ってて」などとシャットアウトせずオープンでカッコをつけない。どんなに質素でもふだんのままを見せたり、分け合おうとしてくれる。すてきなスタイルだ。

夕食が妙に早いのか、夕刻の空が明るすぎるのか「地球の広さ」がどのくらいなのかくらくらするような風の香りにつつまれていた。「もうひと雨くるかな」とコーンは食事を急いで済ませ庭に出てきてくれ、離れの工房を案内してくれた。

工房に入ったとたん、今度は「地球の狭さ」がどのくらいなのかわからなくなる。大学のなつかしい工房の香りも、東京の自身の工房も、ミラノの師匠の工房も、そしてコーンの工房も同じ香り。親近感ある同じような道具が同じような汚れ方で置いてある。コーンの大きな手とわたしの冷たい小さな手は強い握手をかわし、陶芸家であることでどの国でもなんだかわからない絆が生まれることを実感する。

氷のように低温な手で冷ややかな挨拶をしてしまったなぁと後悔しながら、陽が落ちかけて急に冷えてきたコーンの工房でぶるぶる震えていた。この冷気はアイルランドにうようよしている妖精にまぶたを閉じろと命令されて森に連れて行かれたのか、それとも北アイルランドにもう冬が到来したのか。

コーンは「どれでも作品をプレゼントするよ選びなさいな」とどこまでも温かい。空を飛ぶことを忘れた旅鳥は大きな宇宙船型の花器を選んだ。なんとかなるわとまた妖精がささやくのだもの。寒いので部屋に移ろうと皆で工房の扉を閉めて住まいの扉を開けた。コーンと友人のエンダはすぐに暖炉に泥炭(※)をくべる。草と土の香りがして、すぐに濃い夕陽色の炎が大きくなってゆく。薪のように賑やかでなく静かに燃える火は、アイルランドの国の人々を映しているようだった。

 


お礼に、コッチョリーノの「タネさんプロジェクト」のタネさんに顔を描いてもらいプレゼントすることにした。プロジェクトの主旨を説明すると、コーンは一気に陶芸家の顔からかわいらしいおじいちゃまの顔になった。今でも、あの優しいのに芯があるタネさんの顔は、泥炭の炎のやさしさと重なって、陶芸魂として燃えている。(完)

2018年

5月

13日

ルバーブとアイルランドの風(後編 ドライルバーブ)

アイルランドに住む友人がお土産に持ってきてくれた陶芸家コーンの庭のルバーブ。前編では「ルバーブのスープ」中編では「ルバーブ入りホットヨーグルトスープ」をご紹介しましたが、この後編では「ヨーグルトのトッピングにドライルバーブ」

ルバーブとセロリやフキはともに豊富な繊維質を持つ野菜。形状も似ていますが、ルバーブだけは水溶性繊維質であるため、温めるとあっというまに溶けるのです。前中編ではその面白さを活かした温かいスープを。さて後編は、溶かさずいただきましょう。

スライスしてちょっと酸っぱいサラダのトッピングにするのも好いですが、このところ爽やかな風が吹き湿度の低い晴天が続いたので、ルバーブを薄く斜めにスライスして天日干しにしました。1日であっという間にカラッとします。ルバーブの表皮は濃いピンク色のままでかわいらしいヨーグルトのトッピングのできあがり。

(下写真:ドライルバーブ、夏みかんドライピール、庭のマルベリ、丹波の絞り黒豆、ぶどうなど)

「ドライルバーブ入りヨーグルト」白いコップCocciorino
「ドライルバーブ入りヨーグルト」白いコップCocciorino

「陶芸家コーンとアイルランドの風ものがたり」は最終回です。お時間許せば、おつきあいください。

アイルランドの風ものがたり3

前編中編よりつづき)

 
氷のように低温な手で冷ややかな挨拶をしてしまったなぁと後悔しながら、陽が落ちかけて急に冷えてきたコーンの工房でぶるぶる震えていた。この冷気はアイルランドにうようよしている妖精にまぶたを閉じろと命令されて森に連れて行かれたのか、それとも北アイルランドにもう冬が到来したのか。

コーンは「どれでも作品をプレゼントするよ選びなさいな」とどこまでも温かい。空を飛ぶことを忘れた旅鳥は大きな宇宙船型の花器を選んだ。なんとかなるわとまた妖精がささやくのだもの。寒いので部屋に移ろうと皆で工房の扉を閉めて住まいの扉を開けた。コーンと友人のエンダはすぐに暖炉に泥炭(※)をくべる。草と土の香りがして、すぐに濃い夕陽色の炎が大きくなってゆく。薪のように賑やかでなく静かに燃える火は、アイルランドの国の人々を映しているようだった。


お礼に、コッチョリーノの「タネさんプロジェクト」のタネさんに顔を描いてもらいプレゼント。プロジェクトの主旨を説明すると、コーンは一気に陶芸家の顔からかわいらしいおじいちゃまの顔になり。今でも、あの優しいのに芯があるタネさんの顔は、泥炭の炎のやさしさと重なって陶芸魂として燃えている。(完)

(※)泥炭(ピート)暖炉に使われる燃料のひとつ。泥炭地から採る天然燃料でスモーキーな香り。スコッチウィスキーをつくる過程で麦芽を乾燥させる時にも使われる。物語の冒頭にも書いた独特の国土の香りは泥炭なのかもしれない。

追記:

コーンの家を出てクルマから見たノックナリー山。山頂に見える小さな突起は先史時代の古墳の塚。ケルト神話に出てくる女王メイヴの墓であるそうだ。まさしくこの空の色こそ泥炭が燃える夕陽色。女神の山に幕をおろすのは太陽であり、この大地は暖炉の火が消えるのと同じくらいさらに冷え込むのだろう。最後まで「アイルランドの風ものがたり」におつきあいくださりありがとうございました。

「アイルランドの風ものがたり」(物語だけをまとめたページ)

2018年

5月

11日

春ニンゲンならぬ春ニンジンと一汁一菜

「エノキとささみのさっぱり汁」土鍋Cocciorino
「エノキとささみのさっぱり汁」土鍋Cocciorino

「エノキのささみのさっぱり汁」

おひさまサンサンですが、爽やかな風がふき湿度も低めな気持ちのよい日がつづきます。


さて、相変わらず時間も食材もなく、ありもので作るさわやかな一汁一菜。いきなり「うつわ職人のなんちゃってレシピ」から行きましょう!簡単です。


1.鳥ささみ一口大に塩こすり酒みりんに10分ほどつける。
2.①を沸騰した土鍋に入れ3分。エノキと新タマネギ入れ30秒で塩こしょう。あればほぼカニ(最近おいしいカニかまぼこ)。完成!山椒と七味をお好みで!

「春ニンジンのふりかけ」

「菜」は、春ニンゲンならぬ春ニンジン。葉をごま油で炒めてふりかけに。玄米にたっぷりかけても、ごはんに和えてにぎってもよし。

山梨から無農薬野菜をはこんでもらっている箱の中に入っていた春ニンゲンがあまりにすてきなので、半日窓辺に飾ってみました。ご覧あれ!

「春ニンゲンならぬ春ニンジン人形」たまごプランツCocciorino
「春ニンゲンならぬ春ニンジン人形」たまごプランツCocciorino

恥ずかしいからスカート履かせましたが、これまたミニスカート過ぎて!

2018年

5月

11日

ルバーブとアイルランドの風(中編 ホットヨーグルトスープ)

「ルバーブ入りヨーグルトスープ」ミニミニ土鍋Cocciorino
「ルバーブ入りヨーグルトスープ」ミニミニ土鍋Cocciorino

ここ数日の東京は3月中旬だか下旬だかの気温で寒かったのですが、きょうは晴天が戻ってきました。地下工房はうすら寒くカラダが冷えるので、いつも食べる豆乳ヨーグルトで温かいスープをつくりました。つなぎ姿のまま工房から庭に出て、雑草だらけの庭に座って。ちなみに、テラコッタのかけらのテーブルはフィレンツェ修行時代につくったオブジェが割れたもの。

春だから気まぐれなのも許される。気まぐれな天気といえばアイルランド。中編も「陶芸家コーンのおはなし」を少しつづった後、最後に「豆乳ホットヨーグルトスープ」うつわ職人のなんちゃってレシピ添えますね。

アイルランドの風ものがたり(中編)

(前編よりつづき)

 

陶芸家コーンご夫婦の夕食は質素だったが、ご婦人は「シチューですが召し上がる?」「それともアップルパイでもいかが?」と夕食に誘ってくださった。夫婦水入らずの夕食時に来訪したことを友人とともに侘び、お誘いは丁重におことわりした。庭を見せてもらいますと風の強い庭に出て植物などを見る。イタリアもそうだが、ここアイルランドも「食事中なので外で待ってて」などとシャットアウトせずオープンでカッコをつけない。どんなに質素でもふだんのままを見せたり、分け合おうとしてくれる。すてきなスタイルだ。

夕食が妙に早いのか、夕刻の空が明るすぎるのか「地球の広さ」がどのくらいなのかくらくらするような風の香りにつつまれていた。「もうひと雨くるかな」とコーンは食事を急いで済ませ庭に出てきてくれ、離れの工房を案内してくれた。

工房に入ったとたん、今度は「地球の狭さ」がどのくらいなのかわからなくなる。大学のなつかしい工房の香りも、東京の自身の工房も、ミラノの師匠の工房も、そしてコーンの工房も同じ香り。親近感ある同じような道具が同じような汚れ方で置いてある。コーンの大きな手とわたしの冷たい小さな手は強い握手をかわし、陶芸家であることでどの国でもなんだかわからない絆が生まれることを実感する。(つづく)

ホット豆乳ヨーグルトスープ とろりバナナ&ルバーブ入り

ヨーグルトの乳酸菌は40℃くらいで増殖しやすく、60℃前後で死滅するそうです。カラダの中は温かいので冷たいままでも効果ありだそうですが、最初から温かければ元気な乳酸菌が入るし、代謝も上がり免疫向上に期待あり。加えて水溶性の植物繊維ルバーブは40℃くらいの余熱で柔らかくなります。バナナも火を通すと甘味を増し、酸っぱさと甘さのバランスが絶妙です。(参照:菌トレ

温めすぎないためにも、土鍋の余熱調理はとっても便利です。

1.豆乳ヨーグルトと豆乳を半量ずつ土鍋に入れ弱火にかける。
2.ルバーブ(薄切り)、バナナ(輪切り)、ブドウ(皮ごと)、ミカンの砂糖漬け、黒豆絞り(※1)、桑の実などを入れて温める。
3.甘さが少し欲しい場合は甘酒を入れる。
4.40℃(ひと肌より少し熱いくらい)で火を止め、土鍋の蓋をして余熱調理。
5.ミントの葉をうかべて召し上がれ。

★豆乳ヨーグルトでなく無糖ヨーグルトと牛乳でももちろん可!
★②で入れるトッピングはお好みでお手元にあるものを。
★※1は煮豆をオーブンで焼いてグラッセ状にしたもの。

2018年

5月

07日

ルバーブとアイルランドの風(前編 ルバーブスープ)

ルバーブのスープ/ミニミニ土鍋Cocciorino
ルバーブのスープ/ミニミニ土鍋Cocciorino

アイルランドから友人がルバーブをお土産に抱えてきました。ゴツッとした美しい紅色のこのルバーブは、陶芸家コーンの庭でもらってきたものと知ったとたん、北西アイルランドの風がざわっと吹いた気がしました。ここは六本木の瀟洒なオーブンカフェだというのに。

ルバーブのジャムはアイリッシュのホームメイドにはかなわない。どう調理しましょうか。一日中工房でそんなことばかり考えながら、しばし思い出に浸りました。

アイルランドの風ものがたり(前編)

アイルランドを横断する比較的あたらしい平らなハイウェイ。クルマの窓をあけてどの国とも違う香りを大型犬のようにくんくん嗅ぐ。夏の終わりのイタリアから訪ねたわたしの格好を「唐突千万だよ」と粗相を文学的に笑う風は寒く、聴けばそこはウィリアム・バトラー・イェイツの墓のそばだった。

陶芸家コーンの工房つきの家に到着すると、コーンはご婦人と早い夕食中だった。(つづく)

今回の恒例「なんちゃってレシピ」もナンチャッテに変わりはありませんが、かなりオリジナリティの高いスープに仕上がりました。繊維質だらけで歯ごたえのあるスープの中に、噛むとドロッと形を崩すようなルバーブ。梅干しのような感触と酸っぱさ、ドライトマトにも通じる味です。

90年代のアイルランド経済成長により労働のためにたくさんの民族が入り込み、ご多分に漏れず都市ダブリンには難民も多くみられました。ルバーブの酸味に合わせ、エスニックなスープに仕上げ、添えたココナッツの玄米おにぎりにはパクチーを。

「エスニック風ルバーブスープ」

1.ニンジン、セロリ、春タマネギ、ルバーブをさいの目に切る。
2.①のニンジン、セロリをボイルする。
2.セミドライトマトを千切りにして①に入れる。(※1)
3.ウコンの粉(ターメリック)やガラムマサラ、なければカレー粉など加え、塩こしょうで味を整える。(※2)
4.①のタマネギ、セロリの葉を入れて煮込み、最後に①のルバーブを入れて火を止める。(※3)

(※1)酸味がルバーブに合う!
(※2)酸っぱいルバーブにエスニック風味が合う!
(※3)ルバーブはセロリ同様に繊維質の多い野菜だが水溶性であるため加熱するとすぐにドロドロになる!土鍋の余熱で溶けるくらいがちょうどいいので、最後に入れる!

おまけ「ココナッツ風味の玄米おにぎり」

1.玄米ごはんを、オリーブオイル、ココナッツダイス、塩で和える。お好みでパクチーを乗せて。

2018年

4月

24日

お茶会と「旅する土鍋」

「半磁土 刷毛目 丸平皿」Cocciorino:タマゴとうさぎ耳のシルバーピック kobayashi chizu作
「半磁土 刷毛目 丸平皿」Cocciorino:タマゴとうさぎ耳のシルバーピック kobayashi chizu作

恐悦至極

お客さまでもありすてきな交流をつむいでいただいている水野佐知子さん。彼女がご亭主をつとめられたお茶会で、ミニミニ土鍋よりさらに小さな特別サイズのチビ土鍋を香合にお見立ていただきました。昨年から香合のご相談にお応えしてつくった作品。お茶会のテーマは「旅」。ご亭主はCocciorinoの「旅する土鍋」を推してくださいました。

床の間にて、香合としてのチビ土鍋は、濱田庄司 巨匠の花入の横に、敬愛する篠田桃紅 画伯の作品「Journey」に見守られ。カラダの中の血液がかゆくなるようなシーンにて、わがチビ土鍋が堂々と佇む姿に感動。

香合に加えて、個展でお選びになった大きな丸平皿(半磁器)も菓子器としてお披露目くださいました。菓子器にのせるお干菓子はなんと、焼き菓子のスペシャリストでもある佐知子さんのメレンゲ。半磁土の平皿裏は、半磁土の魅力を残すべく無釉。触って感じていただきたい作品のひとつなので、お客さまの手に平皿がまわるとは光栄です。

一期一会

「旅する土鍋」プロジェクトは形にとどまらない創造。時と空間を共にして『あなたの前に佇み想う=一期一会』という意味をもっています。茶の湯における千利休の言葉「一期一会」に重ねてくださったことに感謝し、あぁ陶芸道を歩みつづけてきてよかったなと涙が出そうになるほど恐悦至極であります。

この夏もまいります「旅する土鍋」!

2018年

4月

18日

ふつかめのスープ ー春キャベツくるるー

「ロールキャベツとレンズ豆のスープ」Cocciorino土鍋
「ロールキャベツとレンズ豆のスープ」Cocciorino土鍋

ふつかめは春キャベツでくるると

時間がとにかくないない。仕事がノリノリになるころ夕食の支度をしなければならない今日この頃。そんなとき、我が家にはかなりの頻度でレンズ豆が登場します。特に皮つきの有機レンズ豆が好き。

みじん切りタマネギ、ニンジン、セロリをサッと炒め白ワインをざぶぅと加えてぐつぐつ。皮付き有機レンズ豆は煮込んでいるうちに小さな豆から発芽するのです。よく見ていないと気づかない小さな小さな芽。それを楽しんだあと適量の水を加えます。イタリアで買ってくるベジキューブ、カレー粉、月桂樹の葉、塩こしょうを入れてぐつぐつ煮込みます。

つくる量は倍量。なぜならば、翌日アレンジして他のスープに変身させるのが好きだから。野菜だしがふんだんに出ていておいしくなる。今回「ふつかめのスープ」には、鶏ひき肉を春キャベツでくるると巻いたロールキャベツを入れてぐつぐつします。一日目より豪華になるスープなんておめでたいですね。

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2018年

4月

17日

近くの道草よもぎ摘み(後編)ー土鍋という広場ー

よもぎおこわ /Cocciorino ミニミニ土鍋
よもぎおこわ /Cocciorino ミニミニ土鍋

土鍋という『場所』

いつもは玄米食ですが、香りや色を楽しみたいときは白米を炊飯したりリゾットにしたり。今回のよもぎごはんは「もち米8:白米2」。玄米をはじめ、もち米も秋田の生産者さんから無農薬(減農薬)米を定期便で送ってもらっていますが、この甘さとよもぎの苦みこそ、体験と記憶。そしていつの日か既視感となり。(※文末の余談もご参照あれ!)

前回の「薬膳茶話と土のうつわ」でも書いたように、旨味や苦みも、手でつくった器の素材を介在して、土にしみこむ体験を伝えたい。おいしく炊ける炊飯器や技術を配したプロダクト品としての鍋はたくさんありますが、鍋で炊いたごはんがおいしい理由は、『技術』の競争や『見た目』のオシャレさの自慢でなくて、中にいれる食材が、居心地よく最後まで土と共存できる『場所』であり、これこそ真意のデザインだと思うのです。食材とのコミュニケーションや対話があって、なにかを発見したり解決してくれる『場所』。「コッチョリーノの旅する土鍋」が提唱する『広場』ではないかと。

この夏も「旅する土鍋」は海を越えて活動する予定です。みなさまと各地でお会いできる日を楽しみにしながら、目下オーダーいただいている作品を納めること、イタリアでの作品展の制作、そして秋の個展の準備などに翻弄されながらも、『広場』のことについては毎日あたまの片隅で想像をふくらませる日々を送っています。

(※余談)よもぎ(伊:アッセンツィオ/聖人の名)は、イタリアの田舎に行くと道端に生えており、90年代ミラノの友人に天ぷらで振る舞ったことを思い出しました。日本同様に薬草として、あるいは魔除けの草とされていたそうで。19世紀頃の欧州には、日本のよもぎとは異種である「ニガヨモギ」というよもぎ入りの治療薬(アブサン)というものがあって、後にあやしいお酒として数々のアーティストをダメにしていったらしい(-_-;)

写真のよもぎごはん 恒例なんちゃってレシピ

1. よもぎの若芽を摘んでせいろで3分ほど蒸す。(少し萎れる程度で葉の原形は残る程度)
2. 炊きたてのごはんに①を和え、白ごまと塩を少々。土鍋の蓋をしめて1時間ほど放置。

1時間ほど経って土鍋のふたを開けると、それはそれは美しいよもぎ色と春の香りに部屋中が染まります。(よもぎを米と一緒に炊きこむとアクが出て発色に劣るのでこの方法を取っています)


※前編では「よもぎペーストのパスタ」をご紹介しています。
「近くの道草よもぎ摘み」(前編)

2018年

4月

17日

せいろで蒸そう!カジキマグロの野草巻き

カジキマグロの野草巻き(せいろ蒸し)/長手皿Cocciorino
カジキマグロの野草巻き(せいろ蒸し)/長手皿Cocciorino

その野草の名はイタドリ(別名スイバ)

またまた小川のおいしい野草料理のご紹介。4月の声をきくとイタドリ(別名スイバ)が土から顔を出す。1ヶ月ほどで勢力をあらわにし川の水を覆い隠すほどの成長をみせる彼らは、山菜ではなく、いわゆる生命力の強い雑草なのでご存知なかたも多いでしょう。どんな野草もそうであるように春の土から顔を出すころは初々しい柔らかさがあるのに、人間も植物も自身のために光をあび出したらたちまちお硬くなってしまうのかしら。

茎は水分たっぷりで、その味はうひょっと酸っぱくて、ルバーブに似た味。成長するに従いたくましく太くなり食用にはごめんという味になるから、茎も葉も若いものがいい。葉は天ぷらにするのも良いし、写真のように朴葉(ほおば)のように魚や肉を巻いて調理するのも美味。

せいろで蒸すカジキマグロ野草巻き / 土鍋Cocciorino
せいろで蒸すカジキマグロ野草巻き / 土鍋Cocciorino

Cocciorinoの土鍋は蒸し料理にも便利。
土鍋半分まで水を入れせいろを乗せるだけ。
食卓にそのまま運ぶこともできます。

友と足をはこんだフレンチレストラン「シェ・オリビエ」でいただいた「桜鯛のオゼイユ巻」。フランス人のマダムにたずねたところ「オゼイユはハーブとしてフランスでもよく使いますよ」と教えてくださり、それがイタドリ(スイバ)であることを知る。葉の形など同種同族でも多種あるようで。今回は、オシャレさにはかけ離れるけれど近所の小川の野草イタドリ(スイバ)で再現。

使ったお魚も、近所のスーパーで手に入ったお手頃価格な「カジキマグロ」。レストランでいただいた逸品はポワレ(蒸し焼き)かな?それを我流アジアンな感じで、いつもの「土鍋+せいろ」でヘルシーに蒸してみました。ソースも濃厚な野菜仕立てのバターソースでなく、家にあった野菜(ニンジンとカブ)の豆乳ソースにアレンジして。

わずかな時間でつくる日常の飾り気ない食事が好きで日々満足しているし、もっといえば雑多で庶民的な食文化も好き。しかしながら、時おり洗練された味や盛りつけを楽しむことは、美術館やギャラリーでの作品鑑賞のようなもので、Cocciorinoの普段使いの器の制作に刺激を与え、普段の簡単な料理のヒントになるのです。

「カジキマグロのイタドリ巻せいろ蒸し」うつわ職人のなんちゃってレシピ!

1.カジキマグロに塩をふり白葡萄酒に浸す。

2.イタドリの葉でくるっと巻き、せいろに並べ蒸す。

<野菜ソースのつくりかた>
カブとニンジンをサッと蒸し、豆乳、オリーブオイル、塩こしょうを入れフードプロセッサーでソースに仕立てる。濃くはオリーブオイルの量で、隠し味に白ビネガーを入れて調整する。


2018年

4月

16日

きゅうりの桜えびスープ

きゅうりスープ/ Cocciorinoのミニミニ土鍋
きゅうりスープ/ Cocciorinoのミニミニ土鍋

「きゅうりのスープ」を堂々と抱える修繕されたミニミニ土鍋。火にかけることは未踏ですが、見事に一滴もしみ出ることなく良いシゴトをしてくれました。

金継ぎの器は命を吹き返しました。
「生きててよかった」という声はまぼろしでしょうか。

きゅうりの桜えびスープ

1.桜えびを沸騰した湯に入れて出汁を取る(桜えびはそのまま)。
2.乱切りきゅうりと微量の刻みニンニクをごま油で炒めて焦げ目をつける。
3.①に②を投入し加熱。少量の酒、塩、醤油で味を整える。
4.溶き卵を流し、七味をかけてめしあがれ。

2018年

4月

16日

薬膳茶話と土のうつわ

「菜の花の白和え」Cocciorinoココット
「菜の花の白和え」Cocciorinoココット

春はカラダの血流も心のざわめきも活発にうごく季節。寒さにまけないための冬の防寒着も、溜めこんだ老廃物も、意識して捨てる手伝いをすると気持ちのよい春がくるんだなぁ。atelierハル:G 伊嶋まどかさん(薬膳スタイリスト)の「4月の薬膳茶話」に参加しての実感。

古代中国から発した「五行思想」とは、万物は5つの元素(木・火・土・金・水)からなるという説。自然哲学思想から日々の食事や体調を相関的に考えることは「思想」というより「意識」かな。春の象徴は「木」であり五臓の要素では「肝」。大きく枝や根をのばす春の樹木を想像しながら、内臓の働きや血や体液の潤いを意識する…。このところ春の野草やタケノコを好んで食べまくっていたのは、そこに芽を出す(発陳)から食べるだけでなく、カラダが「解毒」や「排出」を訴える季節だから、あえて昔の人もむさぼり食べていたのかな(解毒反対説など諸説ありますが)。そもそも山菜のえぐみは、虫など外敵から身を守るための防衛手段。少なくとも自然と人間がうまく共存する循環図があったのでしょう。

※あく・えぐみについての質問もしてきましたが、新鮮なものを多く摂らなければ悪いものではないけれど、体質によってアレルギー反応やお腹をこわしたりするかたもいるので、灰汁抜きをすることが無難ということでした。

Cocciorinoのおいしそうなうつわ

さて、今回の座学のあとの試食会にて、いくつかCocciorinoのうつわを使っていただきました。春の土の香りをイメージするような、春のアースカラーが生きるような、素朴なうつわを選んで参りました。Cocciorinoのうつわは、どんなときも、どんなアイテムでも “おいしそう”を目指しています。例えば、時計でも“おいしそうな時計”でありますように!

左上の「タケノコの炒め物」のグラタン皿は、直火で炒め物もできるうつわです。恒例のミニミニ土鍋は、ちょっとお漬物を入れるのにも便利です。そのまま冷蔵庫に入れられます。

座学のあとは、養生にそぐう食材と試食。ご用意くださったのはメニューは以下の通り。

・「タケノコのクコの実赤ワイン炒め」
・「菜の花の白和え(はとむぎ入り)」
・「カブのおつけもの(赤米酒粕漬け)」

薬膳やお野菜にご興味あるかた、atelierハルさんでは定期的に講座を企画していらっしゃるので、ご一緒しましょう!

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2018年

4月

12日

近くの道草よもぎ摘み(前編)

先日の記事「たけのこ丼」からのつづきで、「近くの道草よもぎ摘み(前編)」では「よもぎペースト」のなんちゃってレシピを。後日、後編は「よもぎパウダー」のことを載せますね。

よもぎペーストのペンネ(にんじんソース添え)

よもぎペーストのペンネ/Cocciorino 白い皿
よもぎペーストのペンネ/Cocciorino 白い皿

よもぎのしたごしらえ

摘んできたよもぎをじゃぶじゃぶ何回も水を変えて洗い、我流ですが最後に重曹を入れて1時間くらい水につけてアクを取り、葉もいきいきとよみがえらせます。水を切り葉とやわらかい茎だけを手でぷちぷちちぎり。

ざるにあけて水をきったよもぎはCocciorinoコッチョリーノ土鍋にせいろを乗せて蒸します。雨上がりにニョキッと出た新芽を摘んだので、今回あく抜きは不要。土鍋に入れる水は少量なのですぐに沸騰するし蒸し時間はわずか3〜5分。とても便利。茹でると水っぽくなるのと、絞ると葉っぱがつぶれてしまうので蒸すのが好き。


香りが部屋中にひろがりアロマオイルを焚いたような春の香りに包まれます。

よもぎせいろ蒸し Cocciorino土鍋
よもぎせいろ蒸し Cocciorino土鍋

よもぎペーストなんちゃってレシピ

1.したごしらえしたみじん切りしたよもぎ、オリーブオイル、ニンニク、松の実、塩を入れ、フードプロセッサーでペースト状にする。柔らかさを見てオイルを加える。

※ペーストは濃いめ(硬め)のペーストに仕上げ、パスタ、クロスティーニ、お魚料理などお料理によってオリーブオイルで伸ばして使うのが便利です。

※イタリアのバジルペーストにはパルミジャーノやペコリーノチーズを入れるがよもぎの苦みを活かすため不要。


※時間が許せば「にんじんペースト」(にんじん、豆乳ヨーグルト、オリーブオイル、ビネガー微量、塩こしょう)を添えてどうぞ。味に甘さが加わっておいしい。

「近くの道草よもぎ摘み(後半)」はよもぎご飯です!

2018年

4月

11日

「たけのこドン」-生きとし生けるもの-

近所の小さなおもちゃやさんの店頭に「たけのこ」がならぶと、ああ春がきたなと思います。不思議な光景なのだけれど、まあいいや、おじさんの土地で採ったもの売ってるのね。

それと、少し歩いた小川で摘む野草つみが楽しい季節。若芽のよもぎと、イタドリ(スイバ)をたくさん摘んできました。春の生きとし生けるものたちは、ググググと声をならして金色の光る道に誘います。蝶々がそれを追いかけていましたよ。金継ぎされた土鍋も息を吹き返しました。

「春がきて生きとし生けるものよ」土鍋Cocciorino
「春がきて生きとし生けるものよ」土鍋Cocciorino

冬に入った氷のひびを生きるものとするならば、
春になればそれは金の道となる。

「たけのこ丼(たけのこドン!)」なんちゃってレシピ

①たけのこはあく抜きして、歯ごたえが残るくらいに茹でる。

②オリーブオイルで焦げ目がつくくらい炒める。
③塩で味を整え、若いよもぎの葉をちぎって入れ、かつおぶしをたっぷり入れ少し躍らせる。七味をかけてどうぞ。

※よもぎごはんの上に乗せて「たけのこ丼」にしました
※よもぎごはんのなんちゃってレシピは次回。

2018年

4月

08日

Cocciorinoの金継ぎ(うつわ職人の金継ぎ)

「ごまあざらしのいるところ」蓋物Cocciorino
「ごまあざらしのいるところ」蓋物Cocciorino

温暖化により彼らの足もとがおびやかされている。
北極をまもる境界線というが景色完成。

Facebookの工房ページに公開アルバムをつくりました。うつわ職人としての視点で「Cocciorinoの金継ぎ」と名づけ割れたりかけたりひびが入ったものを生き返らせるプロジェクトです。仕事柄、ひび、われの入った器を多く所有しています。作家によっては失敗作はじめじめと保管せず、スパッと投げて割るという話を聞いたことも多いのではないでしょうか。

金継を学び、「無残」から「情愛」と「景色」が生まれることを知りました。今後は、このリンクで新作にならび、金継の事例をとしてCocciorinoの修復作品もご紹介してゆく予定ですので、ご覧いただけたら幸いです。(Facebookへの登録必要なくご覧いただけるページです)

I learned KINTSUGI(Golden repairing pottery) that in the Japananese art of repairing broken pottery with lacquer dusted or mixed with powdered gold/silver/platinum, a method similar to the Maki-e technique. Thank you.

「パセリは金の影に」豆皿Cocciorino
「パセリは金の影に」豆皿Cocciorino

風がばさばさと時間を持ちさる日々に庭のパセリは金の影を置いてゆきました。

2018年

4月

05日

そらまめがある季節

「そらまめスープ」ミニミニ土鍋Cocciorino
「そらまめスープ」ミニミニ土鍋Cocciorino

たくさんのオーダー制作をいただき感謝にうもれる毎日ですが、制作に追われてしまい追い返せない力量のなさにあきれます。それでも朝は川を走り自然に励まされ、金継ぎで器のお直しがプロとしてできるようにブラッシュアップをかける講座に出かけたり、納品にでむいたり、人に会って心をあそばせたり、映画をみたり本をめくったり。どたばたな日を生きる性格なのだからいいじゃないと、そんな力量でごまかしています。

この1ヶ月、そらまめがとってもおいしいです。「そらまめくんのベッド」という絵本をなんども少年に読んだのはそれほど遠くない記憶なのに、ああもう17~18年経ってしまったのね。その頃から、無駄にかさばるそらまめの皮も愛おしい。冒頭写真のスープも約1か月前に撮影したものですが、なかなかブログ日記の更新もままならず(記事が渋滞)、ようやくそらまめが終わるころに。まだそらまめは市場に出ているので、もう一回くらいスープつくりたいな。

そらまめスープ なんちゃってレシピ

1.土鍋にせいろをかぶせ、そらまめと玉ねぎを蒸す。少し柔くなる程度でOK。
2.フードプロセッサーに①と豆乳を入れポタージュにする。
3.鍋に入れあたためたら塩こしょうナツメグで味を整える。
4.あたたかいスープならそのまま、冷たくいただきた場合は冷蔵庫へ。

この季節たのしみな睡蓮
この季節たのしみな睡蓮

2018年

4月

04日

わたしのかけら

Colmans MUSTARD 2018 tamamiazuma
Colmans MUSTARD 2018 tamamiazuma

イギリスに帰省した青春の親友がお土産にもってきてくれました。親友はこの春から遠方の大学でがんばっています。キッチンに彼が大好物だといっていたこのマスタードやマーマイトのおみやげが鎮座していて、見るたびに「がんばれよ」と思います。

大学の入学式もおわり、我が家もすこしだけ新しい風が吹いています。大学の入学式なんてぜったいに行くもんかと、なんちゃってがつくような母親なのに、なにを根拠に意固地になっていたのでしょうか。とうとう、ついに、ちょっとだけ隠してあるわたしの「かけら」をのぞいてみたくて、出向いてしまいました。校歌なんかより、式典にあふれるサンバのリズムで母校にタイムトリップ。サンバガールズ血湧き肉躍る式典よ、ジャジーな演奏で踊り狂う若人よ。大切なアートという「かけら」が古いカラダに食い込んで満たされました。

わたしの「かけら」どうか、卒業するまでにひとつでも見つけてください。

らくがきごはんシリーズ⇒★

⇒過去のブログ

2018年

4月

03日

*メニュー* マルケをかばんにつめて

前菜
「チャウスコロ」(マルケ州のサラミ)、「フォンテグランネ」(マルケ州のチーズ:羊と牛の乳を混ぜた生乳チーズ)、「オリーヴェ アスコラーネ」(マルケ州アスコリピチェーノ県の大粒オリーブ:3種の肉と香味野菜のミンチを種を抜いたオリーブに詰めてパン粉をつけてフライ)、「クロスティーニ」(お肉と野菜だしのペースト)

スープ
「スクリペッレ ウブッセ」(マルケ州・アブルッツォ州料理:クレープのチキンスープ仕立て ※古代小麦と水だけのクレープにパルミジャーノを挟んでスープに浸す)、
「ズッパ コン チェチ エ ロヴェイヤ」(ヒヨコ豆とマルケに自生しているエンドウ豆のスープ)

 
パスタ・肉料理
「タリアテッレ」(古代小麦で手打ちした平麺をトマトソースで)、「ロレ ディ ポッロ」(鶏肉の太巻き:ハムや野菜、卵焼きを巻いて焼く料理)

ドルチェ・食後酒
「チャンベローネ」(ヴィーノコット風味のチャンベローネにサパという天然ブドウ果汁甘味料をかけて:大きなドーナツ風菓子)、ヴィーノコット」
ブドウの絞り汁を沸騰させてつくるマルケ・アブルッツォのお酒)

2018年

4月

02日

「くまもの展」へ

新国立競技場(模型)
新国立競技場(模型)

物議をかわした新国立競技場。採用された故ザハ・ハディド案がハイコストの問題で白紙となり、A案とよばれた隈研吾の案が採用されたことは周知の事実。前者の2500億円に対して契約金は1500億円といわれています。大量の国産木材を使用して隣接する神宮外苑との調和を意識して「杜のスタジアム」をコンセプトに掲げた作品。同時に、氏は渋谷駅の大開発や品川新駅など、現在進行中の大プロジェクトの模型展示などもありました。

新品川駅(模型)
新品川駅(模型)

氏の建築の賛否ではなく、わたし自身は、日々のものづくりにおいて、素材を強く意識していることから、この展示の「物質にかえる」という視点に興味を持ち足を運びました。建築作品の展示というと、たいがい専門性が高く理解に困難なものが多いなか、当展は模型をはじめ、映像や素材などの展示もあり、素人にも見やすいものになっていました。

主要なマテリアル(竹・木・紙・石・土など)ごとに分類展示してあると同時に、「積む」「粒子化」「包む」「編む」「支えあう」という系統を掛けて表している展示。建築といっても氏の作品は、構造物というよりも、“被せ”“包囲”“包含”あるいは、“建築の外延である系統”という印象を持ちました。

詳細・参考:建築雑誌「THE JAPAN ARCHITECT」spring2018 no..109

1914(大正3年)創建の東京ステーションギャラリーは、第二次世界大戦でドーム屋根と3階が焼けてしまう。2012年に修復を済ませ、当時の構造とレンガ素材を残しつつ、美しい姿で再登場した建物に入ることにも価値がありましょう。

上階から東京駅改札を見下ろせるというお土産つきがなにより嬉しい。

2018年

4月

02日

マルケをかばんに詰めて(後編)

ロベルトさんのかばんから出てきたマルケの伝統料理

僭越ながらひとり細々とつづけているCocciorino「旅する土鍋プロジェクト」と、ロベルト氏の「マルケをかばんに詰めてプロジェクト」の活動が重なり、学びにになり、アイディアとなり、すべての栄養になり、とてもうれしい。氏は、葡萄酒から古代小麦粉などマルケの食材を可能なかぎりカバンにつめて「地中海式食事法」を紹介するために腕によりをかけてマルケ料理をつくってくださった。日本と重なる部分はたくさんあり、氏は「農家のおばあちゃまの味」からの伝承料理の語り部となったり、生産者を紹介して支えたり、現代の食事情においてもやさしく警鐘を鳴らす。古代小麦を使用することで過剰なグルテンを軽減させアレルギーを防ぐ啓蒙をうながしたり。「パスタとパンの国でそれらが食べられなくなってしまったら残念ですから」と、あくまでマジメなのだけれど食いしん坊なロベルト氏のおちゃめさが好い!

当日のメニューは ⇒こちら!

ベルガーレ料理(おばあちゃま料理)

ロベルト氏はマルケの食事を紹介するときに“dieta mediterranea”(地中海式ダイエット)と直訳される言葉を使いますが、このダイエットは現代の「痩身」という意ではなく「生活様式」を意味するギリシア語から「日常の食べ物」と転じた単語。つまりは、氏は、レシピを教えるだけでなく、その背景や食材という伝統を一緒に伝え、人と動植物の関係、さらには人と人とのコミュニティをつくっているのです。

特にマルケの農家のおばあちゃまたちがつくってきた伝統料理「ベルガーレの料理」(農家の女主たちの料理)を伝承すべく紹介しており、日本の地方で受け継がれる「おばあちゃんの知恵料理」といっしょだなと思いました。山野草を摘み、食べるだけでなく治療にも使い、まさしく生活様式を口伝えしてきたのです。日本も、イタリア同様に、長きにわたる農耕と食文化の歴史があります。意識の高い日本の生産者は日々の努力を示しており、わたしたちは自分たちが可能な範囲でそれを知り、応援し、意識してゆくことが必要です。

わたし自身、両親は東京のまんなか出身で家族で休暇に帰る田舎もありませんでした。そして、家族は東京で仕事を持ち学び。このように日本の動力である東京に生きる必要がある者たちも大勢います。東京で生きていくためには完璧なオーガニックライフやスローライフを持ってくることは不可能なので「妥協」という術もひとつの賢さです。しかしながら、その一方でコミュニケーション力を強みに持つ都市です。自然は少ないけれど、市場は豊かです。時に本物に触れ、知識を高め、普段は不可能でもイメージして暮らしてゆく。東京人が未来に進むうえで大切なことだと思っています。そして、減って消えてしまう大切な伝承を、強みであるコミュニケーション力と情報力で温存し、伝えていかなければなりません。

地中海の食事(モレニャーノの食のお祭り)
※マルケ州フェルモ県モレニャーノ

コッチョリーノ(地球のかけら)の「旅する土鍋」今年も!

わたしはそんな理想から「旅する土鍋」プロジェクトを2013年から毎年イタリアで続けています。最初は道もなく、友人たちが手を引いて歩いてくれました。今もそうです。

このプロジェクトは、即効性のある答えや結果を求めているわけでないし、誰かが突出してブレイクすることも望まない。なぜならば、Cocciorino(地球のかけら)は、かけらをいただく分だけ、そこを倍にして埋めたいのです。地球という大きな歴史と広い心を遺すために、かけらという小さな虫けらとして手伝っているだけなのです。

「マルケをかばんに詰めて」のロベルト氏は地元の生産者と密につながり、精神科医であった彼の前職と、薬草や野草の研究を活かした本物の活動です。これからも、このように本物をたくさん「旅する土鍋」に入れて、可能な限りみなさまに紹介したり、私自身や、未来を担う子どもたちのイメージに残せればと思っています。

2018年

4月

01日

マルケをかばんに詰めて(前編)

Cocciorino collabora al successo dell Marche in Valigia!!
Cocciorino collabora al successo dell Marche in Valigia!!

マルケをかばんに詰めて(Le Marche in Valigia)

オリーブオイルソムリエの陽子さんのご紹介で出会ったロベルト・フェレッティさん。去年の夏「旅する土鍋プロジェクト」のために、ロベルトさんが“Cocciorino Work shop”と銘打ってとっても温かいディナーパーティを企画してくれました。

ロベルトさんは、マルケ州のペトリートリという小さな町でラ・シェンテッラという宿を経営しています。広大な丘がみえる自然いっぱいの中にある宿。温暖な気候であるマルケは農作物や野草が豊かです。Cocciorino土鍋とプロジェクトの主旨を説明する時間をたっぷりとってくださり、近くに住む飲食や農園関係者のご友人がたくさん集まってくださいました。“もっとたくさんの友だちが参加したいと言っているけれど今回はこの規模におさえてまた今度ね”なんて嬉しい状況で。
※2018年夏も「旅する土鍋 in マルケ」開催予定!

Sig.Roberto Ferretti è venuto in Giappone per fare i suoi eventi delle "Le Marche in Valigia" a Osaka,Tokyo, Kamakura. Di solito lui fa come questa cosa alla Scentella in marche quando vengono sugli ospiti dall’estero. Anche quando ho visitato là nella scorsa estate, lui e la mia amica Yoko hanno organizzato il piccolo evento per il "Cocciorino in viaggio". Una pentolona di ceramica con cui cuocere i cibi si chiama Cocciorino, faceva dimostrato i piatti giapponesi, invece Roberto ha fatto i piatti marichigiani. Li Abbiamo gustati con i 16 ospiti della Scentella e sugli amici Petritolesi. E così, questa volta l' abbiamo fatto insieme anche in Giappone. Era proprio "Le Marche in Valigia" ed "La Cocciorino in Viaggio"!!!!! Veramente sono felice, mi sembra di sognare. Grazie a tutti, sopratutto Yoko Moriyama e Roberto Ferretti. 

 

ロベルト・フェレッティ氏は大阪、東京、鎌倉での「マルケをかばんに詰めて」イベントのために来日しました。ふだん彼はマルケ州のラ・シェンテッラ(ロベルトさんのB&B)に海外から来るお客さまにこのようなもてなしをします。昨年の夏、わたしがマルケを訪れたときも、友人の陽子さんとロベルトさんは「旅するコッチョリーノ土鍋」のためにちいさなイベントを計画してくれました。コッチョリーノという煮炊きできる陶の大きな土鍋はお客さまにいくつかの日本食をふるまい、ロベルトさんはマルケ料理をつくってくれて、宿のお客さまとロベルトさんのペトリートリの友だちの16人でそれらを味わいました。そうして今回は、日本でも一緒にイベントができるなんて!まさにこれこそ「マルケをかばんに詰めて」と「旅するコッチョリーノ土鍋」!夢をみているように幸せです。ありがとうみなさま。特にこの企画をオーガナイズしてくださった森山陽子さん、そして遠方よりロベルト・フェレッティ氏ありがとうございました。

「旅する土鍋 inマルケ」を開催していただいたLA SENTELLA(ラ・シェンテッラ)

「マルケのかばん」と「旅する土鍋」がジョイント!

さて、そして今回はマルケからロベルトさんが「マルケをかばんに詰めて」というプロジェクトで来日!大阪や静岡をまわり、東京でも南青山のドメニカ・ドーロさんでコラボレーションディナーなどすてきな会の数々を開かれていました。

そして最後のイベントとして、陽子さんのオーガナイズにより「マルケをかばんに詰めて」とCocciorino(コッチョリーノ)の「旅する土鍋」が見事ジョイントされ、七里ヶ浜のすてきなご友人宅で、11名のゲストの方々と実現されたのです。

イタリアという国は、訪問する土地ごとに豊かな食材が迎えてくれ、その土地ごとにそれを誇りとし、大切な文化として育んでいます。日本のような後継者の問題や、農薬などの問題も耳にしますが、スローフードが歴史的に板についている国。実際、彼らが意識を高めはじめると、われわれ日本人よりも食改革が速いように思います。居住していた90年代はスモッグや農薬が大きな問題となっていましたが、この10~20年で現に大きく変わったと感じるからです。

温暖な気候、なだらかに続く丘のマルケ。果物畑、野菜畑、麦畑、そして野草の山々がおだやかな形状で続いている肥沃な土地の自然派生野草や野菜、古代原種の小麦をつかった料理を紹介するロベルトさん。さて、当日のメニューについては、長くなるので後編で書こうと思います。お楽しみに。

2018年

3月

29日

オーダー作品の最終窯あがりました

土鍋/街シリーズ Cocciorino
土鍋/街シリーズ Cocciorino

長らくお待たせいたしました。CROCO ART FACTORYでの個展「DUETTO」で承りましたオーダー作品の最終窯があがりました。追ってギャラリーから(一部作家から)ご連絡いたします。

改めて師匠GUIDO DE ZANとの展示「DUETTO」に応援くださったみなさまにお礼申し上げるとともに、長いこと大きな心で作家を見守ってくださっているギャラリーに感謝いたします。

Cocciorino 我妻珠美

2018年

3月

29日

生まれて老いるのならば-金継ぎの魅力-

これまで金継ぎのご依頼に対して踏みとどまっていた理由。苦楽をともにして生んだ作品の親、それを職業としている者だからこそよくわかる。それなのに、背中を押され入り込んだオープンな部屋には、青い風が入り黄色い鳥が歌う。何も変わらない部屋の影に五感が加わったような喜びが。

2年前より新柄としてアイテム化された「ふたりの顔」シリーズ。金継をしたことで、感情が何倍にも広がりました。

彼女は涙をながすくらい感情豊かになりました。
最初からこのような運命にあったのかと思うと「破損」に「損」はない思えるようにもなりました。宿命なのです。「誕生」と「老い」を知り、それぞれを楽しめる年頃になったのだと思います。

人が生まれて老いるならば、損などありません。なぜならば留まらないのですから、進むのですから。そして人だけでなくモノも、寿命や宿命があり、進むのですから。

2018年

3月

28日

独活(ウド)一度に二品うつわ職人のなんちゃってレシピ

ウドのサラダ/Cocciorinoグラタン皿  ※グラタン皿はどんな料理にも合います
ウドのサラダ/Cocciorinoグラタン皿 ※グラタン皿はどんな料理にも合います

風がないのに動くから「独活」。これを「ウド」と読む。大好きな春の山菜。なんだか就活とか婚活とか、そんな独りで前向きに行う活動かと思ってしまいそうな。

腑に落ちるもうひとつの意味としては「生土」(ウド)で、山菜が芽吹く様子が想像できてすてき。顔を出したばかりの香りよいウドを春の恵みとしていただく一方で、大きくなったら「ウドの大木」という言葉があるように“図体ばかり大きくて役に立たないよ”という否定的な意味合いになるのもおもろいですね。

この時季にたくさんいただいておこう若いウド。来客があったので、ウドのサラダをつくり、家族用の常備菜としてウドの皮のきんぴらを。ゴボウのそれとはまた違うシャキッとした歯ごたえ。若いからこその苦みと芳香もからだじゅうに広がります。

ウドのきんぴら/Cocciori半磁土の片口
ウドのきんぴら/Cocciori半磁土の片口

一度に二品!うつわ職人のなんちゃってレシピ!

「ウドのサラダ」
①ウドの皮を厚めにむき両方とも酢水にさらす。
②本体は拍子切りでヨーグルトマヨネーズ(※1)を和える。
③塩レモンを添えてどうぞ。
※豆乳ヨーグルト+白ビネガー+白味噌++マスタード+塩こしょう

「ウドのきんぴら」
①酢水をよく切った皮は細切りにする。
②オリーブオイルとごま油をたらしたフライパンでひとかけの鷹の爪と炒める。
③醤油、酒、甘酒、ゴマを加え炒め、お好みで七味をふってどうぞ。

2018年

3月

25日

写真展と桜

窯づめの準備は9割できたのに、どうしても乾き切らない作品がひとつあって窯をたくことができません。右往左往しながら窯に入れてしまおうかと強行突破も考えましたが、焦る気持ちをおさえて出かけることにしました。せっかくの春のはじまりですものね。

週に1度はかならず通って定点観測する場所が大騒ぎな季節。まずは心を整えて散歩です。同じ場所がちがう顔にみえるほど華やかです。殺風景な体育館が祝いの場所になったあの感じに似ています。仰げば尊しです。

すっかり日本の春の祝いを堪能したあと、作品は乾いたかなぁと焦りは頭をかすめましたが、友人の展覧会に行くべきだ!そう思い立ち、サンドウィッチと珈琲ではらごしらえを済ませて、ぐんぐんさらに散歩を進めました。90年代フィレンツェで唯一通った語学学校で出会った友人カメラマン。神戸の震災直後に渡伊したというその理由にも当時ノックアウトされた記憶があり、それはそれは互いにタマゴだった。

本当に行ってよかった。エントランスから順にみていって、まだ1/4くらいのところでしょうか。ある写真でふと涙があふれてきました。写真からすぅーっと風が流れてきたからです。テーブルの上のグラスや料理は静かにとまっています。それなのに誰が肩をたたいたの?まったく泣かせるような写真でもかなしいストーリーでもないのに。

彼のスタジオには6年ぶりの再訪だろうか。スタジオをゆずりうけたというおはなしをあの時にうかがったのですが、不思議な時間というのはあるもので、誰かに肩をたたかれたような一瞬があり、そのあと心密かにそのお会いしたかったそのご家族と会うことができました。

ようやく心のなかの焦りが消えました。すてきな作品展でした。

 

そして、被写体である和歌山のレストランVilla AIDAに行ってみたくなりました。

Villa AIDA 中本浩平写真展
2018年3月24日(土)~2018年3月25日(日)
詳細:ナカモトカメラ

2018年

3月

25日

ジノリとポンティと旅人と-金継ぎはじめました-

旅人というと思い出す童話があって、あれはなんという題名だったか。思い当たるキーワードで検索をかけてやっと見つけました。

ずっと幸せでいるのが一番です。
それからわたしたち2人が生きている限り

健康で毎日食べるパンがありますように。

3番目に願うことは、

なにを望んだらいいのかわかりません

「貧乏人と金持ち」 グリム童話

ミラノに住む友人が、リチャード・ジノリの骨董のお皿を見つけてプレゼントしてくれました。建築の父ジオ・ポンティがアートディレクションした作品で、たしか私は彼女に興奮してこのお皿の話をしたような。それとも彼女はなにかから察してくれたのでしょうか。いずれにして包みを開けたとたん大興奮して抱きしめるほど嬉しかったのです。

 
“I Mestieri” Disegno Gio Ponti /Manifattura San Cristoforo, Richard Ginori 1937

リチャード・ジノリは、1735年トスカーナの磁器窯から発祥。磁器の歴史は日本や中国のほうが長く1700年代にようやくジノリがイタリア初の窯をつくり、1861年イタリア王国の誕生以降はどんどん工業化が進んだという。1896年には、ミラノの企業家アウグスト・リチャードに工場(San Cristofono)を譲渡。アールヌーボを経て20世紀前半アールデコの時代には、アートディレクターとしてジオ・ポンティが登場し陶工との共同作業が進められる。

ジオ・ポンティ
イタリア建築界の父。1920-1930年リチャード・ジノリ社のアートディレクターとして活躍。磁器素材を使い「モダンアート」の世界を創造しイタリア古典(ギリシャ、ローマ)のモチーフからインスピレーションを得て独自の「ネオ・クラシック」の作品を生み出した。

金継ぎ後のジノリ・ポンティ・たまぴ共同作品!?
金継ぎ後のジノリ・ポンティ・たまぴ共同作品!?

ミラノの運河沿いの工場 (※写真あり)はどんなだったのだろうとか、ジオポンティがデザインしたものが手元にあると思うとぞくぞくわくわくするのです。

数日間、穴があくほど眺めました。お皿の縁にいい感じのカケ部分があって、その断面もなんどもなんども吸うように見ました。1930年代の素材、当時の電気窯で焼いたものであり、つくる過程が想像できるわけです。素材は密につまった良質な石灰成分ですが焼き温度はそれほど高くなかったのではないかなぁなどと想像をふくらませ。真っ黒になったのはなぜだろう?誰がつかったのかな?なんて考えるのも骨董品の醍醐味です。

思う存分に眺めたあと、カケやヒビをきっかけに破損が進むのをとめる手段を考えました。骨董の味わいを損なわずになんとか維持できないか。そこで、金継ぎをする決心をしたわけです。ときどきお客さまに「金継ぎはやられませんか?」と問われること10年ちょっと。新しい形やデザインを生み出す者としてなかなか修繕という道に踏み込めなかったのですが、このお皿をきっかけに、金継ぎをすることに決めたのです。陶芸職人をつづけるためのもうひとつの道。この皿が私の背中を押してくれたわけです。そこからは早い早い。ずっと調べていた金継ぎ開業講座に行きました。

話しは長くなるので「金継ぎ第一話」はこのへんで。
第二話からは、実際に金継ぎした作品を少しずつ紹介していきます。

2018年

3月

16日

未来のからだを支える

Cocciorino長皿に自然栽培の小麦(または米粉)のパン/パンの説明は文末にリンクあり
Cocciorino長皿に自然栽培の小麦(または米粉)のパン/パンの説明は文末にリンクあり

「未来のからだを支える」

オーガニックライフ・レストランANNIVERSARY GARDEN(※1)で定期的に開催されている「学びのセミナー」に行ってきました。今回は、ミラノで出会った斎田瑞恵ドクターが講師であるということで、まなじりを決して参加。


今回の「幸せな食卓のありかた」というタイトルのセミナー(※2)は、自然栽培野菜や有機栽培野菜、厳選されたお肉やお米などを使った食事を堪能しながら瑞恵さんとの座談会形式の食事会。テーブルをはさんで向かい側の方とお料理をシェアするスタイル。お向かいのすてきな女性はインド哲学や呼吸法の研究者で、ヨーガの先生でもある方で、会話もはずみました。


瑞恵さんは、ミラノの展覧会でミニ土鍋をご家族分ご購入くださったお客さまであり、その後、お仲間の食事会に呼んでくださったり。おはなしがおもしろいし、現役ドクターでありながら3人の子育て奮闘中のママであり、文句なしの才色兼備。

「予防医療」と食事

冷前菜
冷前菜

ご専門である「予防医療」や「プレコンセプションケア」について、中でも力を入れて研究なさっているという「鉄分」のおはなしは興味深く、レストランが用意した鉄と抗酸化作用をテーマにしたお料理の数々といっしょに自然な流れでカラダに入ってゆくという感じでした。

いつの時代も「女性は鉄分!」と言われていますが、貧血症でないわたしは「だいじょうぶ」なんて思っていました。しかしながら鉄分はエイジングケアに勝る栄養素であると目からうろこ。植物性の鉄分は、たんぱく質のチカラを借りて体内に運ばれるということからも、改めて食はバランスだと初心にも戻れました。

もうひとつ興味深いこと。「血液検査ではわからない細胞レベルの貧血がある(潜在性鉄欠乏性)」と瑞恵さん。腸内で吸収された鉄分はカラダの各所に行きわたり、そして貯蔵鉄フェリチンとなる。健康診断など一般的な血液検査ではこのフェリチン値は測らないそうで、要は「隠れ貧血」の可能性も否めないから、特に女性は日ごろから鉄分の摂取に意識を注ぐのが良いでしょうというおはなしだったのです。

(※1)アニバーサリーガーデンは八芳園が運営するオーガニックレストラン。閑静なプラチナ通りを少し歩いたところにある。7大アレルギー(グルテンフリー含)に対応した料理を提供。

(※2)レストランで使われている自然栽培の野菜や食材の提供は 専門店「自然栽培の仲間たち」(自由ヶ丘)。コラボレーション企画のサポートもm。冒頭の写真のパンも両者のコレボレーションでできあがったもの。

2018年

3月

14日

オーダー作品のご納品 順にはじまります

Cocciorinoの土鍋/夜の街
Cocciorinoの土鍋/夜の街

CROCO ART FACTORY個展で承りましたオーダー納品第一弾。制作工程、窯づめの関係などから、アイテムや大きさにより完成の順は不同です。ご了承くださいませ。

順に納品を進めていく体制に入りましたので、とりいそぎご報告いたします。
引き続きどうぞお待ちくださいませ。

2018年

3月

13日

願いをこめて2 -落語「鯛」生き残るには知恵がいる-

ふきのとう/Cocciorino春をつめたミニミニ土鍋
ふきのとう/Cocciorino春をつめたミニミニ土鍋

春のめぐみ

イタリアからのご長女、我が家の青春、卒入学ダブル祝いの夕餉2日目。

納品まぢかな作品準備と昼間は親たちの卒業式の設営準備があったりで、食事の準備は急ぎ足だったけれど。芽吹きの食材にすくわれました。春のめぐみが店頭にたくさん並ぶこの季節はうきうきします。厳しい冬に耐えた山菜、冷たい海を泳いだ魚、彼らから人間はエネルギーをいただきます。春に感謝するとともにエネルギーを交換するのだなあとそれぞれの命を想いながら。交換なのですから、人間は地球環境を守る宿命があるのでしょう。

新しい世界、成人への道にちかづく彼らをただ祝福するのでなく、いろいろなことをたくさん知ってたくましく生きてくださいねとバトンを渡します。

落語「鯛」より “生き残るには知恵がいる”

“生き残るには知恵がいる”こう言ったのは、開店20年前から料亭のいけすで生き延びている真鯛のギンギロさん。新入りのロクに「大志をもて、夢をもて」という。そして「もし捕まったらピクつくな」と。そんな矢先ギンギロさんが大将の網にかかってしまうが、さすがのギンギロさんはまな板の上でピクともせず…。そんな落語「鯛」の一節。

そんなこんなで、ごめんなさいギンギロさんだかロクだがわからないけれど、Cocciorinoのお皿の上には「天然鯛」と出世魚である「天然ぶり」の薄切りを並べ、大きな土鍋には水に昆布を入れ、みんなでしゃぶしゃぶ。タレはポン酢と梅酢と、生姜の甘醤油に、春のセリをぱらぱらと。獲れたてしらすも大根おろしでいただきます。

旬のお野菜は、できるだけ旬を活かしてちゃちゃっと。和えるタレで変化を持たせて。「山ウドのぬた和え」「ふきのとう味噌」「菜の花 豆乳マヨ和え(※文末になんちゃってレシピあり)」。

準備で出かけた先で、友人から小粋なお祝いをいただきました。和菓子屋さんがつくったお赤飯。もちろん自宅でも炊けますが、「もち菓子」に分類されるお赤飯はなんとも格別で大好き。パッケージもおめでたくてすてき。

土鍋でふかして、もちもちふわふわをありがたい気持ちでいただきました。

おまけ!うつわ職人のなんちゃってレシピ

「豆乳マヨ」
①豆乳ヨーグルトに白ビネガー、塩、こしょう、練りがらし、カレー粉を入れてグルグルよく混ぜるだけ。我が家の自家製マヨネーズの出来上がり!

2018年

3月

11日

願いをこめて-大豆づくし鍋と生春巻きー

春を蒔く「生春巻き」/Cocciorino長手皿
春を蒔く「生春巻き」/Cocciorino長手皿

両国に愛され

イタリアから友人のご長女が日本の大学で学ぶために到着されました。生まれたときミラノで抱っこして僭越ながら命名の書をしたためたのがつい先日のことのようです。彼女は父のふるさとであるイタリアに愛され愛し、母のふるさとである日本を誇りに思い、そして愛してこられました。この先、彼女は日本とイタリアの両国に愛される人になるでしょう。

温故知新

温故知新。到着を労い、ふるきを温め、新しい世界にはばたく未来の青春たちと、とても家庭的な夕食会を楽しみました。ボーダーを超えて活躍すること。それは一方的な愛でなく、相思相愛であること。旅人は一方的であることも多いですが、定住となると後者の愛も。

奇しくも、きょうは東日本大震災から7年目。あの日の恐怖と、被写界深度を深くしようとも調整がきかず、どんな未来になってしまうのだろうと不安にあふれた日。ひるがえって、わたしの中の道はきっぱりと一本に見えた日です。数日後には“陶芸家一本で生きてみよう”と。

今朝、青春たちは各自の目的のために我が家の玄関を出て行きました。わたしの被写体でなく、彼らの道なのです。

大豆のように強く栄養いっぱいな人間に

特別な晩餐はおそらくご家族や親友たちと済ませてきたでしょうから、我が家でのちいさなお祝いの夕食は、いつも食べるような家庭的なごはんにしました。春を蒔く(巻く)という意味をこめて、野菜たっぷりの「生春巻」を彼らに巻いてもらいました。もう一品は、我が家の大好物「大豆づくし鍋」。

歴史的には中国より伝来した大豆ですが、ヨーロッパに行くと誇りに思う日本食材は「大豆」です。痩せた小さな土地でも丈夫に育ち、様々な加工品に富む大豆。侍や農民が戦にいくときに、未開の山道を行きゆきて大豆を食べたとも。そんな願をかけて。

大豆のようにコロコロ愛嬌があって、柔軟性ある強さをもつ人になりますように。

陶芸職人のなんちゃってレシピ「大豆づくし鍋」

1. 湯にすりおろし生姜、塩、(あれは桜えびまたは乾燥帆立)を入れる。
2. 白菜を入れ柔らかくなったら6つに切った豆腐を入れ、ひと煮立ち。
3. 白みそを①の出汁お玉2杯くらいで溶いて入れる。
4. 豆乳を①の出汁と同量くらい入れてひと煮立ちで完成。食べる前にお好みで針生姜を。

追記 先週のささやかなお祝い夕食

ちなみにもう一枚も、先週の小さな晩餐会。
学びのために遠方に発つ青春の親友とのささやかなお祝い夕食写真。みんなにすてきな春がきますように。

2018年

3月

08日

春の到来を告げるミモザの思い出

赤かぶのサラダ
赤かぶのサラダ

まさしく三寒四温。一度はあたたかい春が来たのにきょうは冷たい雨がふり庭の白梅は散りペタペタと庭中をコラージュして。花は咲き、次の花が“時季”をずらしまた咲く。卒業に入学、異動に転職、そして継続。花には種があるように人々にも個性があり、人々のゆくえも“時機”をずらしてやってくるのでしょう。

きょうは既知のとおり「国際女性デー」。1904年3月8日ニューヨークの婦人参政権要求デモをきっかけに、ドイツの社会主義者が「女性の政治的自由と平等のために」と記念日を提唱。個人としては鼻をふくらませて腕を振りかざしたいわけでなく。イタリアでは春の到来をつげるミモザを贈ります。ミラノオペラ前で見知らぬ男性に、街角の花屋さんで、サラリとミモザをひと束もらったあのさりげなさが今でも心に残っています。

ミモザに見立てて、ガラス作家 西山雪さんのたんぽぽのガラスボウルに赤カブのサラダを盛りました。お得意の豆乳ヨーグルトドレッシングで和えるやさしいサラダです。うつわ職人の「なんちゃってレシピ」いきますか!

豆乳ヨーグルトドレッシングの赤カブサラダ

マヨネーズのかわりに豆乳ドレッシングをよくつくります。

1.スライスした赤カブ(またはカブ)とカイワレダイコンにヨーグルトドレッシング(※1)を和えるだけ。

※1 豆乳ヨーグルト(またはヨーグルト)にオリーブオイル、白ビネガー、塩こしょうを入れよく撹拌する。
※2 写真にはシトラスチップス(柑橘果物の乾物)を乗せています。


2018年

3月

06日

もやしなスープ

もやしな簡単スープ/Cocciorino土鍋(中サイズ)
もやしな簡単スープ/Cocciorino土鍋(中サイズ)

写真の土鍋(中サイズ)にはお椀3杯くらいのお汁が入ります。深めなタイプなので炊飯はもちろんスープにも便利です。

きょうも工房からなかなか上がれず、遅い時間のクイック夜ごはんになってしまいました。一汁一菜で15分コースの夕食づくりスタート!「もやしなスープ」も土鍋に入れて蓋をしめて食卓へ。たいしたレシピではありませんが、溶き卵がふんわり成功したので、さっそく行きましょう!うつわ職人の「なんちゃってレシピ」。

たまごふんわりもやしなスープ

うつわ職人の「なんちゃってレシピ」分量も時間もありません!

1.沸騰したお湯に干し桜えびを入れもやしを入れる。
2.塩と酒を入れて1分煮て醤油で味を整え入れ火を止める。
3.溶き卵に塩と酢(※)を少々入れ、②のスープにまわし入れ、もう一滴お酢を加えて味をみる。出来上がり!(あれは焼き豚を細切りにしてスープに入れてどうぞ)

※卵液に酢を入れることで酸性でもアルカリ性でもない状態になり、凝固点が低くなる。その時点でタンパク質はランダムに結びつきあい、ふんわりしたタマゴになるとの化学的根拠を狙ってみました。お酢は、ほんのチョロッと入れるだけです。

2018年

3月

05日

野沢菜漬けと玄米に想う

野沢菜漬けと玄米 /Cocciorinoミニミニ土鍋
野沢菜漬けと玄米 /Cocciorinoミニミニ土鍋

小中高と12年あまり長かった自らの部活動生活を終え、近ごろは小学生の蹴球チームのコーチや審判の手伝いをさせてもらっている。今までとは少し違った春。自分のためだけでなく、後輩や地域に貢献する春…。

小学生の合宿引率に行った青春がおみやけに買って来てくれた野沢菜漬け。ミニミニ土鍋に入れて玄米ごはんに添えてみた。玄米がすすむすすむ。おそらく高速道路SAで買って来てくれたのでしょう。いまやどこでも売っているかもしれない野沢菜漬けですが、特別おいしいと感じることがありますよね。

シャキシャキの中にぴりりとする辛さをかみしめながら、成長とは決して親だけのものではありません。生きる社会に恩返しするためのものだとつくづく思いました。

2018年

3月

04日

めがねとめがね

この年齢であればあたりまえのあたりきですが、遠近ともに矯正が必要です。コンタクトレンズに老眼鏡に近視眼鏡の3つでオリジナル身体を矯正しながら生きているわけです。

もともと近視が強いのに、とても早いうちから遠視つまりは老眼になりました。かれこれ18年くらい前のこと。急いでつなぎを脱いで工房から保育園に向かおうしたら、遠くも近くも見えなくて、それが日に日にひどくなり眼科に駆け込んだのを思い出します。「遠視のはじまりです」という診断で「なにか思い当たることはありますか?」と聞かれ仕事のことを話したら「職業病ですね」と言われました。およよ。

老眼鏡はどんどん進みます。めがねを新調ました。おもちゃみたいに安い子ども用のサングラスのレンズフレーム。ちなみに、めがねと帽子は、サイズ的に子ども用が適合することが多くて。しかしながらオトナが使っておかしくないデザインというものはなかなかないもので。まあどちらにしても「ド近眼のド老眼のキッズめがね」ですよ。

2018年

3月

01日

春色鯛ごはんで“ドナピク” !

「鯛めし」Cocciorino旅する大土鍋
「鯛めし」Cocciorino旅する大土鍋

ドナピクしよう!

春になると構想がふくらむ「ドナピク」=「土鍋ピクニック」。


「旅する土鍋」でイタリアをまわっていると、アウトドア(テラスなど)で土鍋料理を食べる機会が多いことからこの発想がじわじわ湧いていました。昼間にかかわらず、夜のパーティや夕食時でも、ほの暗い野外で土鍋のお料理がふるまわれる。あるときは、キャンドルの灯りだけなので撮影すら成功しなかったシーンもありました。すてきな文化だと思います。

土鍋の重さとワレモノであることは難点ですが、身近なお庭や、クルマでの移動であれば可能です。もっと暖かくなったら、どんなお料理を土鍋に入れて「ドナピク」しようかな。

旅する土鍋 @ヴィンチ村
旅する土鍋 @ヴィンチ村

春色鯛ごはん

冒頭の写真は土鍋で炊いた「春色鯛ごはん」。鯛のアラを入手したので、出汁を取るつもりで鯛を入れました。春らしくピンク色に炊いたごはんとほんのりピンク色に染まった鯛。アヤコさんにつくってもらった世界にひとつだけの「旅する土鍋ふろしき」を敷き、庭の梅の枝を添えてみました。大土鍋のごはんにはフィレンツェのアントネッロさんにつくってもらったこれまた世界にひとつのおしゃもじ

最後に、恒例うつわ職人の「なんちゃってレシピ」いきますよー!

1.白米9割、1割に黒米とお好みの雑穀(麦類、あわ、ひえなど)。
2.鯛アラの下ごしらえ(血合いを落としよく洗う⇒湯通し⇒塩を魚の身に揉みこむ)。
3.①と適量の水、②と昆布、生姜薄切り、酒、適量の水(※)を入れ土鍋で炊く。※炊飯時の水分量はそれぞれでお調べ願う!

4.土鍋炊飯は約20分+蒸らしタイム!鯛からの塩気がごはんに移りちょうどよい!黒米入りでピンク色!おこわのようにモチモチに!



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2018年

2月

28日

春のアロマスープ -ぴりりな山椒-

山椒は小粒でもぴりり春菊スープ/Cocciorinoミニミニ土鍋
山椒は小粒でもぴりり春菊スープ/Cocciorinoミニミニ土鍋

スープやお味噌汁はつくりたてが美味しいのはもちろんですが、前夜の残りスープの風合いが魅力的に増すことがあって。翌朝も食べられるようスープやお味噌汁は多めにつくることがあります。残りをミニ土鍋に入れて保存。翌朝は温め直してどうぞ。

写真は、翌朝の春菊と白菜のスープ。前の晩は透明なさっぱり出汁と塩のスープでしたが、翌朝になると春菊からだしが出てお茶を煎じたような色に!ミニ土鍋の蓋を開けると春菊の芳香が。朝の空気に充満する春の香りはいいものです。ご飯をひとくちポンと落としてひと煮立ちで、簡単なお雑炊のできあがり。

春菊と山椒の香を鼻で愛でながら、春のアロマスープを。

薄味でやさしいお味に仕上げたスープには、胡椒をふったり、チーズをおろしたり。そんな中で我が家が最近お気に入りなのが、いただきますの直前に各自でカリカリと小さなミルで擦って入れる山椒の粒。

山椒の木についたフレッシュな実をいただいたこともありますが、現在愛用しているのは山本勝正之助商店(和歌山)の山椒。粒で買って冷蔵保存。石臼で挽いてもらった香りはルームフレグランスにしてもいい!と思ったほど魅力的。そのとき店主に勧められたのが使う度に挽いて使うミニミニミル。

山椒こそ日本のスパイスであり、和風アロマ。鰻の蒲焼のみならず、スープやお味噌汁、いろいろなお料理にピリリとどうぞ。

2018年

2月

26日

お菓子のための板皿とNyancorou

Nyancorou Cocciorino「キャラメルのための板皿」
Nyancorou Cocciorino「キャラメルのための板皿」

流れるベルトコンベアーのような板皿。今回はクッキーを乗せました。何度か登場したかもしれませんが「キャラメルのための板皿」といいます。チョコや、和菓子のような「お菓子のための板皿」。

以前キャラメルを手づくりしたときに、そういえばキャラメルはつくるのに手間がかかるのに、お皿にのせられて「いかがですか」ってされないお菓子だなぁと。ときにはお皿に並べてお茶と一緒に出したらどうかしらと思ってつくったお皿です。

クッキーを整列させるのにもちょうどいい。きょうはNyancorouたちのお皿になりました。写真のショートブレッドNyancorouは週3日しかOPENしないSunday Bake Shopのもの。イギリス仕込みのお菓子やキッシュ。甘さ控えめでおすすめ。訪ねるときはOPENしているか要確認!

2018年

2月

26日

小庭の白梅満開

花の色は 雪にまじりて見えずとも 

香をだに にほえ 人の知るべく
小野篁(おののたかむら)/古今和歌集

先日は朝がた小園に雪がちらついて、梅の香りを詠んだ和歌があったなぁと。三寒四温ではあるものの、このところの東京はぐぐっと春めきました。本日の庭の白梅はほぼ満開です。

2018年

2月

22日

「美しいフィレンツェとトスカーナの小さな街へ」

奥村千穂 著「美しいフィレンツェとトスカーナの小さな街へ」
奥村千穂 著「美しいフィレンツェとトスカーナの小さな街へ」

"石畳がよりいっそう近い"そんなガイドブック

フィレンツェのアパートやB&B、アグリツーリズモの情報を提供し、アシストしてくれるLa Casa Miaを主宰する奥村千穂さん。これまでに数冊の本を出していらっしゃるのですが、きょうは先ほど届いたばかりの最新本「美しいフィレンツェとトスカーナの小さな街へ」(文・写真 奥村千穂/イカロス出版)のご紹介。

ヨーロッパ屈指の観光地フィレンツェ。これまでにもたくさんのガイドブックは出版されているし、この本も一種のガイドブック。ただ、目線が違うのです。歩いて歩いて、晴れ晴れとした声で街の人とおしゃべりして、パクパクとおいしく食べて、ゆきちゃん(ご息女)が小さかった頃はおそらく手をつなぎゆっくりと、時にワンコに会えば石畳にしゃがみ。そんな彼女が書いたガイドブック。

本来は街から郊外までトスカーナを広く深く周知している彼女ですが、この本は決してマニアックなエリアを紹介されているわけではありません。ですが、冒頭でいったとおり目線が違うのです。千穂さんのかわいらしい性格と、濃いけれどダラダラと駄文にならないキュキュッとしまった文字の羅列は、彼女のブログ同様とても読みやすい!

 

職人が集まる小さなトラットリア

Trattoria “il guscio” Firenze /photo tamamiazuma

テラコッタ工房はもう今はない
テラコッタ工房はもう今はない

千穂さんも本の中でご紹介されているトラットリア「イル・グッショ」。当時わたしが作品をつくらせてもらっていた陶彫刻工房の近くで、本の中で、千穂さんはこのトラットリアに“”職人が集まる小さなトラットリア”と見出しをつけています。去年の夏、うだるような酷暑のなか、ふたりでこのエリアにあった工房を探し歩き、もう干上がる!というところで入った千穂さんお薦めのトラットリアでした。左からふたりでシェアした「ズッキーニの花のフライ」、千穂さんが食べた「ローストビーフ」、わたしが食べた「スズキの熟成カルパッチョ」(たしか…)です。とってもおいしかったし、この数時間後すぐに重い重い土鍋入りの荷物で移動も元気にできたのでした。

胃袋にもセンスあり!

かつてわたしがフィレンツェに住んだ頃は、生の情報を入手(伝える)する「手立て」がなく、ケータイはしかりPCを持っている人もおらず、電話でさえ、街角の公衆電話や電話センターにかけに行っていました。街の情報は、ノートとペンを持ってとにかく歩き、街の人と話していろいろなことを教えてもらうしかなく。写メなんかもないし、情報を記録する「手立て」もなくて、とっても重い一眼レフを持って歩いたものでした。

千穂さんの本の内容は、まさに足で歩いた目線の情報であり、コツコツと積み上げた情報です。胃袋のセンスもバツグンな千穂さんの「おいしい紹介」や美学・美術史を学んだ彼女の「芸術紹介」は特筆すべき読みどころ。ぜひぜひご一読あれ。

Trattoria “il guscio” Firenze /photo tamamiazuma
Trattoria “il guscio” Firenze /photo tamamiazuma

2018年

2月

22日

春のホタルイカ

「ホタルイカのジェノベーゼ」Cocciorinoの白いうつわ

春がやってきて食べたい野草や野菜はもちろんたくさんあるけれど、鮮魚においてはホタルイカがそのひとつ。産卵のために深海から上がってくるホタルイカは必死の旅において任務を果たしたのかどうか。彼ら彼女らの旅を想像したりして、春がきたのねありがとうと感謝しながら、いろいろな春を想うのです。

ジェノベーセ(バジルペースト)をあえたスパゲッティが中途半端な量で残っていたので、ホタルイカと春タマネギとコリアンダー(パクチー)で春をお迎えにいきました。カリッと焼きそばのように炒めたらジェノバ湾から富山湾に旅した気分になりおいしかったです。

ホタルイカのジェノベーゼ

うつわ職人の「 なんちゃってレシピ」
※残り物の冷えたジェノベーゼスパゲッティでもおいしくできる!


①刻みニンニク、ショウガ、コリアンダーの根っこをオリーブオイルで炒め、ホタルイカも追加して炒め醤油をたらす。
②①にジェノベーゼスパゲッティを加えて炒める。
③②にコリアンダーを加え、味が足りないようであれば塩胡椒。

2018年

2月

20日

ナッツバターのポタージュパスタ

ナッツバターのポタージュパスタ /Cocciorino白いうつわ
ナッツバターのポタージュパスタ /Cocciorino白いうつわ

ここ数年で市場にぐっと見かけるようになった「ナッツバター」。ピーナッツバターでもバターナッツでもありません。当初友人からもらった時はおばけカボチャ!と驚いたものです。サイズが大きいのに安価だし、カボチャより包丁が入れやすく種も少なく(今回つかったものはタネなし)廃棄率がかなり低いのも良い。今回使ったのは、毎月野菜を届けてもらう山梨の「畑山農場」の無農薬野菜に入っていたもの。

ちなみに、下の写真はリグーリア海に面したイタリアの小さな町の市場(2017.8撮影)。ここでも大きなバターナッツが売られていました。黒板には「産直!自然農法 オーガニック!」、白いボードには「すべて無農薬!」と書いてあって、お兄さんが一所懸命説明していますね。

甘く味も濃厚なのでポタージュスープにすることが多く、カットして焼くなどのシンプルな食べ方も美味しい。さて、今夜はポタージュの半分をパスタソースに仕立ててみました。パスタに和えても負けないコクとあせない色が食欲を促進させました。主張が強い「ナッツバター」を引き立たせるためにCoccironoの白い器に。では、いってみましょう!恒例の分量も分数もない「なんちゃってレシピ!」

「バターナッツのポタージュパスタ」なんちゃってレシピ

①タマネギみじん切り。
②バターナッツはキューブカット。
③②をボイル、時間差で①も追加してボイル。ゆで汁は捨てないで。
④①は全量、②は2/3量、ゆで汁少々、豆乳少々、オリーブオイル、塩こしょう、カレー粉少々をミキサーにかけポタージュに。(ゆで汁や豆乳でスープにするかパスタソースにするか加減する)
⑤④のソースに②残り1/3を足して茹でたパスタに和える。胡椒をたっぷりかけてどうぞ。

2018年

2月

18日

まるい地球の上に住む人間たちの中で

「ある休日の電車のなかの風景」ラクガキより2018217
「ある休日の電車のなかの風景」ラクガキより2018217

金銀メダルのアイススケーターたちを見てリアルな感情がよみがえりました。喜びや悔しさは、本人だけでなく、周りの人にもこそっと伝導しギュッとコブシを握らせているというお話。こっそりとエネルギーをもらっているのです。わたしだけのものではないと思えば、喜びはテングにならずに、悔しさはラクになることもあるのかもしれません。

遠いむかし高校のクラスメイトにメダリストがいました。
当時教室で血が出るかと思うほど手をたたいて応援したことを思い出しました。まるい地球の上に住む人間たちの中で「世界一番」になれるんだ!と己の青春期に電気がびりびり走りました。夢という「つぼみ」が開いた瞬間をみたあの時から、わたしは何かをがんばれた。まちがえなくがんばれたのです。とにかく「ありがとう」と思いながら、電車のなかでスケッチブックに描きました。

※ごはんじゃないけれど #記録的らくがきごはん

2018年

2月

16日

ものがたりの器 -無花果のガトーヴォヤージュ-

デュヌ・ラルテ無花果たっぷりシナモンケーキをCocciorino板皿にのせて
デュヌ・ラルテ無花果たっぷりシナモンケーキをCocciorino板皿にのせて

板皿は何枚あっても便利なアイテムです。丸も四角も、どんな形でも我が家では大活躍。「渋めの和皿=お刺身」というイメージが強いようで、全面絵柄のポップな板皿を目の前にして“どんなふうに使ったらいいでしょうか?とお客さまにたずねられることも多いのです。鮮やかな色やポップな絵柄だからと壁に飾るだけに留まらず、ぜひ実用の器としてもお使いください。ピザやケーキ、チーズもお気楽に。ナイフの刃を立てなければ軽くカットもできて便利です。食べていくうちに板皿の絵柄が判ってゆくという“ものがたりのような器”です。

(写真:板皿「森のものがたり」/木のナイフ ファンタレニャーメ

ミラノCASONAのジャム
ミラノCASONAのジャム

冒頭のケーキはデュヌ・ラルテの「165℃ ~分単位で5°下げる」という名のガトーヴォヤージュ。パンもケーキも興味深い名前がついていて、対面式カウンターで購入するとき「165℃のケーキください」と、思わずほほえんでしまう効果があるなと。しっとりケーキに無花果の酸味とシナモンの香り、そしてプチプチ食感がたまりません。珈琲や紅茶だけでなく、緑茶にも合うお味でした。
※デュヌ・ラルテのパンやお菓子はネットショップでも購入可能。⇒d’une rarete Online

 


無花果とローズマリーの組み合わせが大好きなので、「ものがたりの板皿」上のケーキには大雪かぶっても元気に乗り越えた庭のローズマリを添えました。ちなみに上の写真のジャムはミラノの教会で買ったCASONAのジャム。エコや難民問題に取り組む若い活動団体。廃棄される果物や野菜を使ったジャムの値段は購入者が決めるというシステムで、瓶もリユース品なのでサイズも形もみんな違う。無花果とローズマリーの組み合わせは文句なしに美味しかったです。

2018年

2月

15日

スープ先輩の新刊!

「にらとザーサイと焼きお揚げのスープ」ミニミニ土鍋
「にらとザーサイと焼きお揚げのスープ」ミニミニ土鍋

スープ作家の有賀薫さんのことを私は勝手に“スープ先輩”と呼んでいます。

ほぼ毎日どこかにスープが登場するといっても過言でない我が家。うぶうぶベビ少年時代から好きなものはなんですか?の問いに「おみしょしりゅ」と答えていた青春。なにをかくそうお酒をこよなく愛する者として、汁物を敬遠していた時期もありましたが、伊在住時代に目にした「離乳食」や「パッパ」というパン粥をつくるようになってから「食べるスープ」を含む許容範囲が広がりました。(今回の有賀さんの本にも「食べるスープ」期待できますよ!)

“レシピや料理教室はまにあってます”?

毎日せっせと料理をつくる者として、わりと料理を得意とする者にとって、最初はレシピは要らぬ、そんな感覚をもっていましたが、数年前にある参加型の料理教室に行って意識は変わりました。「知っていることでも人の手や発想を知る」ことは応用と発展につながるのです。既によくつくる料理でもレシピを見ると基本に一度たちかえり、さらなる発展につながる。

 

有賀薫さんの新刊「帰り遅いけどこんなスープなら作れそう 1、2人分からすぐ作れる毎日レシピ」をタイトルから「初心者用」とあなどるなかれ。1、2人分から「単身者用」と看過するなかれ。あしがためこそ毎日のスープなのです。ぜひぜひ!

Cocciorinoミニミニ土鍋
Cocciorinoミニミニ土鍋

冒頭の写真は、新刊から「にらとザーサイと焼きお揚げのスープ」。過日、有賀薫さんのワークショップでレシピ拝借。昨今の野菜高騰期にニラなら安い!と飛びついてすぐにつくりました。実はレシピを一歩アレンジして、あとから温め直しできるよう一人用の土鍋に盛りつけました。(直火、レンジ、オーブン可能)

有賀さんの許可のもと写真掲載します。
新刊発売は2/16!(一部、都内書店にてひらづみ販売開始)


2018年

2月

14日

新柄しのぎカップ -チョコレートマーブル-

新柄しのぎカップ ―チョコレートマーブルー
新柄しのぎカップ ―チョコレートマーブルー

しのぎカップの新しい柄はチョコレートマーブル先日の記事で水野佐知子さんのグラーノラをご紹介したときに撮影したものです。コーヒーをそそげばブラックでもほんのり甘いかおりがしそうな、ヨーグルトをたべればチョコレートソースをかけたような、クッキーを盛り付ければチョコチップをスプレッドしたような。もしや、先日、記事にしたためた「墨と金 狩野派」の作品鑑賞に感化されたかも?

現在、年末に開催された個展のオーダー制作をせっせと行っています。オーダー品をつくりながら新作のアイディアを練ったりします。オーダーは「できるだけ同じような」が求められるためアイディアよりも寸法や色をなぞらえるという意味で緊張感があります。アドリブが利かないため、オーダーひとつに対して複数つくることも多く、オーダーはご理解と方法をいつも考えさせられます。

そんな中で出てきた新柄のカップ。Cocciorinoのモットーは、設立以来ずっと言いつづけている「おいしそうな器」です。これから次の展覧会までにおいしそうな新柄を増やす予定です。由来については、また別の機会にご説明できれば。

個展のオーダー作品は、もう少々おまちくださいませ!丁寧におつくりします。

and

HAPPY VALENTINE ♡
for you

2018年

2月

13日

お祝いのぞうり

お祝いのぞうりと何でも知っている陶のサル
お祝いのぞうりと何でも知っている陶のサル

過日、山の手銀座とよばれた下町に、母と青春を誘ってぞうりを新調しに出かけました。卒入学の祝いの場もこれが最後かな。あともう一回卒業の場があるかないかは、今はまったく考えていません。もうここからは青春の道ですから。

仕事でキチキチの毎日。わたしは元気よ!と言いながらも父を亡くしてしょぼんとしている母になかなか会いに行けず。おいしいランチでも一緒に食べられればくらいの気持ちで、特に深い意図はなかったけれど、このショッピングが小さな思い出の一品になればいいなあ。

履物専門店に入ると、奥から背筋ぴしゃんで粋な旦那が挨拶に出てくる。ほら「いらっしゃいまし」と言ったような気がする。江戸っ子の祖父母が話していたような、そんな耳心地のよい言葉。

本体(天と巻)、鼻緒、前坪の色の組み合わせに悩むこと数十分。母の着物をいつも着るのですが、それらはすべて伯母が仕立てたもの。あれやこれや複数の着物をふたりで思い出しながら、母は全体像である着物の色と「鼻緒」「巻」の組み合わせについて、青春は横顔である「巻き」の厚さ(足の負担軽減)について語り、わたしはポイントになる「前坪」の色に夢中になる。

本革エナメルの輝きは、女の子なら憧れやなつかしさでいっぱいな素材でありましょう。うれしくて箱から取り出して時々眺めていると、新しいピカピカのぞうりには新しい未来が写りこんでいるように見えました。何でも知っている陶サルは言いました“お祝いのぞうりになりますように”と。

2018年

2月

12日

2月の鑑賞イベントあれこれ#1

「アウトドア般若心経」みうらじゅん
「アウトドア般若心経」みうらじゅん

『MJ's FES みうらじゅんフェス!マイブームの全貌展 SINCE1958』 川崎市民ミュージアム

最初にひとこと。
ああ、これは久しぶりに心底おもしろかった。

どんなに馬鹿げたことでも「トコトン」というものはひれ伏せて感服!天才である。このような感度のおもしろいは、本当はマジメな人しかできない。やっぱり天才。知力が後味に残るような。進まない制作をあきらめて観に行ってよかった。

紙媒体のガロもびっくりハウスも本当におもしろかった。同じブームでもあの頃はどこか違った。世の中の流れは、SNSの濁流と清流がいそがしく交わりながら。“ブームを巻き起こそう!”と、整然とガサツがぶつかってガチガチいっている毎日。前者のブームは、他人を巻き込まず「マイブーム」といいながら自分を信じることだったのかなと。“誰にも頼まれることない「ない」仕事をつづけ現在に至っている”と飄々と言えるみうら氏の、“天才スケッチブック”と名付けるじゅん氏の、とにかく「マイブーム」。収集と継続はチカラなり。それに加え“発表壁”というのは、作家の天然に湧き出る泉。泥にまみれコツコツと孤独に日々制作していますが、そのかわりたくさん笑えるモノや場所に会い、ナマの現場で意見して発表することは「マイ」を発見するのではないかな。

過日、もうひとりの天才、南方熊楠のコレクションと研究を観てきたばかりだが、ふと思う。みうらじゅん氏は現代の熊楠ではないかと。受験した大学3つとも同じでなつかしい受験票にもジ~ン。同美大の大先輩とにもかくにも還暦おめでとうございます。

展示は、第一会場・第二会場と膨大な数の作品&コレクションあり。時間に余裕を持って行かれるのがオススメ。それと企画展示室1/映像などもゆっくり座ってご覧あれ。あんなにゲラゲラ美術館で笑ったこと、かつてあったかしらと。

2018年

2月

12日

春をちゃちゃっと *ウド ホタルイカ 春タマネギ*

帰宅が遅かったので春をちゃちゃっと。ウドとホタルイカは白みそ仕立ての酢みそ和え。残り半分のウドは辛子豆乳マヨネーズでレタスとざくっと和えてサラダに。春のタマネギのお味噌汁にサバをじゅうじゅう焼いて。玄米の香りとぴったりです。

なんちゃってレシピ(ツイッター以下の文字数限定ですよ!)

①ウドは皮むいて拍子切り。湯が沸騰したら大さじ2の酢を入れてひと煮立ち。
②①の湯を切り冷水にさらし大さじ1の酢をもみこんでもうひと洗い。
③水をギュッとしぼったら、酢みそ(白みそ2:酢:1甘酒:1×必要量)を和える。
※甘酒なければみりんや甜菜糖などの糖分少々

2018年

2月

11日

小庭の梅が咲くころ

東京。昨日の雨があがりと梅のつぼみが開きはじめた朝。18年前に誕生記念樹としてお役所からの贈り物。追い抜き追い越され梅の木は青春より大きくなりました。空高く夢と現実を指差しているかのように。

誕生を記念して植えた樹ですが、花が咲くたびに3.11のあの日を思い出します。ちいさな我が家の庭で。春がきました東京に。

2018年

2月

08日

新作とグラノーラの贈り物

グラノーラのある朝食
グラノーラのある朝食

写真左下から時計まわり:Cocciorinoミニコップ、Mari Takumaピッチャー、無印良品ショットグラス、Cocciorino豆皿

うれしいうれしい贈り物がCocciorinoの器をお使いいただいているお客さまsachiさんから届きました。お手製のグラノーラ2種類です。ラべリングもすてき。去年は2回の個展に足を運んでくださりお話しさせていただきました。落ち着いた佇まいのすてきな女性で、テーブルコーディネイトをはじめ、すてきな朝食やおやつフォトの数々はインスタグラムでも大人気。

柿のおはなしでも書きましたが、毎朝ヨーグルトを食べています。イタリアでもどこでもおいしいヨーグルトとシリアルを探すのが好き。特にここ数年はギリシアヨーグルトか豆乳ヨーグルト派。(ギリシアヨーグルトのおいしいのが日本に入っていないのが残念)

せっかくですから、数日前に窯から出てきたばかりの新柄Cocciorinoしのぎカップを用意しました。新しいカップに入れたヨーグルトにグラノーラをパラパラしてひとくち。カリッと最高なベイクド加減!芳ばしくて甘さ控えめ!逆に少し塩味だったりしておいしいのです。豊富なシリアルやナッツ、そしてドライフルーツ。こんなにたくさんの種類が入っているのかと関心。しかも2種類とも内容物とお味が違うのです。食欲そそるカラーリングでカンペキです。栄養たっぷり感謝です。

グラノーラ入り豆乳ヨーグルト/新作Cocciorinoしのぎカップ
グラノーラ入り豆乳ヨーグルト/新作Cocciorinoしのぎカップ

新作の景色もなかなかいいぞ!次回の制作アイテムにこの新柄を入れること決めました。このように次の新作は、わたしがおいしいものをいただいて決まったりするのです。あしからず。

2018年

2月

07日

おさがりのスープジャー

サーモススープジャーと玄米おにぎり
サーモススープジャーと玄米おにぎり

青春の高校生活も残りわずかとなりました。3学期から授業はありません。有志で講座を設けて学んでいる程度で、自分でおにぎりを結んで持って行ったり、親の出番であったお弁当頻度はかなり減りました。冬は特に頻度高く活躍したスープジャーも今や置き去りで、冷えたステンレスのかたまりはそこに佇んでいます。

これは幼小中高15年のあいだ毎日(部活もあり土日もかなり高い確率で)つくったお弁当の終焉を暗示しています。お弁当がなければお湯を沸かすくらいで終わってしまったかもしれない朝の生活。お弁当がなければ炊飯の心配はなかったかもしれないし、おかずになる食材あるかなと冷蔵庫をのぞかなかったかもしれません。暗黙の了解でお弁当づくりは家族で分担してうまくいきました。そんなことは、もし機会があったらいずれ思い出として書こうと思います。

おかげで、スープジャーのおさがりは、私が週1回通う学校のランチに持って行けます。寒い陶芸工房にスープを入れて置いておくこともできます。こんなしあわせを味わっていたのかぁと思った記憶を「記録的らくがきごはん」にしたためます。お弁当というものは双方にとって一生の思い出です。

2018年

2月

06日

鬼はそと福はうち「大豆づくし豆乳スープ」」

Cocciorino土鍋で大豆づくし「豆乳スープ」
Cocciorino土鍋で大豆づくし「豆乳スープ」

節分の日は朝はやくから忙しく、鬼を外にやることさえ忘れていました。大豆はもとより大豆製品は大好きなので、かわりに大豆づくしの「豆乳スープ」でも。写真は鍋焼きうどんより少し小さめCocciorinoサイズです。吹きこぼれて茶色くなっているのは、美味しく育っている証拠です。土鍋はあなた色においしく育ててくださいね。


この時季であれば、牡蠣鍋(または牡蠣のうしお汁)の残り汁をベースに使うと絶品です。今回の大豆づくりは、豆乳、豆腐、味噌。大豆は低脂質で良質な植物性たんぱく質が摂れ、免疫力を高め体力をアップが期待できます。風邪をひかないよう温かいスープをいただきましょう!

恒例のいきますよ!「うつわ職人のなんちゃってレシピ」です。別名#140文字レシピ(ツイッターとおなじ文字数)!

①前夜の牡蠣鍋(または牡蠣のうしお汁)の残り汁(具なし)に白菜を入れる。
②①に白味噌を溶きあくをとる。
③豆腐と小口切りネギと生姜(針またはおろし)を入れてひと煮立ち。
④豆乳を入れ沸騰する手前で火を止め完成!

※①の残り汁がなくても充分おいしいです!ボナペティート!

2018年

2月

04日

柿とゴルゴンゾーラのパスタ

Cocciorinoのグラタン皿
Cocciorinoのグラタン皿

去秋、里山を通る機会があったのですが、柿の実が鈴なりで、うひょうひょとなったことを思い出しました。都会のスーパーでも柿が豊富に売られており。柿はもともと好きな果物でしたが、あらためて今年はなんて柿がおいしいのだろうと思い、毎朝お気に入りの豆乳ヨーグルトに柿を入れて食べていました。

「柿の実の多い年は寒気はげしい」ということわざがあるようですが、本当にこの冬は東京にも大雪が降り、何とも冬らしい寒さの毎日です。

だいぶ前になりますがフィレンツェ在住時代、トスカーナのレストランでドルチェ欄にあった「CAKO FRESCO(生の柿)」を頼んだことがあります。日本でも食べられるので、もちろんこれは興味と経験でオーダー。じゅくじゅくに熟した柿が、ちょっと小さすぎないか?というサイズの無味乾燥なお皿にのせられてスプーンと登場。ほじくって食べるわけですが、そこから会話は弾み、これでリゾットやペンネのソースを作ったら絶品だぜとシェフは言いました。その後、数年たって「柿とモッツァレッラのピッツァ」に出会い、とうとうあるレストランで「柿とゴルゴンゾーラのペンネ」に出会いました。「洋梨とゴルゴンゾーラのリゾット(またはペンネ)」はご存知のかたも多いでしょう。それと似たような感覚です。

柿の季節は最終段階。いやもう終わったかな?の季節に、じゅくじゅくに熟した柿で「柿とゴルゴンゾーラのペンネ」をつくりました。恒例の「なんちゃってレシピ」参ります。分量も調理時間もなしですよ、相変わらずのうつわ職人であり、お料理に関しては素人ですから(笑)。

「柿とゴルゴンゾーラのペンネ」Cocciorino水玉グラタン皿
「柿とゴルゴンゾーラのペンネ」Cocciorino水玉グラタン皿

●柿とゴルゴンゾーラのペンネ

①タマネギみじんぎりをオリーブオイルで炒める。
②熟れた柿の実をスプーンで救いだす。
③①と②をフードプロセッサーにかけ、塩こしょうで味を整える。
④茹でたペンネに③を和えて味を整える。
⑤②とは別にみじんぎりにした柿とぽろぽろにしたゴルゴンゾーラを散らす。できあがり!

2018年

2月

03日

記録的らくがきごはん

むかしイタリア在住時代(前期フィレンツェ時代)は絵日記をつけていました。うれしいことに「あるかたにイラストもっと見たいです」とリクエストメッセージいただいたので、今年は調子にのって少しずつ掲載します。

エビチリと中華粥ランチ
エビチリと中華粥ランチ

学校の部会を終えてようやく食べられたお昼は中華料理屋さんで。点心とおかゆとエビチリと。「激辛もできますよん」と耳元でささやいたおねえさんのアドリブっぷりが最高で、たいそう気に入ったお店なので記録的らくがきを。

 

中華家庭料理 墨花居 

2018年

2月

03日

1月の鑑賞イベントあれこれ #3

#1, #2 より続きです。
1月に鑑賞したものの中から、記録に留めるべくイベントや鑑賞したものをまとめます。

●「谷川俊太郎 展」東京オペラシティギャラリ

最初の空間では、何度も音読した「ことばあそびうた」など名作からいくつかの詩がポップアップされる。小山田圭吾(コーネリアス)の音楽とインターフェイスデザイナー中村勇吾(Tha Its.)の映像で心臓の鼓動のようなリズムと一緒に詩が現れる演出。親として「かっぱかっぱらった」を毎日くり返し読んだころの感情や「ビリー・ザ・キッド」を読んで死と生をくちびるで感じた多感な自身の青春時代。時代が両方から湧き上がりぐぐっときた展でした。

 

ふたつめの会場には詩の柱が塔のようにそびえたつ。おおお!と驚くべき偉人や作家たちとの書簡には感動。書簡の文面と送り主を照らし合わせ、だいぶ長い時間読んでいました。(写真左)
また柱には、マジックでラフに書かれたメモ切れのようなものが貼ってあり、これは谷川氏がレセプション前日に会場で即効で書いたものだそうで、こういう素朴なのだけれどスパイスの効いた作品と展示手法はさすがだと感服。

 

 
「言葉に揉まれながら暮らしてきましたから(谷川俊太郎 掲載詩より)」(写真左)
「自分には飽きる 他人のほうが面白い(即効で書かれた氏のテキストより)」(写真中央)

●デビッドリンチ「版画展」8/ ART GALLERY/Tomio Koyama Gallery

 

版画展は映画のあとに観ることをおすすめしますが、時間と場所の関係により先に鑑賞しました。1991年東高美術館でのデビッドリンチ展のキュレータの一員に8/ARTの小山氏もいらっしゃったわけで、当時の作品から受けた衝撃という記憶がジェットコースターのごとく版画を観ながらぐるぐる回り。

91年の展覧会でリンチ本人に会い握手をしてもらったこと。そしてサイン本を思い出し、なつかしくページをめくりました。当時のチケットもはさんでありました。その後、2012年ラフォーレ原宿ミュージアムでの展示も良かったけれど、わたしにとってはあの25年以上前のデビッドリンチ展で人生に良い意味でのひびが入ったといっても過言ではないでしょう。

●デビッドリンチ「アートライフ」アップリンク渋谷

“わたしの席”と呼ぶイスが空いていたら観にいく。誰にも言っていないけれど自分自身で静かな決め事がある映画館での上映。ここで上映してくれるなんてなんと嬉しい!

リンチ幼少時代の家族との思い出から、高校時代から美大時代のアトリエや作品のこと。思う以上に裕福で幸せな幼少期を過ごしてきた彼の心は青年期に爆発、いやラフレシアのように不気味だけれど美しい花を咲かせたのではと感じました。

絵やインスタレーションから80年代の映像作品「アルファベット」「グランマザー」や「イレイザーヘッド」まで彼の想念を解説。「母はわたしにぬりえを与えなかった」「父には家庭を持つこと子育てすることはお前には向いていないと言われた」など、リンチの親には期待と迷いがあったにちがいない。(※ぬりえに興味がなかった我が子にはも買ったことはありませんが決して期待ではなく節約とズボラからです)

リンチの美大時代からの暴走により、両親の期待は「失望したわ」という母のため息あたりから離れてゆく。わたし自身が美大時代に暴走したことから、親の気持ちよりリンチの気持ちがわかるようなドキュメンタリーでした。そんなことからなのかな、途中で不意打ちの感涙などもあり、もはや再見したい作品。

※日本語バージョンPVは派手なディレイと音量に嫌気がさしたのであえて伊語字幕バージョンで。

2018年

2月

02日

1月の鑑賞イベントあれこれ #2

#1より続きです。
1月に鑑賞したものの中から、記録に留めるべくイベントや鑑賞したものをまとめます。

(写真)Ecru+HM開催 展示案内をトリミング撮影
(写真)Ecru+HM開催 展示案内をトリミング撮影

●「ジョリー・ジョンソン ユニークを繕う 展」Ecru+HM
最初に彼女の作品に出会って身に着けはじめたのは10年前くらいのことだろうか。初日に行けなかったのは残念だが、今回はユニークなショールを新調しました。近年フェルト作家さんは多くなったものの彼女の技術とセンスは圧巻。ファンなのですこしずつ身に着けられるよう自らの創作も日々がんばろうと思えるのです。⇒JOY RAE TAXTILES

改めて感心したのは、彼女の研究結果により、以下の伝説を覆したというお話。カシミヤと言われてきた正倉院の敷物「花せん」(毛氈)の文様部分は、研究の結果、実は羊毛圧縮(摩擦)を加えた伝統的手法フェルトであると発表したとのこと。

「薬膳スープと中華饅頭をたのしむ会」 LAB&Kitchen

スープの先輩と勝手に呼んでいる有賀薫さんの薬膳スープのイベントに参加。まずはベースとなる中華出汁の説明と味比べ。肉のスープの中でも豚鶏ミックス「マオ湯」の比較。そこに豚足や豚骨、鶏のガラを加えて煮出した「白湯」と、肉だけの「清湯」の味の違いをお味見したり。

 

最初にスパークリングワインをいただきながら塩味なしの「マオ湯」のお味見に没頭し。そうしているうちに、ごま油でしょうがを炒めるたまらない香りがキッチンに充満し、「麻油鶏(マーヨージー)」という鶏としょうがのスープが完成。料理は好きでいろいろチャレンジするほう。既に存じている料理でも、改めてお手間を拝見させていただいたり、人とあれこれ会話したりしながらレシピを鑑賞するのは面白い。アート鑑賞的に楽しむのも乙。レシピを文字で見るのはネットワールドで可能な時代。コンロの前まで行って汁の状態や焦がし具合を眼でみることは記憶により残る。今後いちいちレシピを引っ張り出してこなくても感覚で覚えていられるのです。

そんなこんなしているうちに、はなうた食堂の伊藤尚美さんがつくる中華万頭が蒸籠から登場。カラダがほかほかに喜んでいます。

2杯目の白ワインをいただいている頃には、生薬とよばれる乾燥植物を使ったスープが完成。冷え込む1℃の東京中心地を歩くのも気持ちがよく「ストール一枚」か「薬膳スープ一杯か」というくらい完全にカラダは芯まで温まったのでした。

「帰り遅いけどこんなスープならつくれそう」(文響社)2月16日発売。以前スープラボで出会った編集者 野本有莉さんと有賀薫さんの興味深い一冊。https://www.amazon.co.jp/dp/4866510498/

●「墨と金 狩野派の絵画 展」根津美術館

狩野派とは、室町時代中期(15世紀)から江戸時代末期(19世紀)まで、約400年にわたって活動した親・兄弟など血縁関係を主軸とした画家集団。一方の琳派は芸術家の個人的な傾倒により断続的に伝わった同傾向の表現方法を用いる流派。

狩野派は、学んで代々子孫に伝えるという意味で「学画」を重要視したとのことで、オリジナリティこそ欠けるけれど同品質のクオリティを長きにわたって保ち、時の権力者とも結びつくことができたのだそうです。対する言葉として「質画」(天才)を持てば、存続の危機におちいるという考えは“伝統”という意味でとても興味深く“つたえること”の重要さを想いながら鑑賞しました。現代は、天才を崇め、人より勝ったものをつくる者を勝者とするばかりに、伝統を守る職人が減ってきているのかもしれません。芸術を失わないための「智」を垣間見るような満足感ある展でした。

それでも兄弟間においては優劣というか、光と影はあったようで…。お気に入りは、狩野尚信の「
瀟湘八景図巻」。余白の美あふれる水墨画は、次男ゆえの悠々とした作風とも語られているそうです。兄の探幽の作品は有名ですが、弟は若くして亡くなった上に、納得いかないと作品を捨てるタイプだったそうで、つたえる=受け継ぐ人が少なかったようですが、息子の常信は、父ゆずりの大らかな作品を書き写していたようです。

 

最後に、写真は根津美術館の庭園です。この日は、突然空が暗くなり、あられがコロコロと降ってきたりの天候。その前の週にたんと積もった雪が墨絵のような世界をつくり、池は凍り、時がとまったような風情がありました。花が咲きほこる庭園ももちろん良いですが、色の少ない墨絵のような冬の庭園美術館もおすすめです。

WHO'S?

 

   who is tamamiazuma?

 

DONABE project?

土鍋プロジェクトとは?

 


うつわとは話題いっぱいの「ちいさな広場」。

「ちいさな広場」=「DONABE」を抱えて旅をしています。

時間さえあれば佇んでいたイタリアのピアッツァ(広場)。耳をすませばたくさんの言葉が飛び交い、見知らぬ人が微笑みかけあい、みんなの想いやエネルギーが集結する場所。土鍋を囲むとPIAZZA(広場)にいるような気持ちになり、話題は広がり心も満たします。そんなわけで土鍋と旅に出るのです。

WHAT'S NEW?

*Facebook(工房)*

Tam Cocciorino

 

*Facebook(個人)*

TamamiAzuma

EXHIBITION/EVENT

今後の予定

我妻珠美 個展 -秋を炊く-

我妻珠美 陶展 -秋を炊く-
Tamami Azuma
Ceramic Art Exhibition

Ecru+HM(Ginza Tokyo)
2018年11月16日~24日
※21日休廊

直火はもちろん、オーブンや蒸し料理まで使えるサイズちがいの土鍋や器を揃えます。10年以上企画してくださっている銀座の古き良き建物内にある小さくて品あるギャラリーでの定例展示です。どうぞお気軽にお越しくださいませ。

<今後予定されている個展>
2018年 7〜8月 旅する土鍋 イタリア

2018年10月 忘我亭 着想は眠らない 公募展

2018年11月 Ecru+HM

2018年11月 push pull クリスマスの木 グループ展

2018年12月 Ecru+HM クリスマスグループ展
2019年5月 新宿高島屋
2019年冬 CROCO ART FACTORY
<その他>
2018年春「旅する土鍋本」POP UP 
某レストラン新メニューお披露目など

終了したイベント/展示

終了いたしました

DUETTO
Tamami Azuma and Special guest GUIDO DE ZAN

CROCO ART FACTORY(横浜元町)
2017.12.16 - 12.24

クリスマスにむけてミラノでセレクトしてきた師匠GUIDO DE ZANの作品とtamamiazumaの作品がいっしょに並びます。

2人展

終了いたしました

2017.9.27水-10.3火
新宿高島屋 10F

ギャラリー暮らしの工芸

※詳細はブログ内にて

「イタリア旅する土鍋vol.4」 (プロジェクト取材)

終了いたしました
イタリアを大きな土鍋を周る旅
カラブリア、マルケ、トスカーナ、ボローニャ、ミラノなど 2017.7月-9月
※「土鍋と旅」(仮)冊子発行予定

イベント「交差展 vol.10」

終了いたしました
2017.3.5 sun.-3.12 sun. 横浜元町
主催CROCO ART FACTORY

※我妻珠美 作品展示先
ジュエリーショップ「CHARMY」

個展 「我妻珠美 展」

終了しました
12月3日から11日まで、銀座一丁目のギャラリーEcru+HMにて開催いたします。


詳細についてはHP内ブログをご覧ください。みなさまのご来廊を心よりお待ち申し上げます。

グループ展  CHIRISTMAS

終了しました
CAFE&SPACE PushPull クリスマス展に参加します。
http://cspp.web.fc2.com/

公募展「着想は眠らない」

終了しました
公募展
#第4回着想は眠らない展   
出展作品「すみっこのひみつ」(版画/陶)
Gallery Bougatei 

プロジェクト「旅する土鍋vol.3」

帰国しました
イタリアを大きな土鍋を周る旅
トスカーナ、ボローニャ、ミラノなど
2016.8月-10月 冊子制作予定

ミラノ2人展「Ceramica」        Guido de Zan / Tamami Azuma

終了しました
#EXHIBITION

2016.09.29木 - 10.01土 *15:00-20:00
Studio Guido De Zan via F.Brioschi 26
+83 3476846842 info@guidodezan.it
.
#RECEPTION
2016/09/29木 *18:00-21:00

個展 「Cocciorino工房より」

終了しました
夏の土鍋使いをご紹介いたします。フィレンツェ田舎暮らしを楽しむ木工職人アントネッロの木のスプーンも。


2016.05.21(SAT)-06.05(SUN)
11:00-19:00 ※木曜定休
Galleria Tokino Shizuku
〒231-0861
東京都世田谷区南烏山3-11-29
ラルゴ芦花公園405
TEL 03-3307-8224

個展 「天空の灯り」

終了しました
2016.04.16(SAT)-24(SUN)
11:00-19:00 ※月曜定休
CROCO ART FACTORY
〒231-0861
横浜市中区元町1-71 メゾン元町 2F
TEL 045-664-4078
⇒MAP